約束(10)
「ミーナ」
医務室の外に立って居たのはロックスだった。
「ロックス様」
「もう、良いのか?」
「はい、ご迷惑をおかけいたしました」
ロックスはミーナの頬にそっと触れた、ミーナはいきなりの事で目を丸くした。
「お前、何を隠してる」
「・・・・ロックス様、私はただの村娘、何も隠してはおりません」
ミーナは真っ直ぐロックスを見つめ言うとロックスは大きな溜め息を吐いた。
「本当にお前はわからんな、まぁいい、回復したなら今日からお前は俺につくいいな」
ミーナはまた目を丸くしてロックスを見た。
「お受け出来ません、ロックス様にはユーア様がついておられます」
「ユーアにはお前の補佐に回らせる、行くぞ」
ロックスはミーナの腕を掴むと歩き出した。
「ロックス様」
ミーナは自分に何がおきて居るのか全く理解が出来ないままロックスに連れられ歩いた。
「お兄様」
「レイア」
レイア姫、ロックスの妹だ。
「ミーナ」
「セイラ」
レイアの後ろにセイラは歩いて居た。
「あなたがミーナさん」
「はい、お初にお目にかかります、レイア姫様」
ミーナは跪こうとしたがロックスが腕を掴んで居るので深くお辞儀しか出来なかった。
「私、セイラを気に入ったの、だってあの嫌味女に平手打ちしたって聞いたんだもん」
「レイア様」
セイラは困った様な表情をして顔を赤くした。
「セイラ」
「だって、ミーナ」
セイラは拗ねた様に唇を尖らせてミーナを見ると、ミーナは呆れた様にセイラを見た。
「お兄様、どちらへ?」
「こいつの服を選びに行くところだ」
「まぁ、でしたら、私たちもご一緒してよろしいかしら?」
「あぁ、かまわん」
「ロックス様、手を離していただけませんか?」
ミーナはいつまでも掴まれて居る腕を見ながらロックスに言うとロックスは呆れた表情をした。
「お前逃げるだろう、ほら、行くぞ」
ロックスはそのまま歩き出した。
「ミーナさんはお兄様のお気に入りなのね」
レイアは楽しそうに笑顔を見せた。
「まぁ凄い」
「本当に」
大広間、そこにはたくさんのドレスと仕立て屋が待って居た。
「お待ちしておりました」
ミーナは諦めた様に溜め息を吐いた。
「お兄様、こちらがいいわ」
「こっちの方が似合うだろ」
ロックスとレイアとセイラは楽しそうにドレス選びを始める、その姿をミーナは優しく微笑み見つめて居た。
「ミーナ」
「ミーナさん」
セイラとレイアはミーナにドレスを見せるとミーナは小さく頷いた。
今のミーナは幸せだと感じて居た、城入りをして初めて感じた穏やかな時間。