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伝説では6人しかいないはずの勇者なのになぜか俺は7人目の勇者  作者: 銀颯
戦華九人剣客編

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第六十三話 特別な存在

シャーロット、コータ、ルミの三人が城に合流した後、俺の死体を抱えてキクさんの屋敷へ戻ってきたらしい。だけどその直後、死んだはずの俺が蘇ったらしい。俺が復活したことも含めて今回の経緯を話すためにウール、フルー、デリラの重症三人組がいる部屋まで移動してきた。三人とも絶対安静だが喋ることができるくらいには回復したらしい。


「僕達はユーリの死体を見ていないからあれだけど、本当にさっきまで死んでいたとは思えないよ。」

「自分でもちょっと変な感じがするよ。」

「それでどうやって戻ってきたんだ?」

「女神様…が関係あるんですよね?」


流石エレナ、かつて自分も死にかけて女神様に会っているだけあって察しがいい。俺は死んで直接女神様の姿に会ったことを話す。転生者と転移者の説明と自分が転移者の父とこっちの世界の母との子であるために特殊な魂であること《勇者》であるから女神様に会うことができる、厳密には会ったことを覚えていられるという2つの条件が揃っているため転移という形で復活することができたと皆に説明する。


「つまりユーリ君だから特別に転移の条件が達成できたということですね。」

「まあ簡潔に言うとそういうこと。」

「それは何度でも生き返れるということなのかい?」

「できないわけではないらしいんだけど、転移するたびに魂が傷付くとかで元のように復活はできないらしい。」

「仮に復活ができてもそうそう死ねるものじゃないだろう。」

「ディランの言う通りだよ。もう二度と死にたくはないかな。」

「それでユーリを殺した魔族っていうのは?」

「その前に今回の出来事をもう一度教えてもらってもいいですか?」

「順番に話すよ。」


シャーロット達はまだ今回の顛末を知らないようだったので今回のことを整理するためにも一度最初から話す。事の始まりはロンドでの誘拐事件だ。ドウマの部下である御庭番衆によって大和国まで連れ去られた皆を追いかけて俺達はこの国へと潜入した。そこでキクさんと知り合い、協力を得て皆が城に連れ去られたことを知り乗り込む。しかし皆はすでにツネヨシ将軍によって救出されていたのだ。謎は残しつつも一刻も早く大和国を後にしようとするがドウマ・ゲンジのクーデターに巻き込まれ霧の結界によって閉じこめられる。同時に街に魔物が出現、人々を救うためにも脱出するためにも九人剣客を倒し、ドウマ・ゲンジの元へと辿り着く必要があった。しかしそれらは全て魔族が仕組んだことだった。


「なるほど。大体の事情はわかりました。いくつか聞いても?」

「もちろん。」

「ドウマ・ゲンジがクーデターを起こした理由は?」

「それはこの国の親交国だった魔法使いたちがこの国の人々を虐殺したことが始まりなんだそうだ。だから魔法使いを毛嫌いしていてツネヨシ将軍の様に色々な能力者に差別をせずに受け入れるというのが気に入らなかったようだよ。」

「だけど誰もその事実を覚えていないようなのよ。」

「ワシもじゃ。」


この国に居たはずのキクさんやツネヨシ将軍でも覚えていない。それはその新興国が作った魔法が原因らしく、魔族はその復讐心を利用してドウマ・ゲンジと九人剣客のリーダーのジュウベエを操り、《勇者》を抹殺するのが目的だったということを説明する。


「まあやり方は間違っていると思うけどね。魔法を憎む気持ちはわかるけどだからって魔法使いを迫害していい理由にはならないよ。」

「そうじゃな。ワシもこれまで通り色々な者と手を取り合っていこうと思う。」


ツネヨシ将軍なら上手くやってくれるだろう。セルベスタ王国とも協力体制が築けるといいと思う。


「それにしてもユーリが負けるほどの魔族とはね。」

「ダメージすら与えることができなかったよ。あと今までの魔族と違ってちゃんと魔法を使ってきたんだ。《序列》七位って言ってたかな。それにクリス団長が言ってたように魔族の使う魔法は何かが違うと思ったよ。『悪魔の(ディアボリカル)』っていう聞いたことのない魔法だった。」

「俺達は《序列八位》だったな。」

「私達は《序列十三位》だったよ。」


ディラン曰く四天王の下に位置する魔族のことで十三位までの《序列》があり、それぞれが得意とする魔法を冠する異名があるらしい。俺がワンダーに聞いたことも話し、纏めて仮説を立てた。《序列》を持っている魔族は比較的若くて強い魔族。今まで戦っていたのは魔剣を使わないと行けないレベルの弱い魔族ということだ。


