表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伝説では6人しかいないはずの勇者なのになぜか俺は7人目の勇者  作者: 銀颯
帰郷追憶編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/268

第八十五話 森に隠された秘密

俺達は村の森へと向かう。ここに来るのもなんだかんだセシリアさんと始めて会った時以来だ。あれからもう一年近くの時が経つと考えると感慨深い。そういえばあの時セシリアさんも何か感じたと言ってたな、まさかあれってこの森の奥に何かを感じていたということなのか?


「だけど認識阻害をどうやって解けばいいのでござるか?大和国のように城や吉原みたいな建物があればすでにユーリ殿達は見つけてるでござろう。ということは認識阻害だけじゃなくて他にも何かあるでござるよ。見つけるのは難しいでござらんか?」


ランマの言うことは一理ある。認識阻害はそこにある物から意識を逸らさせるという効果であって、その物自体はそこにあるのだ。だから大和国の城や吉原は建物に近づいて実際に触れてしまえば見えるようになるわけだが、この森にはそういった建物はないのだ。


「たしかにそうだよね。アリア何か感じるものはある?」

「うん。ここよりもっと奥の方に空間魔法が繋がってた場所があるのはわかるんだけど、その間にも何か結界見たいなのがあるよ。」

「とりあえず…行ってみる…。」

「そうでござるな。」


アリアに付いていき森の奥へと進んでいく。立ち止まった場所は特に何かあるように見えない普通の場所だった。木々が生えており森の景色は続いているように見える。霧の結界のときのようにわかりやすく何かがあるわけではないようだ。


「ここに何かあるみたいだけど…見た目は普通の森のままだね。何かあるわけでもなさそうだし。」

「そうだね、とりあえず俺が行ってみるよ。」

「気をつけて…。」

「何かあったらすぐ連絡するでござるよ。」

「わかったよ。」


俺はさらに森の奥へと進む。特に変わったところはないようだが…しばらく歩くと森を出て草原へと来ていた。やはりここでこの森は終わりだ。草原の向こうにはまた森があるがあそこはもうセルベスタ王国の外である、さすがにアリアが向こうの森と間違えているという距離ではないだろう。俺は腕輪を使い森の中の皆と連絡を取る。


「どうやら真っ直ぐに進むと森の外に出るみたいだ。こっちは草原しかないよ。」

「ユーリと私達の間に魔法の痕跡があるみたいだけど…。」

「やっぱり認識阻害だけじゃなくて何か仕掛けられているみたいでござるな。」

「どうする…?吹き…飛ばす?」

「流石にそれは…」


確かにこのくらいの森なら本気を出せば消し飛ばせるだろうが…それで森の隠されている何かを吹き飛ばしてしまえば本末転倒である。


「多分これ結界だと思う。」

「結界?」

「魔法の痕跡が4箇所森の中に正方形あるみたい。これが結界の依代なんじゃないかな?」

「そんなことまでわかるでござるか、さすがアリア殿でござる!」

「凄い…。」

「そんな大した事じゃないよ。」


アリアは照れているようだが素直に凄いと思う。アリアの《副技能(サイドセンス)》はかなり強力だ、結界や罠系の魔法は見つけるのが比較的難しい。特に今回のようにあらかじめ認識阻害や真っ直ぐ進んでも通り抜けてしまうような効果の結界を併用されるとまず違和感に気づくことすらできない。現にこんな村の近くの森なのに俺達どころか村の人はまったく気付いていなかったのだから。


「とりあえず手分けして結界の依代を破壊しよう。アリア場所を教えて。」

「うん、任せて。」


俺達はアリアも指示に従って森の中を移動する。移動した先には大きな石があるがこれが結界の依代なんだろうか。


「アリア、なんか大きい石があるんだけどこれが依り代かな?」

「拙者のところにもあるでござる。」

「私のとこにも…ある。」

「きっとそれが依り代だよ。皆破壊して!」


俺達は結界の依代と思われる石を破壊する。すると先程までは何もなかったが大きな石造りの建物が出てくるのが見えた。一度皆と合流することにした。


「あれは何でござろうか。」

「よく見えない…。」

「もっと近くに行ってみよう。アリア一応周囲の警戒を。」

「うん、わかったよ。」


建物に近づく、どうやら石を積み上げただけで作られたようだ。見た目は遺跡のようで中心の建物に入り口がある。とりあえず周囲の確認をするが、この辺りに魔物はいないようだ。


