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第七話 模擬戦

「またお前かぁスカーレットォォ!!毎度ガイウス様の邪魔をしおってぇぇ!」


いやいやまたというか前回は君がいちゃもんを付けたのが原因じゃなかったかザイル君よ。あと気持ちはわかるけどスカーレットさんもはっきり言い過ぎなんじゃないだろうか。もう少し揉めないようにしてほしいものだ。


「私以外のメンバーはユーリ君とアリアさんにお願いしたいです。」

「お、俺達?!」


そうそうエレナ以外のメンバーは俺とアリアね、、、ってえぇ?!何勝手に指名してるんですかエレナさん!!僕達は参加する気はまったくないだけど?!早く誤解を解かなければ。


「いや…僕達は…」

「やはり貴様も逆らう気なのかヴァイオレット!」

「いやだから…僕達は…」

「そういうことなら模擬戦で決められてはどうですか?ちょうど演習場も空いてますし。」


リリス先生も何で話を勝手に進めてしまうのだろうか。少しは俺達の意見も聞いてほしいところである。


「いいだろう。俺とザイルでペアを組む、そちらはスカーレットとヴァイオレットでペアを組め。」

「逃げるんじゃないぞ!」

「わかりました。受けて立ちましょう。」

「ねぇ、皆話し聞いてる?」


なぜか俺も巻き込まれたクラス対抗戦代表決定模擬戦は一時間後に行われることになった。どうしてこんなことになってしまったのか…アリアも不安そうにこちらを見ている。とりあえずエレナに何であんなことをしたのか聞かないといけないな。


「ちょっとエレナ!流石にさっきのは無理があるよ!」

「私はどうしても対抗戦に出なければいけません。そのためにあなたに力を貸していただきたいのです。」

「出たいのはいいんだけど、どうして俺とアリアなの?しかも模擬戦までやらされる羽目になったし。」

「それはあなたが《(レッド)》クラスで一番強いからですよ。」

「えっ…?どうしてそう思うの?」


俺はなるべく普通に返事をしたが動揺は隠せなかった。まさか、俺の能力がバレた?いや、それはないはず。マルクさんやユキさんでも俺の本当の能力はわかっていないのにエレナにバレるわけがない、、、と思う。


「私の能力による副産物で直感のような物ですが、私は能力者の魔力の流れを見ることができます。そしてあなたは常人とは違う魔力の流れ方をしているからですね。ドレッドさんやアリアさんも中々ですが、あなただけは、正直ずば抜けて上だと思います。」

「魔力の流れ?」

「そうです。魔力量は抑えることができますが、流れは変わることがありません。また流れ方は個人によって様々で、私はそれを読み取ることで実力を判断しているのです。」


魔力の流れなんて物があるのか。実はマルクさんとの修行で魔力量のことについては聞いていた。なるべく能力をバレないようにしたいという話しをしたら魔力量を抑えることで大した者ではないと思わせる事ができるのだ。暗殺者などが使う技術で、対人にしか意味がないからあまり知られていない。魔物は強い弱いは関係なく襲ってくるからな。だから一応俺とアリアはトラブルに巻き込まれないように魔力量を抑えていたが、どうやらそれすら破る術があるとは…。


「なるほどね。でもそこまで話してもいいのかい?いくら友達だといってもまだ知り合って日が浅いわけだし。」

「これでも人を見る目はある方なんですよ?」

「わかった。俺は協力させてもらうことにするよ。アリアはどうする?」

「うん。私もエレナさんは悪い人じゃないと思うから信用するよ。」

「お二人共ありがとうございます。」


ここまで信用して自分の能力について話してくれたわけだし、エレナの頼みを聞くことにした。なるべくとはいえどうしてそこまで代表戦に出たいのだろうか。


「エレナどうしてそこまで代表戦に出たいんだい?」

「それは…。」


エレナは言葉を詰まらせる。よほどの理由ということか。


「まあとりあえず模擬戦に勝って、クラスの代表になってからだけどね。」

「はい。必ず勝ちましょう。」

「二人共頑張ってね。」


来るガイウスとザイルとの戦いに備えて俺達は作戦を練った。集合時間の少し前に行くとすでにクラスメイトとリリス先生、ガイウス・ザイルペアはすでに演習場に集まっていた。


「なんだ随分遅い登場じゃないか!逃げ出したのかと思ったぞ!」

「別に時間通りだよ。」

「ふん!ヴァイオレット貴様の相手は俺がしてやる!!」

「はいはい。」


到着早々ザイルに絡まれたが、手間が省けた。これで僕とザイル、エレナとガイウスの構図が出来上がったな。ここまでは予定通りだ、あとはエレナの策を信じることにしよう。


「それではガイウス・ドレッド、ザイル・ソーン対エレオノーラ・スカーレット、ユーリ・ヴァイオレットペアの模擬戦を行います!ルールはメンバー二人が気絶した方の負けとします。危険を感じた場合はすぐに止めに入るので思う存分戦ってください!」

