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こけしん坊

作者: 青空あかな
掲載日:2023/12/30

 あんたさ、“こけしん坊”って知ってる?


 いや、“こけし”じゃなくて、“こけしん坊”だよ。

 ……ああ、やっぱり聞いたことない?。

 まぁ、こんな山奥の村にしかないだろうね、そんな変な物は。

 言ってしまえばただの“こけし”なんだけど、普通の“こけし”と違うのはね、頭の後ろにも顔があるんだよ。

 ほら、こんな風に。

 ……はは、気持ち悪いだろ。

 昔は村の特産品にしようって話もあったんだけどね、なるわけないだろっての。

 誰も買わないよ、こんな気持ち悪いの。

 思った通り、外から来た人間は一人も買わなかったね。

 買うのはいつも貧乏な村人だけ。

 そんなんじゃ続く物も続かない。

 そのうち一軒二軒と工房も消えて行ったよ。

 今ではこの辺りでも作ってる人はいないんじゃないかな。

 十年くらい前までは、爺さん婆さんがろくろ回してるの見たことあるけどさ。

 名前の由来はそうだねぇ……“こけし”と“辛抱”をかけた……うん、言葉遊びみたいなもんだよ。


 どうして顔が二つもあるのか?

 そりゃあ、表と裏で二回楽しめるからだよ。

 そのまんまだね。

 浅ましいって言う人間もいるけど、俺はお得だと思うよ?

 だって、子供が新しいのねだっても買わなくていいじゃん。

 反対側の顔見てなさい、飽きたらまた表の顔見なさい、そうすればずっと楽しんでいられるでしょ? ってね。

 そうすりゃ子供も逆らえないだろうよ。

 実際、そうやって言いくるめられた子供はたくさんいたな。

 うまく作られてるよねぇ。

 昔ここに住んでた人間は、子供の駄々が面倒なことをちゃんとわかってたんだ。

 おまけに色塗らない分節約もできるよね。

 子供の駄々は誤魔化せるし、金も浮く。

 まぁ、俺が言うのもなんだけど、せこい人間が多かったんだろうよ。

 そこら辺からも村の風土がわかるんじゃないかな。


 ただ、裏の顔は服着てないんだけどね。

 そう、“こけしん坊”の。

 裸のまんま。

 木が剥き出し。

 ……うん、これもそうだし、それもそう。

 うちにあるのは全部服着てないね。

 というか、“こけしん坊”は表しか服着てないと思うよ。

 他の地域で作られてるのは知らないけど。

 ……意味?

 あぁ、意味はちゃんとあるよ。

 いや、意味というか願いだね、願い。

 暑くても寒くても辛くても、どんなときでも辛抱できるように……って、願いが込められているんだと。

 ここら辺は昔から貧乏だからさ。

 子供に服を買ってやることもできない家が多かったんだよ。

 今でもそうなんだけどね。

 だから、どの家にも必ず一つはあったよ、“こけしん坊”は。

 兄弟姉妹がいるとこは、むしろこういうおもちゃがあって良かっただろうね。

 喧嘩しなくて済むから。


 俺ん家も九人兄弟だったんだけど、不思議とおもちゃの取り合いはなかったな。

 雨の日とかはずーっと、みんなで“こけしん坊”見てるの。

 貧乏な家でも、“こけしん坊”を見ていると辛抱できる気がしたんだよね。

 そう思うと、この辺りに古くから根付いているんだなって、感じるよ。

 

 色々と好き勝手言ってきたけど、なんだかんだ“こけしん坊”には助けられてるね。

 こう見えても毎日生きるのに必死でさ。

 仏滅が来る度一個ずつ増えるんだよ。

 ……何がって、“こけしん坊”に決まってるでしょ。

 そこの倉庫なんか、もういっぱいだよ。

 それでさ、あんたの後ろにも“こけしん坊”がたくさんあるだろ。

 朝起きるとさ。

 見てんだよ。

 俺を。

 ずらーって並んでさ。

 裏側の服着てない方で。

 

 きっと、服着たいんだろうね。

 生まれてから一度も着たことがないんだから。

 暑くても寒くてもずーっとそのまま。

 いや、俺だって何度も色塗ろうと思ったよ。

 そうしたら消えてくれる気がするしな。

 画材やらなんやら揃えたよ。

 でもさ、怖くて色なんか塗れないんだよね。


 この生活に辛抱できなくなる気がしてさ。

お忙しい中読んでいただき本当にありがとうございます


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