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伝説では6人しかいないはずの勇者なのになぜか俺は7人目の勇者  作者: 銀颯
《聖剣》伝説異聞編

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第六十六話 報酬

俺はいつもの通り補習の授業を済ませつつ、進学に備えて勉強の日々を送っていた。今日は大和国からウール、デリラ、フルーの三人が帰ってくる日だ。俺達はシャーロットに出迎えに行くついでに城へと来るように言われていたのだ。そうこうしている内に三人を乗せた馬車がこちらへと向かってくる。


「皆!身体はもう大丈夫かい?」

「なんとかね。リハビリは辛かったけど、幸い後遺症も残らずに済んだ。」

「だけど身体がなまっちゃって、そうだ!ユーリ僕の新技の実験相手になってよ!」

「う、うん。また今度ね。」

「それよりもどうして皆がいるの?」


その説明は道中でということになり皆で馬車へと乗り込み、城へと向かってもらう。俺はシャーロットから三人も含めて皆で城へ来るように言われていたことを説明する。


「そうだったんだ。」

「でも城って何の用事なんだろう?」

「私、城へ行くの初めてだからドキドキしちゃうよ!」

「ディランはあるんでしょ?」

「ああ、何度かな。多分呼ばれた理由は今回の事件のことじゃないか?」


俺もディランと同意見だった。レシア砂漠の《迷宮遺物(アーティファクト)》を見つけたことこれも凄いことだが、誘拐事件に巻き込まれたと思ったら他国のクーデターに巻き込まれそれを阻止したのだ。いくら宮廷魔道士団副団長のイヴァンがいたとはいえ、いち学園生である皆が解決に関わったことは十分表彰されるべきことだろう。


「それってお金貰えるってコト!?」

「僕はお金よりも食べ物とかの方が嬉しいかなぁ〜。」

「何言ってるんだ、僕は領地を広げてもらうぞ!」

「さすがに領地は…。」


皆の性格の違いが出ているなぁ。そういえば俺も以前イヴァンに考えるように言われてたな。今回も絶対に聞かれるだろうし…一応自分なりに何が欲しいかは考えてきたのだが、果たして貰えるのかどうか…。そう考えている内に城へと着いた。カルロスが出迎えてくれ、王の間へと通される。俺達はカルロスに習って王の前で跪く。シャーロットとマークとイヴァンそしてセドリック団長もいた。


「久しぶりだな。ユーリ・ヴァイオレット。皆もそうかしこまらなくともよい。」

「はい。」

「さて今回は《勇者》に冠する《迷宮遺物(アーティファクト)》の発見と大和国でのクーデター騒動の解決非常によくやった。その功績を称えて皆に褒美をやろうと思う。各々好きな物を頼むが良い。」

「はい!王様僕豪華な食事が良いです!」

「私はお金を…。」

「あの領地を…。」

「あのね、君たちもうちょっと遠慮しなさいよ。」


俺は好き勝手に言う三人に注意をする。それを見て王様は大きく笑った。


「お主やシャーロットよりも年相応で可愛げがあって良いではないか。皆なんでも遠慮せずに頼んでくれていい、なるべく援助しよう。」

「「「ありがとうございます!!!」」」


フルーとマークとアリアは実家に送るための大量のお金、アリアの場合は俺の実家でもあるヴァイオレット家のはなしだが。デリラは王お抱え料理人の食事だ、しかも食べ放題。ウールとエレナはそれぞれレディ家とスカーレット家の領地周辺の国が保有している土地を貰い、コータは禁書庫にある《迷い人》に関する書籍の閲覧許可証、ディランは騎士団長との模擬戦を希望その相手はその場にいたセドリック団長が引き受けてくれることになった。そして…


「さぁユーリ、お前は決めたのか?」

「はい。王様、俺は…《聖剣》が欲しいです。」

「せ、《聖剣》だって?」

「ユーリ君それは流石に無理ではないですか?貰うも何もそもそも…」


エレナが言いたいことはわかる。《聖剣》とは作ろうと思って作れるものではないらしい。それに《聖剣》は持ち主を選び、使用者が生きている限り選ばれることはない。現存している《聖剣》は全て持ち主が決まっている。だから欲しいからといって手に入るものではないのだ。


「ごめん、言い方が悪かったよ。厳密には《聖剣》を作れそうな腕のいい鍛冶師の情報が欲しいってこと。」

「なるほどそういうことであるならば、紹介しよう。後でシャーロットから説明させよう。」

「ありがとうございます!」

「皆本当によくやってくれた。これからもこの国いや世界のために励んでほしい!!!」

「「「「「はっ!!!!!」」」」」


俺達は城を後にそれぞれ帰路に着いた。帰る少し前にマークと話したが元気でやっているようだ。彼は今宮廷魔道士団で《迷宮遺物アーティファクト》や魔道具の研究を手伝っているらしい。屋敷に帰ると俺達は食事をしながら今日のことにつて話した。


