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追放された無能の俺、実は“経験値を奪うスキル”持ちでした。仲間が弱体化していく中、俺だけ無限成長で最強に  作者: 慈架太子


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第3章:女騎士と最強コンビ結成

金貨70枚という大金を懐に入れたヴァルティスだったが、贅沢な宿に泊まる気など毛頭なかった。彼が向かったのは、自らの魔力で築き上げた「静寂の森」の拠点である。


「さて……ここからは、真の意味で『自分を造り替える』時間だ」


限界突破:意図的な枯渇と爆成長

拠点に到着したヴァルティスは、まず自身の全魔力を消費し尽くす実験を開始した。これまでは戦闘の副産物として起きていた魔力切れを、意図的に、かつ徹底的に引き起こす。全属性のバレットを全方位に乱射し、空を音速で駆け巡り、最後に巨大な『スチームエクスプロージョン』を無人の荒野に叩き込む。


「……っ、がは……あ、ああ……」


視界が歪み、立っていることすらできない猛烈な虚脱感。だが、その刹那――。森の、そして大地の魔素が、濁流となって彼に流れ込んだ。「魔力吸収」の発動だ。一回ごとに、ヴァルティスの魔導回路は限界を超えて膨張し、最大魔力量が爆発的に増大していく。


肉体の改造:アクセルとマッスル

次に彼が着手したのは、魔法による肉体の直接強化だ。

「水魔法、浸透……『身体強化・アクセル』」

細胞のひとつひとつに高圧の魔力水を循環させ、神経伝達速度を極限まで引き上げる。

「水魔法……『肉体強化・マッスル』」

さらに水魔法の圧力を利用し、筋肉の出力を強制的に引き上げる。魔力を纏うことで、ただの拳が岩をも砕く凶器へと変わった。


武具の錬成:近接戦闘の修練

「『アイス・フォージ(氷の鍛造)』」

掌から冷気を放出し、瞬時に武器を成形する。鋭い「ソード」、リーチの長い「ランス」、一撃の重い「大槌メイス」。さらに「ハルバード」「グレイブ」と、戦況に合わせて次々と武器をスイッチしていく。彼は独り、風の魔力で作った「分身」を相手に、夜通し近接戦闘を鍛え上げた。


究極の自給自足:一人焼肉と露天風呂

修練が終われば、至福の時間が待っている。ヴァルティスは、今日狩ったばかりの獲物の肉を『ウォーターカッター』で精密に解体した。食べる分だけを切り分け、残りの素材と売却用の魔石を回収する。


家の中の家具も、すべて土魔法で整えた。石のベッド、テーブル、椅子、かまど、石板、皿、カトラリー。さらに水魔法で、石のベッド枠に合わせた『ウォーターマットレス』を作り出した。


「よし。準備は整ったな」


竈に火を灯し、石板の上で最高級の肉を焼く。仕上げに、氷の魔法で『氷のジョッキ』を作り出し、そこに街で買ってきたエールを注ぐ。キンキンに冷えた酒を流し込み、熱々の肉を口に運ぶ。


「……美味い。これが、自由か」


夕食の後は、拠点の裏手に作った特製露天風呂へ。土魔法で掘り起こした岩の浴槽に、水魔法で満たし、火魔法で絶妙な湯加減に調整する。月明かりの下、属性を極め、魔力を無限に拡張し、生活のすべてを自らの力で支配する。この充足感こそ、彼が求めていたものだった。



拠点の露天風呂で羽を伸ばしていたヴァルティスだったが、森の静寂を切り裂く異様な「死の気配」に眉をひそめた。それは生命の循環を拒絶する、淀んだ魔力の奔流。


「……せっかくの湯冷ましを邪魔するなよ」


彼は即座に湯から上がり、土魔法で生成した簡素な衣を纏うと、風の魔力を足元に爆発させて空へと舞い上がった。


死の軍勢:二千のアンデッド

森の境界付近、かつては緑豊かだった一帯が、どす黒い霧に包まれていた。そこを埋め尽くしていたのは、うごめく骨の兵士スケルトンと、腐敗した肉を滴らせる屍人ゾンビの群れ。その数、およそ2000体。


