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ある日、僕は全知全能になった。  作者: 暁月ライト


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全知全能と秘伝

 気絶したウィーを背負って、僕は森の中を歩いていた。起こしても良かったけど、アレはかなり疲労が溜まる技というか術だし、少し眠らせておいてあげたかった。


「こっち、か」


 僕は魔術によって方向を調べ、アシラとナーシャの特訓している方へと向かった。僕とウィーがやったように、アシラがナーシャに近接を教えているか、ナーシャがアシラに魔術を教えているんだろう。


「あ、居た居た」


 僕は声を上げ、木々の奥で向かい合う二人に向かって走って行こうとして……足を止めた。


「『根を呼び、芽を尋ね、蔓を結べ』」


「ふッ!」


 緑色の魔法陣が花開き、それを見たアシラが真っ直ぐ飛び込んで剣を振るった。ナーシャは手に持った短剣でそれを往なし、詠唱を続ける。


「『蔓合(ヴィンクタ)』」


 地面から伸びた蔓がアシラの足元に絡み付き、その動きを封じ込めようとするが、アシラは後ろに跳び退いてそれを回避する。が、そこにナーシャは指先を鋭く向けていた。


「『魔尖弾(マナピアサー)』」


 指先に開いた魔法陣から、先の尖った魔力弾が放たれてアシラを狙う。


「はぁッ!」


 だが、それを読んでいたかのようにアシラは魔力を込めた剣で魔尖弾を逸らした。アシラの頬を掠め、背後の木が貫かれる。怖い。


「『泥へ、泥へ』」


「……ナーシャ」


 続けて魔術を唱えようとしたナーシャに、アシラは声を掛けて……そして、僕らの方を見た。


「ここら辺にしておこう。向こうは終わったみたいだ」


「むぅ……」


 消化不良とでも言った顔をして、アシラの視線の先を……僕らの方をナーシャは見た。別に、止めろなんて言ってないんだけどね。


「魔術ありの模擬戦をこれ以上続けていたら、巻き込まれてしまう危険があるだろう?」


 確かに、あの魔尖弾の逸らされた先に僕らが居たらと思うと怖かった。もしかしたら、アシラはあの時に事故らないように気配を探っていたから僕らに気付いたのかも知れないけど。


「……仕方ない。また、今度」


「そうしておこう」


 どうやら納得が得られたらしいナーシャに、僕もウィーを背負ったまま駆け寄って声を掛けた。


「お疲れ様、どうだった?」


「ははっ、僕は十分に学べたけど……そっちも思う存分にやれたみたいだね」


「あはは。いやぁ、どうかなぁ」


 学び合うことは出来たけど、僕らはアシラとナーシャみたいに模擬戦まではやれてないからね。一応、近接のみで試し程度にやり合ったのと、ゴーレム相手に術は教えてない状態でウィーが圧倒してたくらいだ。


「でも、怪我してない……ウィー、余裕だった?」


「いや、余裕とかじゃなくてね……そもそも、僕とウィーは戦ってないから。ウィーは気絶してるだけだよ」


「……戦ってないなら、どうして気絶してるんだい」


 まぁ、そうなるよね。


「僕の秘伝の術を教えた結果、ウィーは耐え切れずに気を失ってしまったんだよ」


「秘伝の術……ッ!?」


「あ、ごめん。適当だから」


 だから、そんなに驚かないで欲しいな。ナーシャ。


「しかし、それなら何故気絶してしまったのかな?」


「ん、術に耐え切れずに気を失ったってのは嘘では無いよ。まぁ、それだけじゃないけど……」


 僕は少し悩んだ末に、アシラに話した。


「そもそも、僕が教えた術自体が時間制限付きの扱いが難しい術って言うのもあるんだけど、それに付加して色々とウィーがやったから、結果的に耐え切れずに気絶したって感じかな」


 流石に、あの術を使い続けるだけでは気絶はしないと思うからね。よっぽど無理したらアレだけど、普通なら魔力が足りなくなって術自体が切れるだけだ。


「……どんな術だい?」


 若干アシラの視線が険しくなったのを見て、僕はちょっと震えた。


「ん、普通に身体強化系の術だよ。正確には、感覚強化……その、統合的な管理と最適化の為の術かなぁ」


「……あまり、聞いたことのない魔術だね」


「私にも教えて」


 流石はナーシャだね。ウィーの心配はもう消え失せて、術のことが気になっているらしい。まぁ、僕が平気そうな顔で背負って来ている時点で大丈夫なのは察せるとは思うけども。


「まぁ、簡単に言ったら頭の使い過ぎで倒れちゃったみたいな、知恵熱みたいなもんだよ」


 違うけど、このくらいの例えの方が分かりやすいだろう。


「……大丈夫、なんだね?」


「勿論。尤も、自分を壊す気で使おうと思えば、そう出来なくも無いだろうけど……それはどの魔術でも同じだし、ウィーも今回ので超えちゃいけないラインは分かった筈だよ」


 何度も同じ失敗を犯すようなウィーじゃないだろう。


「そうかい……それなら、安心したよ。それで、その感覚強化の術というのはどのくらい、強力なのかな? この時間で覚えられたということは、誰でも覚えられるくらいの術ということだろうから……僕にも扱えるものならば、僕も覚えたいところだけど」


「うーん、強力だし覚えられるとは思うよ。でも、ウィーほど簡単に行くかは……分からない。感覚の強化は、本当に感覚と言うかセンスによるところはあるから」


「……なるほどね。感覚派のウィーには丁度良い術だったということかな」


「大丈夫、私なら一分で習得出来る」


 どうだろう……ナーシャは、寧ろ理論派だからウィーより時間かかりそうな気もするけど。

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