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伝説では6人しかいないはずの勇者なのになぜか俺は7人目の勇者  作者: 銀颯
迷宮亡霊編

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第四十五話 帰還

俺達は白い光りに包まれたかと思うと迷宮(ダンジョン)の入り口付近へと帰ってきていた。入り口には多くの冒険者が集まっており、驚いた表情で俺達のことを見ていた。一体何の騒ぎだろうか?俺達が呆けていると隣から声を掛けられる。


「皆、無事でよかった!」

「セドリック団長!」


そう声をかけてきたのはセドリック団長だった。やはりブリジットさんが言っていた迷宮(ダンジョン)の中にいたのは彼だったようだ。やはい団長クラスともなると一人でも62層まで降りられるのか、凄いな。そんな事を考えていると冒険者の中からイヴァンも出てきた。


「ディラン!皆も無事でよかった!」

「ああ、心配をかけた。」

「団長が連れてこられたんですか?」

「いや、私は62層にいたはずなんだが…何が何だか…。」

「そこら辺の詳しいことは後でお話します。ところでこの冒険者達は?」

「君達の捜索隊だったんだがどうやら必要はなさそうだ。」


そういうとディランは冒険者の方に向かった。説明を受けた冒険者達はそれぞれ散っていく。かなり大事になってしまっていたな、集まってくれた冒険者達には申し訳ない。


「ちゃんと報酬を払うと言ったら納得して帰ってくれたよ。」

「すいません。俺達のせいで、その無駄に出費が…」

「気にすることはない。それに君達のこれまでの功績を思えばこれでも足りないくらいさ。」

「さぁ、我々も戻るとしよう。」


俺達は皆が待つ屋敷へと帰る。扉を開けたら涙目のアリアが飛び込んできた。他の皆も安心したといった顔で集まってくる。


「ユーリ!無事でよかった。」

「本当よかったよ!ディランもコータも!」

「ああ。」

「僕にかかればこれくらい余裕さ!」

「もう本当調子いいんだから!」


俺は涙目になって飛び込んできたアリアの頭を撫でる。皆のも凄く心配をかけたようだ。だがこうして皆の顔を見ていると戻ってこれたという安心感がある。するとコータがバタンという音を立てて倒れ込んだ。


「コータ!?」

「しまった、コータが大ケガ負ったのすっかり忘れてた!大丈夫か?」

「平気…へいき…ぐっ!」


そのままコータは白目を剥いて気絶してしまった。俺は状態を確認する…とりあえず命の危険はなさそうだ。『治療魔法(ヒール)』で傷は塞がっても魔力や体力が回復するわけではない。ここまで心配をかけまいと我慢していたんだろう、コータらしいな。もしかしたらカッコつけてただけかもしれないけど…。俺達は急いでコータをベッドまで運んだ、まあ何にせよゆっくり休んでほしい。とりあえず一段落したとこで、今回の件について皆に話すことになった。


「で最後にブリジットさんに迷宮(ダンジョン)の入り口まで送ってもらったんだ。セドリック団長もね。」

「だから私も入り口にいたのか。突然白い光に包まれたときは驚いたよ。」

「それにしても《魔王》の正体は《迷い人》、それも元《勇者》ってことだったんだね。」

「《6人の勇者伝説》誕生にはそんな秘密があったとは夢にも思わなかったよ。」

「本当なら驚きだが、ブリジットという女性は何者なんだろうか?信用できるのか?」

「でもわざわざ嘘を付くために一人きりで迷宮(ダンジョン)の奥深くにいる必要あるかなぁ。それに何百年も待っていたんでしょ?」

「うーん。」


俺は迷宮(ダンジョン)であった出来事を皆に話した、その反応は様々であった。たしかに本当のことかどうかはわからない。俺は魔法袋(マジックポーチ)の中からブリジットさんにもらった《勇者の秘密》が書いてある日記と当初の目的であった魔法無効の迷宮遺物(アーティファクト)を取り出す。


「こっちがさっき話した内容が書いてある日記だ。これが存在するってことは少なくともデタラメではないと思う。それと魔法無効が付与された短剣の迷宮遺物(アーティファクト)だよ。この日記はセドリック団長に預けます。」

「わかった。私が責任を持って国へ持ち帰ろう。」

「ユーリ君達が魔法無効の迷宮遺物(アーティファクト)を見つけてくれてよかったですね。」

「結局私達は古代魔法の謎は解けずじまいだったからね。」

「古代魔法って何のこと?」

迷宮(ダンジョン)組にはまだ説明してなかったね。実は…」


アリアの話によると古代魔法に魔法無効のヒントがあると考え、セドリック団長の持っていた適正魔法がわかる迷宮遺物(アーティファクト)を使ってみたところドラゴンであるルミの魔力に反応して文章が出てきたとのことだった。