「これだけの数、どこから湧いて出た……?」


群れの中央には、深手を負った数人の冒険者が円陣を組み、絶望的な防衛戦を強行していた。その中心で祈りを捧げる一人の神官。彼女の「光」の障壁が、かろうじて死臭漂う波を押し留めている。


「検証の相手には丁度いい。……行くぞ」


空中急襲と近接の嵐

ヴァルティスは『飛行魔法』で音速に近い加速をつけ、垂直に戦場へと突っ込んだ。


「『肉体強化・マッスル』……『身体強化・アクセル』!」


着地の瞬間、足元に『スチームエクスプロージョン』を炸裂させ、周囲のアンデッド数100体を一気に消し飛ばす。衝撃波で立ち込める土煙の中、彼は掌から冷気を放出した。


「『アイス・フォージ:グレイブ』!」


成形された氷の長柄を振るい、一閃。加速したヴァルティスの動きは、ゾンビたちの腐った眼球では捉えきれない。横一線に薙がれた氷刃が、数10体のスケルトンの首をまとめて撥ね飛ばす。


武器を「ウォーハンマー」にスイッチし、大槌の面で地面を叩きつける。土魔法による地割れが起き、足元を掬われた死者たちが粉砕されていく。さらに彼は、近接戦闘の合間に至近距離から魔法を放った。


「『ウィンドバレット』・全方位乱射!」


見えない衝撃波が四方八方に走り、包囲網をズタズタに切り裂く。剣、ランス、ハルバード、グレイブ、ウォーハンマー。氷の武具を次々と入れ替えながら、彼はたった一人で2000の軍勢を蹂躙していった。


魔力吸収の「食害」

戦いの中、ヴァルティスはある確信を得る。


「アンデッドの原動力も魔力だ。なら、吸えないはずがない」


彼はあえて武器を捨て、右手を前方の群れに突き出した。

「……吸え」


「魔力吸収」が発動する。アンデッドを繋ぎ止めている魔力を直接引きずり出した。魔力を抜かれたゾンビたちは、糸の切れた人形のように崩れ落ち、塵へと還っていく。一度に数100体から魔力を強奪し、ヴァルティスの「器」へ放り込む。


負のエネルギーが体内に流れ込むが、即座に最大魔力量の拡張へと変換される。2000体いた軍勢は、物理的な破壊と魔力的な略奪によって、わずか数分で全滅した。


戦場に沈黙が戻る。ヴァルティスは肩で息をしながら、助け出された冒険者たちへ歩み寄った。そこには、極限まで光の魔力を使い切り、意識を失いかけている神官の姿があった。彼女の体から漏れ出す淡い「光」の残滓が、ヴァルティスの指先に触れた瞬間、彼の魔導回路が今までとは違う温かな反応を示した。


「これが……光属性か」


彼は、瀕死の神官を抱え上げ、自身の拠点へと運ぶことにした。



アンデッドの軍勢を塵へと変えたヴァルティスは、静寂が戻った森の中で、力なく地面に伏せる冒険者たちを見下ろした。その中心で倒れていた神官の少女を慎重に抱え上げ、残る三人の冒険者たちに声をかける。


「動けるか。……俺の拠点に来い。ここで死なれては、後味が悪い」


呆然と立ち尽くしていた彼らは、ヴァルティスの圧倒的な存在感に気圧され、ただ頷くことしかできなかった。


拠点の奇跡:ウォーターヒールの輝き

森の奥深く、突如として現れた石造りの堅牢な建物。冒険者たちが困惑する中、ヴァルティスは彼らを石の椅子へ座らせた。


「……ひどい傷だな」


一人の剣士は脇腹を深く抉られ、神官の少女は魔力枯渇と打撲で青ざめている。ヴァルティスは掌をかざし、これまでに練り上げてきた水属性の魔力を集中させた。


「『ウォーターヒール』」


柔らかな青い光を帯びた魔力水が、冒険者たちの全身を優しく包み込む。単なる傷口を塞ぐだけの応急処置ではない。高密度の魔力が細胞の隅々にまで浸透し、欠損した組織を再生させ、溜まった疲労物質を洗い流していく。


