story 3
それはルカが町の方へと歩みを進めていた道すがらのお話である。
歩き始めてから数時間。始めは明るかった空もだんだんと暗くなって行き、気づけば日没目前(はたしてずっと目にしていた光の玉が元住んでいた太陽系の中心に浮かぶ太陽と同じものであるかは不明だが、そんな細かいことまで気にしていると頭が疲れると考えたルカは「もう太陽でいいや。」と考え、日没と呼んだ。)となっていた。
そろそろ一夜を明かせるような場所を探さなくては!と意気込んだ彼であったが、なかなか野営ができる場所が見つからない。
少し前に大きな木を見つけて、その付近に洞窟を見つけたのだけれどすでに野生の動物が寝床にしている可能性があるのでそういう危険は避けたかった。
何せ、武器も何もないからね!エッヘン。
とまぁ茶化してみたものの本当に今の状態じゃダメージ=即死の可能性もあるので別の場所を探しているのだ。
ん?何を基準に野営地を探してるのかって?
フフン、それは簡単だよ(´・ᴗ・`)
まず、川の近くが望ましい!
水は煮沸してから飲むとして、目覚めてから街を探すには川を辿れば見つかる可能性があるからだよ。
確か、古代エジプトの文明もナイル川の流域で発展したわけだし、今がどんな文明基準だろうと可能性が高いってこと!
どう?僕頭いいでしょ?
そして次は…次は……。
ごめん、僕前世ではサバイバルなんて1度も経験がなくて動画配信サイトで見た外国人さんのブッシュクラフトからしか知識がなくて…。
ハッ!そうだ!粘土だよ!粘土があれば水と混ぜることでセメント的な役割が果たせる!それと後、平たい石は欲しいし…火起こしのために枯れ木なんてあるといいね!
ありがとうぅ前世の僕!
これで生き延びれる!
━数分後━
そこには、すごく魅力的な秘密基地ができていた。
「…へ?」
驚くのも無理はない。
これはルカが天才的な発想をし、涙を流しながら前世の自分を褒めたたえた直後のことである。
野営の条件に合う場所を求めて周囲を見渡すと幸運な事に最適な場所を見つけたのだ。
地面にはびっしりと苔が生えており、雨に降られても心配は無いであろう。
少し離れたところには小川が流れており、しかも澄んだ水、散りばめられた平らな石。
更には固定具になる、硬さのちょうどいい竹や麻、火起こしにちょうどいい枯れ木まであった。
ルカはガッツポーズ。
体を解し、いざ野営地作りに動かんとした直後、眼前にウィンドウが出たのだ。
そこにはこう書かれていた。
【建築スキルを使用可能。秘密基地を作成しますか?】
【はい・いいえ】
見た事ないウィンドウ…てか勝手に出てきたね。
いやでもちょっと考えよう。
ここでスキルに頼るとどうなるんだろうか?
この体じゃ筋肉とかついてなさそうだし重いもの持って鍛える過程がすっ飛ばされるんじゃないかな?後は…自分で思い描いたものが作れなかったりするんでなかろうか。
よし、ここはスキルに頼らず自分の手で─
【制限時間を過ぎたため、オートモードで建築を開始。残り10秒終了まで】
え、ちょま、勝手にやんないでよ!
ちょちょちょ…
制限時間なんて初めて知ったルカは慌ててスキルを止めようとしたが時すでに遅し。
気づけばすでに10秒が経過し、そこには立派な秘密基地が出来ていた。
そして今に至るという訳だ。
「これは…なんというか。うん、秘密基地だね。」
そのままである。
「勝手に出来上がるってどんなスキルよ…これぶっ壊れでは?いや、そんなこと考えてる場合じゃ無いね!そうだね!もう日が暮れ始めてるや。取り敢えず木の枝を集めてこよ」
我に返ったルカは薄暗くなった森にビビり散らかしながら枝を集めるのであった。
つづく