約束(15)
「これ以上は先に進めません」
城内に敵が入るのに時間はかからなかった。
「退け、ここの王はどこだ」
レックスは冷たい目で周りを見回した。
「これ以上、この城を汚すのは許しません」
ミーナはゆっくりとレックスの前に立った。
「何だお前は」
レックスは冷たい目でミーナを見つめた。
「これ以上は許しません」
ミーナは真っ直ぐレックスを見つめた、レックスは口元に笑みを浮かべた。
「面白い、お前、気に入った、そうだな、お前が俺のモノになるって言うならこれ以上は進まない」
レックスはミーナに言うとミーナは一度瞳を閉じた。
「私は誰のモノにもならない」
「王子」
「うっせぇ、この国はもう何もできねぇ、あとは城でふんぞりかえってるクソ親父にさせろ、そこの女を連れて来い」
兵士がミーナの腕を掴んだ。
「離しなさい、自分で行きます」
その瞳は真っ直ぐで気品と威厳を感じさせた。
「まぁ、本当に美しい」
ミーナはメリアーナ王国の女に囲まれドレスを着て居た。
「ミーナ様、レックス様がお待ちです」
城は宴の様子でミーナは無表情で王の前に立った。
「レックスが連れ帰った娘か」
「なんと美しい娘」
ミーナは静かに王の前に出た。
「ミーナ・ロスタングと申します、メリアーナ王とはお初にお目にかかります」
ミーナの言葉に周りの人間がざわめいた。
「ロスタング」
「まさか」
「ミーナ・ロスタング」
周りは口々に何かを呟いた。
「ロスタングの名を使うとは面白い」
王は楽しそうに笑うとミーナを見た。
「娘!ロスタング王家の名を使う事がどんな意味を持つか知っておるのか」
王は立ち上がりミーナを見るとミーナは真っ直ぐ王を見た。
「自分の名を言ったまで、それで罪を与えられる言われはありません」
ミーナは王の前に出た。
ロスタング王家は数年前内戦が起こったが元々どの国からも認められ同盟国は多くこの世界で一番力のある王家。
「娘」
「彼女の身元証明は私がいたします」
扉が開き中へ入って来たのは長い髪の若い女性だった。
「セリーナ様!」
セリーナ・ロスタング、彼女はロスタング王家の中で一番の実力者。
「ミーナ」
「お姉様」
ミーナの前にセリーナは立つと跪いた。
「我が王、お探しいたしました」
ミーナは無表情でセリーナを見つめた。
「我が国の王を捕らえた罪、同盟国でもあるセンチュウリア王国に攻め入った罪許される事では無い、いかがいたします」
セリーナは真っ直ぐメリアーナ国王を見た。
「すぐさま、センチュウリアから兵を撤退させ、センチュウリアの民の復旧に資金の提供などをする事、いいですね」
ミーナが言うと王は何も言えずその場に崩れた。