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無題47

作者: ベナ

 ヤシの木柄の大ぶりなプラスチックグラスに氷をこれでもかと入れて、チューハイ缶のプルトップを引き上げる。とくとくと注いでいざ手を合わせようとした時、Tはふいと動きを止めた。台所を振り返る。俄かに眉根に皺二つ、腰を上げた。シンクの前に立ち、渾身の力を込めて蛇口を締めた。ぽたぽたと滴っていた蛇口がようやく黙った。


 再び食卓に着席し、静粛に手を合わせる。「頂きます」とふやけた餃子をほおばった瞬間、二つ隣の部屋の住人の野獣の咆哮のごときくしゃみが辺り一帯に響いた。


「…ったあ。舌噛んだ」




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