約束(14)
静かな城内、ミーナとロックスは庭に出た。
頬を撫でる風、ミーナは静かに空を見上げた。
「ご存知ですか、王家の人間は何も望んではいけない事を」
ミーナは悲しそうな表情でロックスを見つめた。
「望んだら争いと悲しみが増えるだけ・・・・だから王家の者は何も望んではいけないのです」
ミーナはゆっくり座り込んで咲く花に触れた。
「でも・・・・人間の欲望は尽きない・・・・人間は求めて望んでしまう」
ミーナは涙を流した、悲しみを感じて自然と涙が溢れた。
「俺は・・・・お前に側に居て欲しい・・・・お前が笑ってだけで幸せに感じる・・・・だから俺は」
ロックスはミーナにそっと触れた。
「ロックス様・・・・必ずご無事にお戻り下さいませ・・・私が望む初めて事」
ミーナはそっとロックスの手に触れるとロックスはミーナの手を握った。
「必ず戻る」
それはミーナが望んだ初めての事、胸に広がる暖かな気持ちミーナはロックスに初めての感情を感じて居たのだ。
戦場は悪化して居た。
「セイラ」
「レン」
それはセイラが暮らす村へも広がった。
「子供たちを」
セイラとレンは親を戦争で亡くした子供たちと共に逃げた、安全な場所など今この国には無い事を知りながら。
「セイラさん」
「大丈夫、大丈夫」
セイラは子供を抱きしめた、悪化して行く戦場、セイラは一日でも早く終わる様に願った。
「レイア様・・・・これをお持ち下さい」
レイアは国外から脱出する事になった。
ミーナ城を出るレイアに一枚の封筒を渡した。
「これは?」
「クロエヘム王国に着きましたら城へこれを出せばわかります」
「わかった」
「どうかお気をつけ下さい」
ミーナはレイアを見つめるとレイアは力強く頷いた。
その封筒はミーナの最後の希望だった。
悲しみが溢れるこの国にミーナは悲しみを感じて居た。
「神様・・・・どうか・・・・どうかこの悲しみが消えますように」
ミーナは静かな城内で神に祈りを捧げた。