「でもアリア本当によかったの?」

「うん。叔母さんにはずっとお世話になってたし。」

「ありがとう。他の皆はともかくコータには驚いたよ。まさか禁書庫《迷い人》関連の書籍について知りたいとは。」

「こないだのことがあってからやっぱり思うところがあるんじゃないかな。元の世界に帰る方法とか、だって両親とかと離れ離れになってるんだもんね、寂しいよそんなの。」

「そうだね。」


よく考えたらコータは死んだことでこの世界に来たんだよな。どういう風に亡くなったのかまではわからないけどそうそう折り合いが付けれることではないと思う。ましてやそのことを鮮明に思い出したのは最近なのだから。


「ユーリが《聖剣》って言い出した時はもっと驚いたけどね。」

「最初はディランみたいに騎士団長と模擬戦って考えたんだけど、やっぱり武器が欲しいなと思ってね。俺の『創造(クリエイト)』じゃ結局贋作が限界でこれ以上の物は作れない、そうするといつか自分の魔法に耐えられないと思ってね。」


それに《剣の勇者》の力を全快まで引き出すなら『創造(クリエイト)』で作った剣よりも本物の剣の方が良いのは間違いない。だが生半可な剣では耐えきれないだから聖剣なのだが、問題は聖剣を新しく作れるのかそれと使用者として認めてもらえるかである。


「ユーリは様は《聖剣》をお求めでしたか。」

「マルクさんは《聖剣》について何か知ってるんですか?」

「そうですね。三人の《聖剣》使いと剣を交えたことがありますよ。」

「その三人というのは?」

「ユーリ様も知っている青薔薇聖騎士団長のセシリア様が持つ《聖剣ガラティーン》と模擬戦を、あとはまだユーリ様とアリア様のご両親が所属していた頃の騎士団長が持っていた《聖剣デュランダル》こちらは少々本気でした負けてしまいましたが、あとは名前も素性もわからない者が一人です。」


セシリアさんの《聖剣ガラティーン》は俺も何度か目にしているがあれは本当に凄まじい。魔王軍四天王“剛腕”のバリオンを吹っ飛ばしたのもセシリアさんだったそうだし、その力は計り知れない。《聖剣デュランダル》っていうのは名前だけ聞いたことがあったが、なるほど前騎士団長が使っていたのか。今は5つの騎士団に分かれているが昔は1つだったらしい、そんな騎士団を纏めていた団長ださぞかし実力者なのだろう。マルクさんが負けたというくらいだやはり《聖剣》に選ばれるだけはある。しかし…


「三人目の名前も素性もわからないって言うのはどういうことなんですか?」

「昔冒険者として西の方の国へ行く道中でいきなり斬りかかられましてな。その一太刀を浴びせた後は「お前じゃない」と言われまして、私も若かったので突っかかったのですが気付いたときにはもうその場にはありませんでした。」

「へぇーそうだったんですか。」

「でもどうしてそれが《聖剣》だってわかったんですか?」

「そうですね、予め《聖剣》と戦ったことがあったからなんとなくわかった…ということですかね。絶対とは言い切れませんが、それにあの人物は《聖剣》の真の持ち主ではないと思います。」

「口ぶりからすると《聖剣》の持ち主を探していたのかなぁ?」

「どうでしょうね。真相はわかりません。」


話を聞いてるだけではわからないがマルクさんは《剣鬼》だし《聖剣》に値する持ち主なのかどうか試したという可能性はあるな。だがマルクさんクラスの実力があっても《聖剣》は手にしていないということを考えるとやはり単純な強さだけが相応しいということではないのだろう。


「あっそうだ、ユキさんキクさんへの手紙は書いた?」

「いえ、その…まだです。」

「アリアそう急かしちゃだめだよ。ユキさんだって急に会ったこと無い祖母に手紙を書けって言われても混乱するだろうし。」

「そっか…ごめんなさい。」

「いえ、いいんです。家族がいるってわかっただけでもとても嬉しいです。」

「私達だって家族だけどね!」

「はい、アリア様も皆様も私にとって大事な家族です。」


アリアはユキさんに抱きついていた。ユキさんにも大和国での出来事を話した。両親の自殺や自分がどうして迫害されたのかという真実を聞いて始めは驚いていたがもう気にしていないそうだ。俺達の両親や皆に支えられて自分はここまでこれた、今はとても幸せだからそれでいいとのことだ。ユキさんはとても強い人だなと思う。


「さぁて明日も早いから俺は寝ることにするよ。」

「うん、そうだね。明日もエレナちゃんの厳しい勉強が待ってるよ…。」


俺達に勉強を教えると張り切っているエレナのためにも少しでも頑張らなきゃなと思いつつ俺は眠りに着いたのだった。


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