「ユーリ頑張って!」


アリアも応援してくれているようだこちらに軽く手を振ってくれたので俺も軽く手を振る。なるべく目立たないように頑張ろう。


「おいおい試合前に余所見とは随分余裕じゃないか。」

「ははは。そんなんじゃないさ。」

「あの子リーズベルトだったか、中々可愛いじゃないか、僕が勝ったら彼女を貰おう。」

「アリアは物じゃないし、仮に俺が負けてもお前のところには行かないさ。負けることはないけどな。」


コイツは少々痛い目に合わないと自分の愚かさに気づかないようだ。ここは一つ俺が揉んでやるとしよう。


「それでは、、、開始!!!」

「『炎の檻(フレイム・ケージ)』!!!」

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

「ザイル!」

「余所見している暇はありませんよ!『炎の槍(フレイム・ランス)』!!!」

「ぐっ!」


開始直後、エレナの魔法で僕とザイルの回りを炎の檻で囲んだ。これでお互いのペアに干渉することはできない一対一の状況になり、外から中の様子を見ることもできなくなった。


「なんだ、ただ炎で囲んだだけじゃないか!僕の能力を知らないのかい?」

「残念ながら知らないね。」

「そうか、ならば教えてやろう僕の能力は《水の魔術師》だ!水系魔法が得意なんだよ!『水の球(ウォーター・ボール)』!」


シュゥゥゥゥ…


「な、何ぃ?!」


ザイルは魔法陣を炎に向けて水を打ち出したがすぐに蒸発してしまった、炎の勢いはまったく弱まらない。ザイルの魔法が弱いのもあるけれど、聞いていた通りエレナはかなりの炎魔法の使い手のようだ。


「次はこちらから活かせてもらうよ!『創造・剣(クリエイト・ソード)』『身体強化(フィジカル・ブースト)』!!」


マルクさんとは剣術の修行がメインで魔法はあまり使っていなかったが、思っていたよりもスムーズにしかも前よりも精巧な剣をつくることができた。創造(クリエイト)の魔法はイメージが大事だ、修行で実際の剣を触っていたことで村で魔物と戦ったときより精巧な剣を作ることができたんだ。流石マルクさんだ。


「はぁぁぁぁぁ!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


俺は正面からザイルの後ろに回り込み剣を振り下ろした。振り返ったザイルは俺に驚きその場で膝を付き白目を向きながら気絶してしまったようだ。あれ…?まだ模擬戦は始まったばかりなんですけど?

思ったよりも早く倒してしまったな、エレナは上手くやれているだろうか?




「『炎の槍(フレイム・ランス)』!!!」

「『土の盾(アース・シールド)』!!!」


アリアはユーリの心配をしながらもエレナとガイウスの戦いを見守っていた。


「エレナさんの方が押しているけど、ドレッドさんも全て捌き切っている…。」


このままならジリ貧ですね。ユーリさんはザイルさんを倒せたでしょうか、、、。あまり長く続くのも得策ではない、ここで勝負を決めにいきます!

「『炎の球(フレイム・ボール)』!」

「くっ、『土の壁(アース・ウォール)』!…スカーレットはどこに消えた?!」

「後ろです!」

「…っだが、甘い!」


ガイウスは『土の壁(アース・ウォール)』で見失ったエレナの姿を見失っていたが、ギリギリのところで反応できた。反撃をしようと拳を振りかざすが、パンチは空を切った。


「何っ?」

「『陽炎(ヒート・ヘイズ)』、そちらは幻影です。」

「くっ、、、やられた…降参だ。」


炎の檻(フレイム・ケージ)』が解除される、どうやらエレナ達の勝負もついたようだ。リリス先生がザイルが気絶していることを確認する。


「それまで!勝者エレオノーラ、ユーリペア!!」

「やったぁ!エレナさん、ユーリお疲れ様!」

「作戦が上手く決まったようでよかったね。」

「ええ、でもドレッドさんも思っていたより手強かったです。」


後でどういう戦いであったかアリアに聞いておこう。これで俺達がクラスの代表になるわけだ、、、代表戦はもっと手強い相手が出てくるだろう。もしかしたら《勇者》と接触することもあるかもしれない。それとエレナがどうしてクラス対抗戦に出たいのかということも聞かないといけないな。



次の日、いつも通り登校し教室に入った。今日はザイルが休みのようだ。まああれだけ啖呵を切っておいて負けたのが悔しかったのだろうか、貴族はプライドは高いからな。俺のような村出身の田舎者に負けたとあってはさぞ恥ずかしいことなのだろう。


「おはようございます。」

「おはようエレナ。」

「おはようエレナさん。」

「今日の授業が終わった後お時間よろしいですか?」

「大丈夫だよ。」

「ではまたあのカフェでお待ちしております。」

「わかったよ。」


何の話しだろうか?まあ、ちょうどいい。なぜ代表戦にそこまでして出たいのか聞いてみよう。

授業終了後、俺とアリアはまたあのカフェに来ていた。アリアもまたケーキを食べている。女子は本当に甘いものが好きだなと考えているとエレナが到着したようだ。


「お待たせいたしました。」

「全然大丈夫。」「わたひも全然待ってまふぇん。」


アリアさん口の中のケーキ食べてからお話しなさい、お行儀悪いですよ。


「今日お話したいのは私の能力についてです。、、、実は私《勇者》なんです。」

「は、はい?」


俺とアリアはエレナからの突然の告白に驚きを隠せなかったと同時にまた厄介事に巻き込まれる予感しかしなかった。


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