「それと戦いの中で《副技能サイドセンス》で《序列》魔族を見たのですが、魔力が流れていませんでした。以前見た魔族は確かに流れていましたが…。」

「魔力が流れていないだって?だが確実に魔力は感じたと思うが。」


ディランの言っていることは間違いじゃない。俺も確かに魔力は感じた、だけどエレナの言っていることが間違っているとも思わない。それを聞いたコータが口を開く。


「『悪魔の(ディアボリカル)』って悪魔のって意味だよね。そもそもこの世界に悪魔って概念あるの?」

「魔族は聞いたことありますけど悪魔という言葉は聞いたことがないですね。」

「僕は本当の能力を思い出してわかったことなんだけど、僕らの魔法は精霊の力を借りることで魔法を発動出来ているんだ。もしかしてだけど《序列》魔族の魔法は悪魔から力を借りてるんじゃないかな。」

「ちょ、ちょっと待ってくれそれは本当の話かい?我々の魔法が精霊の力を借りているって話は。」

「確証はないけどなんとなくね。僕は風精霊(シルフ)の力を直接使えるようになったkらそうじゃないかなって」

「そうだったのか…。」


今まで魔法のことはほとんど謎に包まれていた。だからイヴァンが驚くのも無理はないが、不思議とコータの言うことは間違っていないような気がする。イヴァンもなんとなくそれを感じたからこそ驚きはしたが納得もしているのだろう。


「まあ、魔族の方は仮説に過ぎないけどね。」

「でもあながち間違ってないかも、今までの魔族は魔法を使わず魔剣を使ってた、それに四天王の部下だったから向上心がない部類の古い魔族だ。」

「じゃあエレナの《副技能(サイドセンス)》はもしかしたら魔力の流れを見るんじゃなくて精霊の力を見る力なのかもね。」

「なるほど、たしかにそれなら《序列》魔族を見ても何もなかった説明がつきますし、魔剣を使ってた魔族に魔力が見えてたことも納得です。」


聖剣や魔剣は魔力が必要だ、おそらくそれは精霊の魔力ということ。だから魔剣を使っているような魔族は悪魔から魔力を貰っているわけじゃない。まああくまでも仮説の段階だから本当の所はどうなのかはわからないが。


「ところでコータずっと気になってたんだけど何か雰囲気変わった?」

「たしかになんか大人っぽくなったというかなんというか。」

「デリラより賢そうに見えるよ。」


そう突っ込んだのはずっと寝ていたフルー達だった。皆は目が覚めてから初めてコータを見たから驚いたのだろう。たしかに俺も初めて見た時は驚いた、雰囲気もそうだが見た目とか喋り方も急に大人っぽくなったから驚くなと言う方が無理だろう。


「僕は九人剣客との戦いで死にかけたんだ。それで前の世界のこと急に思い出したんだ。僕は前の世界で18歳で事故に巻き込まれて死んでこの世界にさっきユーリが説明した転生をしてきた。そのときに女神様に会ったような気がして本当の自分の能力を思い出したんだ。」

「女神様曰くコータがそれを思い出すことが出来たのは俺達《勇者》の近くにいるからということみたい。普通は成長と共にゆっくりと思い出すようだけどこちらでの生活が長すぎてそれもすぐに忘れてしまうようなんだ。」

「だから《迷い人》といっても皆が皆、鮮明に前の世界のことを覚えているわけじゃないのか。」

「そういうことだね。」


《迷い人》といっても前の世界の事を覚えていないのはそのためだ。覚えているのであればもっとこの世界に《迷い人》の有名人がいてもおかしくはない。しかし意外とそういった人はいないのだ。もちろんまったくいないというわけではないが。


「あの…九人剣客や御庭番衆の処分はどうされるんですか?」

「まだ確定ではないが死刑になるだろうな。」

「そうですか…。」

「だが、本人達次第だな。」


ジュウベエの話を聞いて同情してしまった俺は少しショックだった。ここまでの罪を犯したのだ当然の処分だろう。しかしツネヨシ将軍は本人達次第と言ってくれた。後は彼らがどういう選択をするかだろう、生きる道を選んでほしい。


「さて、今回の話はこんな所かな。」

「そうですね。とりあえず今日はここらへんでお開きにしましょう。」

「皆さん本当にお疲れ様でした。」

「ワシからも礼を言わせてもらう、皆この国を救ってくれてありがとう。おかげで国民を守ることができた。」

「いえ、俺達はそんな大したことはしていませんよ。」

「この恩は必ず返させて頂く。」


するとずっと黙っていたランマが口を開く。


「皆さんにお伝えしたいことがあるでござる。」

「どうしたのランマ?」

「これから言うことは皆さんのことを信用して話すことでござる。他言無用で願いたい。」

「それはもちろん約束するけど。一体…?」

「会って欲しい人物がいるのでござる。」


ランマの会って欲しい人物とは一体どんな人物なのだろうか。


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