「あ……傷が、消えていく……?」

「身体が……軽い。さっきまでの痛みが嘘のようだ」


神官の少女も、潤いを取り戻した瞳をゆっくりと開いた。彼女は、自分を救った男の底知れない魔力に驚愕しながらも、深々と頭を下げた。


究極の接待:焼肉とエール

治療を終えたヴァルティスは、無造作に竈に火を灯した。


「腹が減っては回復も遅れる。食え」


彼は『ウォーターカッター』で、今日狩ったばかりの新鮮な獲物の肉を、焼肉に最適な厚さへと精密に切り分けていく。熱せられた石板の上で、脂の乗った肉が弾けるような快音を立てた。立ち昇る香ばしい匂いが、死線を彷徨った者たちの食欲を猛烈に刺激する。


さらに彼は、氷魔法で生成した『氷のジョッキ』を人数分用意し、冷えたエールを惜しみなく注いだ。


「さあ、遠慮はいらん。これは俺の趣味だ」


冒険者たちは、差し出された焼肉を震える手で口に運んだ。

「……っ! 何だこの肉は、美味すぎる!」

「このエール、キンキンに冷えてやがる……! 聖域で供される神酒のようだ……」


アンデッドに追い詰められていた先ほどまでの地獄が、まるで悪い夢だったかのような光景。ヴァルティスは一人、彼らから少し離れた席で、自身の氷のジョッキを傾けた。


安らぎの露天風呂

食事が一段落したところで、ヴァルティスは拠点の裏手にある露天風呂を指差した。


「奥に湯を張ってある。身体を清めてから休め。女は神官が一人か。先に入るがいい、男たちはここで待たせる」


「……あ、ありがとうございます。何から何まで……」


神官の少女は、赤らめた顔で露天風呂へと向かった。

月明かりの下、適温に保たれた湯船に浸かり、彼女は今日起きた出来事を反芻していた。二千のアンデッドを一瞬で葬り去り、失われた属性魔法を自在に操り、さらには贅を尽くした食事と湯でもてなす男。


(あの御方は……一体何者なのでしょう。神の遣いか、それとも……)


彼女が湯から上がった後、残りの男たちも交代で風呂に入り、死の恐怖に凍りついていた心身を芯から解きほぐした。


光属性の胎動

冒険者たちが、ヴァルティスが土魔法で用意した石のベッドと『ウォーターマットレス』で深い眠りに落ちた頃。

ヴァルティスは一人、暖炉の火を見つめていた。


神官の少女を治療した際、彼女から感じ取った「光」の残滓。

そして今、彼を救世主のように仰ぐ彼女が放った、純粋な「感謝」という名の祈り。


(……来るな。これが、光の理か)


ヴァルティスの体内で、今まで欠けていたパズルの最後のピースが震え始めた。

闇を退けるのではなく、生を肯定し、守り抜く力。

彼の魔導回路が、神聖な輝きを帯びて静かに変質を開始した。



翌朝、石造りの拠点に柔らかな朝日が差し込む中、目を覚ました冒険者たちは、昨夜の出来事が夢ではなかったことを悟った。湯を使い、清潔な石のベッドと『ウォーターマットレス』で泥のように眠った彼らの顔には、生気が戻っていた。


「……おはよう。気分はどうだ」


焚き火でスープを温めていたヴァルティスが、短く声をかける。冒険者たちは慌てて居住まいを正し、代表して神官の少女が前に出た。


「昨夜は本当に……ありがとうございました。私は神聖国家の修道騎士団に所属する神官、エルナと申します。こちらは護衛の冒険者、ラウル、ギル、トードです」


ヴァルティスもまた、短く名を名乗った。かつてギルドで「無能」と蔑まれていた名だが、今の彼が口にすると、それは峻烈な響きを持って響いた。


属性の模倣:光の理

「エルナと言ったか。……お前の使う『ヒール』、もう一度ここで見せてくれないか。興味がある」


ヴァルティスの唐突な頼みに、エルナは戸惑いながらも頷いた。彼女は自身の傷跡に手をかざし、祈りを捧げる。

「……慈愛の光よ、癒やしを与え給え。『ヒール』」


柔らかな黄金の光が彼女の掌から溢れ、周囲の空気を清浄に変えていく。ヴァルティスはその光の揺らぎ、魔力の波長、そして「祈り」という指向性がどのように魔力を変質させているかを、その鋭い眼光で見切った。


(なるほど。放出ではなく、対象の生命力を共鳴・増幅させる波形か……)