「この辺りにも魔物はいなさそうでござるな。」

「でも空間魔法の痕跡はこの辺りだから、間違いなくここから村や道に来たはずだよ。」

「どういうこと…?」

「うーん。」


魔物は間違いなくここから空間魔法によって移動してきた。しかしここに魔物はいないとなると…魔物もどこからか移動してきたと考えるのが妥当だろう。そしてそれに関係してそうなのがこの遺跡に唯一入り口があるあの建物だ。


「行ってみるしかないか。アリアとランマは何か会ったときのためにここで待ってて。コーデリアは俺と一緒にあの中へ行こう。」

「了解した。」

「二人だけでは危険でござらんか?」

「だからこそ何かあったときのために二人には待ってて欲しいんだよ。」

「わかった。ユーリもコーデリアも気をつけてね。」

「うん、行ってくる。」


俺はコーデリアと二人で遺跡の中心にある建物に入る。中は薄暗くよく見えないので『発光(ルミナス)』を使った。すると壁には見たこともない文字と絵で何かが書いてあるようだった。


「これは…」

「古代文字…だと思う。」

「コーデリアわかるの!?」

「ほとんど…わからない…でも似たような文字…ソレイナで見た。」

「ソレイナ国に?」

「うん…迷宮(ダンジョン)?…で見つけた剣。」


コーデリアが見たというのは迷宮遺物(アーティファクト)のことだろう。そうかこの古代文字はよく見れば迷宮遺物(アーティファクト)の物と似ている、だけど微妙に違う気がする。でもコーデリアの話ではソレイナの迷宮遺物(アーティファクト)は同じらしいから古代文字にも何か種類があるのだろうか。俺達は壁を見つつ先へと進んでいく。


「うん?これは…門?」

「門に見える…でも先がない…。」


古代文字が書かれた壁の道を進んでいくと広い部屋に出る。部屋の壁には石で作られた門の様な物があった。しかし扉はなくただそこに四角い枠があるだけで、先は暗くどこに繋がっているのかはわからなかった。他に道はなくどうやらここが最深部のようだ。


「行ってみるしか…ないか…。」

「大丈夫…私も付いてる…。」


そういってコーデリアは俺の手を握ってくれる。小さい手ではあるが不思議と安心する、こういう所はやはり1つ上のお姉さんであると感じる。不安はあるが、このさきに進まなければ謎は解けなさそうだ。俺は覚悟を決めて先へ進む。


「行こう。」

「うん…。」


俺とコーデリアは門の先へと進む。すると目の前には海が広がっていた、足元は白い砂浜で覆われている。こんな場所は俺の知っている限りでは存在しない、ここは一体どこだろうか?


「ここはどこなんだろう?」

「初めて来た…でも綺麗…。」


とりあえず一度アリア達と連絡してみようと思い腕輪の通信機に魔力を込める。しかし繋がらない、考えられるのは俺達とアリア達の距離がかなり離れているということだろう。一度戻って二人を連れてこよう。


「うわぁ何ここ!」

「これは海でござるか?」

「みたいだね、それにここはかなり遠くみたいなんだ。腕輪でアリア達もだし、さっきイヴァンさん達に連絡してみたけど繋がらなかった。」

「ということはつまりセルベスタ王国から間違いなく遠くには来ているし新型の通信機も繋がらないとなるとかなり距離があるみたいだ。」


あの門は村の遺跡とこの島を繋げる門だったということだ、それに一瞬で移動したことを考えれば恐らく空間魔法に関係があるということだろう。それに後ろの森からは魔物の気配がする、やはりここの魔物があちらに行ってしまっているのではないだろうか。


「とりあえず海沿いに歩いてみよう。」

「そうだね。」

「まずはここがどこなのか知る必要があるでござるな。」

「行こう…。」


俺達はとりあえず海沿いを歩いてみた。すると15分くらいで一周することができた、わかったことはどうやらここは海のどこかに浮かぶ島らしいということと、そこまで大きくないということだ。やはり魔物の気配がする森に行ってみるしかないようだ。


「森の中に行くしかないのかな。」

「ここからは魔物がでるから気をつけるでござる。」

「用心…。」

「よし、行こう。」


俺達は魔物がいる森の方へと進んでいくのであった。


少しでも面白いなと思っていただけたら幸いです!

皆さまの応援が励みになりますので、ぜひ下部よりブックマーク・評価等お願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