「クロノス・メイカーさん…ね。」

「聞き覚えありますか?」

「いや全然ないよ、初めて聞く名前だ。」

「俺も初めて聞く名だ。」

「まあそうだよねぇ、私達もさっぱりわかんなくてさ。」


クロノス・メイカー、一体何者なんだろうか。先に知れていたらブリジットさんに聞くこともできたんだろうけど。まさか迷宮遺物(アーティファクト)にそんな秘密があったとは…俺は目の前の日記の眺めて考える。これも迷宮遺物(アーティファクト)だし、ルミが魔力込めたら何か起こるかもしれないな。


「ちょっとルミ、この日記に魔力を込めてみて。」

「わかりました。ほっ!」

「…何もおこりませんね。」

「そうか、迷宮遺物(アーティファクト)だったら何でもいいわけじゃないのか。」


ルミが日記に魔力を込めてみるが何も起こらない、やはりその適正魔法を調べる石版が特別だっただけのようだ。魔法無効の短剣は使えなくなったら困るので実験には使えないな、期限が怖いし魔法袋(マジックポーチ)に閉まっておこう。


「これからどうする?」

「とりあえず今日の所は休もう。皆疲れているだろうし、今後のことはまた明日集まって話すことにしよう。」

「わかりました。」


色々なことがわかったようで、わからない一日だったな。《魔王》のこと、《6人の勇者》のこと、古代魔法のこと、だけどとりあえずシロを奴隷から開放する日は近そうだ。ラックの言っていた東の方へ行けというのはここレシア砂漠での出来事だったのだろう。俺は疲労からか、その日はすぐに眠りにつくことができた。翌朝、コータを除くメンバーで今後について話すことになった。


「私は一足先に国へ帰ろうと思う。《勇者の秘密》が書いてある日記の迷宮遺物(アーティファクト)について報告もしたいのでね。ルミ君とマーク君も一緒に来てもらえないか?」

「私ですか?構いませんけど。」

「僕も大丈夫ですけど…どうしてですか?」

「二人には迷宮遺物(アーティファクト)の件を手伝ってもらいたいんだ。ルミくんはドラゴンの魔力、マーク君には古代魔法に対する発想力や考察をぜひ活かしてほしい。」

「そういうことでしたら。」

「喜んでお手伝いさせていただきます!」


迷宮遺物(アーティファクト)からクロノス・メイカーのことがわかったのは偶然だが、二人のおかげでもある。だから研究のためにも力を借りたいということだろう。


「ルミは一応シャーロットの許可をもらってくるんだぞ。」

「はい!わかりました!」


まあ事情を説明すればOKしてくれるだろう。それじゃなくても許可は出ると思うがな。さて俺達はどうしようか、すぐに帰ってシロを奴隷から開放してやりたいがコータのこともある。


「僕はせっかくだから今度こそ砂漠と迷宮(ダンジョン)の魔物と戦いたい!」

「俺も修行がしたい。今回のことで自分の実力不足を実感した。」


デリラはいつものことだがディランがそんなことを言うのは珍しいな。今回の試練だってディランは十分に活躍したと思うが、本人は納得いってないようだ。


「俺は帰ることにするよ。すぐにシロの奴隷紋を開放してあげたいし。」

「それでは戻る組と残る組で分かれましょう。」

「ではイヴァン、君は残った皆とコータ君の面倒を見てあげなさい。」

「承知しました。」


帰る組はセドリック団長、俺、アリア、エレナ、ルミ、マーク、修行で残る組はイヴァン、ディラン、フルー、デリラ、ウール、コータは残って修行することになった。俺達はイシュカの出入り口へと向かう。


「ルミ、ドラゴンになってくれ。」

「は−い、『龍化ドラゴン・シフト』!」


ルミの身体が人型からドラゴンへと変わる。俺達は帰る組は背中へと乗り込む。


「それじゃあ皆、気をつけてね。」

「うん!ユーリも早くシロちゃんの奴隷紋消してあげてね!」

「もちろん!」

「イヴァン、皆のこと任せるよ!」

「団長達もお気をつけて!」


ルミは大きな翼を広げ羽ばたかせると空中へと浮かび、王都に向かって飛んでいくのであった。


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