「……こうか」


ヴァルティスが右手を掲げると、エルナが放ったものよりも数十倍濃密な、太陽のような輝きを放つ光球が室内に現れた。


「えっ……!? 詠唱もなしに、これほどの聖魔力を……!?」


エルナが絶句する。ヴァルティスの中で、水、風、火、土の四属性が「光」という中心軸を得て統合されていく感覚があった。


聖なる弾丸:光属性バレットの開発

ヴァルティスは即座に、習得した光属性を自らの「バレット」へと組み込んだ。


「『ヒールバレット』」

放たれた光の弾丸は、ラウルたちの古傷に当たると同時に弾け、一瞬で組織を完璧に再生させた。


「『ホーリーバレット』」

高密度の聖魔力を圧縮した弾丸。物理的な破壊に加え、邪悪な存在を内側から焼き払う浄化の衝撃を宿す。


「『ピュリフィケーションバレット』」

広範囲を光の粒子で満たし、呪いや毒、アンデッドの腐敗そのものを「無」に帰す究極の浄化弾。


「……よし。これで、あの群れの残党も片付く」


アンデッド完全無双:光の雨

拠点の外、森の奥から再び這い出してきたアンデッドの残党数百体が、ヴァルティスの気配を察知して集まってきていた。エルナたちが身構えるが、ヴァルティスは一歩前に出るだけで十分だった。


「空から失礼するぞ。……『飛行魔法』」


爆風と共に上空へ舞い上がったヴァルティスは、十指を広げ、真下へ向けて「光の雨」を降らせた。


「『ピュリフィケーションバレット』・極限連射」


シュシュシュシュッ!! という清廉な音が響く。

地上に降り注ぐ無数の光弾。それらは地面に着弾しても爆発せず、アンデッドに触れた瞬間に、彼らを構成する「死霊魔力」を光のエネルギーへと置換・霧散させていく。


「ア……ァ……」


ゾンビたちが、苦しむ様子もなく光の粒子となって消えていく。汚れなき光の奔流。わずか数秒で、森を覆っていたどす黒い霧は完全に晴れ、木々には瑞々しい緑が戻った。


伝説の師匠、その「約束」

地上に降り立ったヴァルティスに、エルナたちは畏怖を超えた羨望の眼差しを向けていた。彼らは、これほどの力を持つ御方に、少しでも近づきたいと願わずにはいられなかった。


「ヴァルティス様! お願いです……私たちを、あなたの弟子にしてください! その戦い方、その魔法の真髄を、どうか……!」


エルナが膝をつき、冒険者たちもそれに続く。

だが、ヴァルティスは静かに首を振った。


「断る。今は自分の魔力制御と、この拠点の整備で手一杯だ。他人を教える余裕などない」


実際、ヴァルティスは「光」を得たことでさらに拡張された自身の魔力、その暴走を抑える訓練に集中したかった。最強への道は、まだ道半ばなのだ。


「そんな……。ですが、いつか……いつかお時間ができた時で構いません! 私たちは諦めませんから!」


エルナは食い下がる。その真剣な瞳に、ヴァルティスは小さく息を吐いた。


「……落ち着いたらだ。いつになるかは約束できんが、その時が来たら考えてやる」


「……『約束』ですからね、ヴァルティス様! 必ず、また会いに来ます!」


エルナは、まるで宝物を手に入れたような笑顔で念を押し、仲間の冒険者たちと共に森を去っていった。


ヴァルティスは、遠ざかる彼女たちの背中を見送りながら、独りごちた。

「教える、か……。そんな柄じゃないんだがな」


だが、彼の知らないところで、この出来事は「森の賢者」あるいは「光の聖師」の伝説として、冒険者たちの間に静かに、しかし確実に広がっていくことになる。



エルナたちが去ってから数ヶ月、「静寂の森」の拠点はヴァルティスの土魔法と火魔法によって、もはや邸宅と呼べるほどに堅牢で機能的なものへと拡張されていた。


ある日の夕刻、ヴァルティスは森の深部から漂う、アンデッドの腐臭とは異なる「鋭い殺気」と「断末魔の叫び」を察知した。風の魔力で現場へ急行した彼が目にしたのは、折れた白銀の剣を杖代わりに、数百の魔獣の残骸の中で膝をつく一人の女騎士だった。


救助と沈黙の夜

全身の鎧はひび割れ、脇腹からは鮮血が滴っている。彼女の意識は混濁しており、ヴァルティスの姿を認めると、一言「……不覚」と呟いて崩れ落ちた。


ヴァルティスは無言で彼女を抱え上げ、拠点へと運んだ。

即座に『ウォーターヒール』と『ヒールバレット』を並列起動し、外傷と内臓の損傷を完璧に塞ぐ。意識を取り戻した彼女を、まずは土魔法で磨き上げた清潔な石の風呂へと促した。


「……すまない。助けられたようだな」


風呂から上がり、ヴァルティスが用意した柔らかな綿の衣を纏った彼女は、暖炉の前で温かいスープを啜りながら、ようやく人心地ついたようだった。


「私は王国近衛騎士団、副団長のセレナだ。正体不明の魔物暴走の調査中に、部下とはぐれてな……。貴殿の名は?」


「ヴァルティスだ。ただの、しがない冒険者だよ」


「……その魔力量で『しがない』は無理があるだろう」


セレナは苦笑しながら、ヴァルティスが石板で焼いた極上の肉を口にした。その瞳には、救い主への深い感謝と、底知れない実力者への敬意が宿っていた。


契約:剣と魔法の交換

食後、ヴァルティスは暖炉の火を見つめながら切り出した。


「セレナ。頼みがある。……俺に、本物の『剣術』を教えてくれないか」


「剣術……? 貴殿ほどの魔法使いが、なぜ?」


「俺は魔法には目覚めたが、剣の基本を知らない。型も、重心の移動も、実戦での駆け引きもな。……代わりに、俺の魔法をすべて教えよう」


セレナは驚愕に目を見開いた。ヴァルティスの魔法は、一介の騎士が一生かかっても拝めないほど高密度なものだ。それを「教える」という提案は、あまりに破格だった。


「……面白い。私の剣が貴殿の役に立つなら、喜んで指南しよう」


伝説の修行:アクセルとマッスル

翌朝から、森の広場での過酷な修行が始まった。

ヴァルティスはセレナに、自らが開発した肉体強化の極致を伝授した。


「いいか、魔力を外に放つな。細胞の隅々、血管の一本一本に『水』の圧力を浸透させろ。……それが『身体強化・アクセル』だ」


セレナは元々一流の騎士だったが、ヴァルティスの教えに従い魔力を内側に回した瞬間、世界が一変した。

「なっ……! 身体が……羽のように軽い!」


さらに土と水の性質を筋肉に定着させる『肉体強化・マッスル』、そして武器に属性を付与する『属性付与エンチャント』。


「『アイス・エンチャント』!」

セレナが借り物の剣を振るうと、一太刀で森の巨木が凍てつき、粉砕された。


逆に、ヴァルティスはセレナから徹底的に剣の基礎を叩き込まれた。

「ヴァルティス! 重心が浮いている! 踏み込みは一瞬、魔力の爆発と同時に足裏で大地を掴め!」


セレナの鋭い叱咤。ヴァルティスは『アクセル』を極限まで使い、彼女の神速の剣筋をその身で覚え込んでいく。


師弟以上の感情

修行は数週間に及んだ。ヴァルティスはセレナに、自身の代名詞である『バレット』の術式や、禁忌とも言える『魔力吸収』の概念までをも惜しみなく教えた。


セレナは驚異的な速度で強くなっていった。元々の騎士としての地力に、ヴァルティスの規格外の魔法が合わさった結果、彼女はもはや王国最強の騎士すら凌駕する「魔法戦士」へと変貌していた。


「……ヴァルティス。私は、今まで強さとは孤独なものだと思っていた」


ある日の夕暮れ。修行を終え、並んで夕陽を眺めていたセレナが、頬を微かに染めて呟いた。


「だが、貴殿に鍛えられ、貴殿を鍛えるこの時間は……何よりも誇らしく、そして、あたたかかった」


剣を握るしか知らなかった女騎士の瞳は、いまや一人の女性としての熱を帯びてヴァルティスを見つめている。彼女にとって、ヴァルティスは命の恩人であり、並び立つ師であり、そして――。


「……これからも、ここに居て良いだろうか? 弟子の身として、貴殿の傍で剣を振るいたい」


ヴァルティスはその視線の意味に気づかないふりをして、ジョッキのエールを飲み干した。

「……好きにしろ。弟子は一人も二人も変わらん」


「……ふふ、愛想のない師匠だ」


セレナは嬉しそうに微笑み、ヴァルティスの肩にそっと自分の肩を寄せた。

これが、のちに千人の弟子を抱えることになる「伝説の師匠」の、記念すべき一人目の弟子の誕生であった。



拠点での修行が始まって数ヶ月、ヴァルティスは自身の驚異的な成長記録を元に「強くなるための体系」を確立させつつあった。それは魔導士の常識を覆す、過酷かつ合理的な「進化の法則」である。


進化の法則:魔力の新陳代謝

「セレナ、出し惜しみするな。一滴残らず使い果たせ。空っぽにならなければ、新しい魔力は入ってこない」


ヴァルティスの指導は苛烈を極めた。


魔力の完全枯渇:全魔力を使い切り、意識が飛ぶ寸前の虚脱感を味わわせる。そこからの「魔力吸収」による補填で、器の縁を強引に押し広げる。


常時発動の負荷:『身体強化・アクセル』と『肉体強化・マッスル』を戦闘時以外も常に維持させる。魔力操作を呼吸と同じレベルまで無意識化させ、練度を極限まで引き上げる。


このサイクルを繰り返すことで、最大魔力量は幾何級数的に増大していく。


セレナの変貌:魔力による肉体再構築

特筆すべきは、セレナの肉体に起きた劇的な変化だった。

膨大な魔力が細胞の隅々にまで浸透し、不純物を排したことで、彼女の容姿はもはや人間離れした神々しさを帯び始めていた。


「……ヴァルティス、この服、またきつくなった。……視線が困る」


かつては一介の女騎士だった彼女は、いまや誰もが息を呑む超美人に変貌していた。

魔力の活性化により骨格すらも理想的な形へと再構築され、四肢はしなやかに伸び、立ち姿は凛として美しい。さらに、女性らしい曲線美も強調され、ウエストは驚くほどくびれ、胸や尻の肉付きは健康的な色気を放っている。

ヴァルティスの「マッスル」の教えが、彼女をただの戦士ではなく、完成された「美の化身」へと昇華させたのだ。


予言の再訪:エルナ一行の弟子入り

そんな折、約束通り神官エルナと三人の冒険者が拠点を再訪した。


「ヴァルティス様! 約束通り、鍛えていただきに参りました!」


エルナは満面の笑みで現れたが、ヴァルティスの傍らに立つ「絶世の美女」に変貌したセレナを見て、一瞬で顔をこわばらせた。


「……そちらの、信じられないほど綺麗な方は……どなたですか?」

「一番弟子のセレナだ。お前たちもやる気があるなら、今日から弟子にしてやる」


ヴァルティスは決意していた。己の力を隠す段階は終わった。この理を広め、最強の集団を作ることも悪くない。

彼はエルナたちにも、自身が培ったすべての技術――『アクセル』『マッスル』『バレット』、そして『魔力吸収』の概念を惜しみなく教え始めた。


空を駆ける弟子たち

修行の一環として、セレナが『飛行魔法』を使い、上空から魔獣を狩る姿を披露した。

「……いくぞ。『ウィンドバレット』!」

音速の壁を突破し、空中で優雅に舞いながら獲物を一撃で仕留めるセレナ。その姿は、まるで戦場の女神そのものだった。


それを見たエルナは、瞳を輝かせて叫んだ。

「す、すごいです! ヴァルティス様、私にも……私にも空の飛び方を教えてください!」


エルナもまた、厳しい修行の中でヴァルティスに心酔していった。

自分を救い、導き、そして見たこともない景色を見せてくれる師匠。

彼に褒められたい、認められたいという一心で、彼女の魔法もまた爆発的な成長を見せる。エルナもまた、気づけばヴァルティスを見つめる瞳に、信仰心以上の「恋心」を宿すようになっていた。


「……ふん、二人とも。次は『属性付与』の応用だ。ついてこい」


ヴァルティスは、二人の乙女の熱い視線に気づかぬふりをしながら、広場へと歩き出した。

弟子が五人。だが、この森に集う「強さを求める者」たちの波は、これからさらに加速していく。

ヴァルティスは、ついに「伝説の師匠」としての第一歩を、力強く踏み出したのである。

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