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第三十話  開戦

「『炎の矢(フレイム・アロー)三重(トリプル)』!!!」

「そんな攻撃じゃあ当たらないよぉ。」

「甘い!」


エレナが放った『炎の矢(フレイム・アロー)』はルシェに躱されたように見えたが方向が変わり、追尾する。エレナは聖騎士祭でアリアがやった放たれた魔法を操作することをして見せたのだ。まだ正確性には欠けるが3対1であるこの状況なら操作に集中することができる。


「うわぁぁぁぁぁ!!!」

「『千の突サウザンド・ストライク』!!!」

「『創造(クリエイト)贋聖剣(オルタエクスカリバー)』!!!」


ルシェが怯んだタイミングで俺とシャーロットが斬りかかる。するとルシェの持っていた魔剣に魔力が宿り一回り大きくなったかと思うと急激なスピードで攻撃を避けた。


「お遊びはここまでだよぉ。」

「そのスピード、《魔剣》の能力か。」

「そうさぁ、この《魔剣フルンティング》血を代償に真の姿を開放する。それと同時にそれを扱えるように『身体強化(フィジカル・ブースト)』の効果があるのさぁ。僕の得意魔法は吸血魔法、だから相性がいいのさぁ。」

「なるほどな。それで王の死体にも血液が付着していないのか。」

「ご明察ぅ。」


王の死体は無惨にも身体が本来曲がる方向ではない形になっているが、不思議だったのは血痕がまったく無いことだった。吸血魔法は文字通り相手から血液を奪うことができる魔法だ、これなら血痕がなかったことも納得がいく。殺傷能力が高いが相手から血液を奪うには触れなければいけない制限があると聞くから、グレモリーなる魔族が殺した後に吸血したということか、なんと残酷なことだろうか魔族のすることは本当に反吐が出る。


「君達も《魔剣フルンティング》の糧にしてあげるよ!」

「そう簡単にやられる気はない!!!」

「まったくですね!!!」


俺とシャーロットは再び剣を構えて斬りかかる。しかし先程よりさらにスピードが上がったルシェは一瞬で俺達の目の前から姿を消した。


「何!?」

「どこへ!?」

「さようなら〜」

「きゃあああああああああああ!!!」

「エレナ!!!」


ルシェはエレナの後ろに回り込み切りかかった。俺は急いでエレナの元へと駆け寄る。エレナは咄嗟に炎で身体と剣の隙間にクッションを挟んだようだが、傷は深い。『治癒魔法(ヒール)』を掛けるが俺では応急処置程度のことしか出来ない。


「ユ、ユーリ君…」

「エレナ、喋っちゃダメだ。」

「私の魔力使ってください。この傷では足手まといになってしまいます。」

「…わかった。」


俺はエレナから『魔力供給(マジック・フィード)』で魔力をもらう。必ずあの魔族は倒すことを約束し、シャーロットの横に立つ。


「あのお姉さんは生きてるよね?死体から血をとるのは面倒なんだぁ。」

「生きてるよ。まあ目を覚ます頃にはお前は死んでるだろうけど。」

「ここからが本番です。」

「面白い、楽しませてよねぇ!」


ルシェが再びこちらに向かってくる。奴のスピードを目で捉えることはできないが必ずあの大きな魔剣で攻撃をしてくる。それさえ分かれば避けられないことはない。


「避けるねぇ。でもこれならどうかな。」

「なっ…きゃあ!」

「シャーロット!」


剣を避けられたがルシェは回避をしたシャーロットの身体に触れる。するとシャーロットの身体から血が吹き出した。


「吸血魔法はこんなこともできるんだよぉ。」

「シャーロット大丈夫?」

「ええ、なんとか。どうやら少しでも触れられると傷口から血が吹き出してしまうようですね。」

「厄介な…。出し惜しみしてる暇はないな。」


俺はエレナの魔力を使って《紅蓮の勇者》の力を引き出す。髪の色は赤色に変わり、炎の様な魔力が溢れ出す。


「これがユーリの力…!」

「決着を付けよう!!!」

「もっと楽しめそうだぁ。」


◇◆◇◆


ディアナは思いっきりぶっ飛ばしたリリスという魔族を追いかけて町の外まで来ていた。地面に大きな窪みはある…がリリスの姿はない。周囲を見渡すが気配は全く感じない。


「死んだ…?なんてことは流石にないわよね。」

「そうですね。あの程度で死ぬことはありえません。」


ディアナの背後にいつのまにかリリスが回り込んで首元に短剣が当てられる。ディアナがまったく気配を感じずに背後を取られることはまずあり得ない。何かしらの能力であることは間違いない、そしてそれはおそらく…


「いいモノ持っているわね。」

「《魔剣ミュルグレス》視力が下がりますが、自分の気配を完全に遮断することができます。」

「それで背後に回れたってわけね。でもそのまま攻撃した方がよかったのではないかしら?」

「この程度でやられる方だとは思いませんよ。」

「そうね。『月影(ムーン・シャドー)』」


ディアナはリリスの影から現れる。先程までリリスが短剣を当てていたディアナは影になって消える。


「さあ、始めましょうか。」

「ええ。」

「『影落穴(シャドウ・ホール)』、ちっ…面倒ね。」


リリスはまた気配を消し魔法を回避した。今の所ディアナにリリスの気配遮断を破る術はない、捕まえることさえできれば確実に殺すことはできる。仕方がないとディアナは目を閉じる。


「おや勝負を諦めたのですか?」

「いいや。さっさと掛かってきなさい。」

「そうですね。では遠慮なく。」


リリスは気配を消しディアナに近寄る。だがこちらにはまるで気付いていないようだ。不用意に姿を現すのは危険ではあるが《魔剣ミュルグレス》の特性上、攻撃をする際は姿を出さなければならないのだ。


(一撃で殺す必要がありますね。)


ディアナの正面に立ち《魔剣ミュルグレス》を心臓の辺りに突き立てる。


(さようなら。)

「捉えた。」


リリスは驚愕した。自分の腕がディアナに掴まれているということに。心臓を狙って突き立てた《魔剣ミュルグレス》は身体に少し刺さった辺りで止められた。掴まれた腕を振りほどこうとするが逃げれない。


「どうして私の攻撃がわかったのですか?」

「そうね。あなたの隠しきれてない殺気を感じ取ったってところかしら。」


なるほど。自分とこの人間族の女との差は自分が考えているよりも途方も無いほど開きがあるのだと実感させられた。このまま殺されるのであれば最後に自分を殺した人間族の名前を知りたい…そう思った。


「最後にあなたの名前を聞いても?」

「ディアナ・リーゼよ。」

「さらばディアナ・リーゼ。はぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


悪あがきが意味のないことはわかっている、だがこのままただ殺されるので主人であるグレモリーに顔向けできないと考えリリスは自分の魔力を核に集め、一気に放出した。これでこの街くらいは吹き飛ばされる威力がでる。


「『闇の穴(ダーク・ホール)』、まさか自爆するとは…魔族ってのは本当に理解出来ない連中ね。それにしてもイテテテ、無茶はするもんじゃないわね…。」


ディアナはリリスの体ごと闇魔法の出力で消し去った。それはよかったのだが、思ったより刺された傷が深かった。ディアナは闇魔法しか使えないため『治癒魔法(ヒール)』が使えないのだ、それ故普段はダメージを負わないようにしている、なので久々に傷を負ったため思っていたより痛みに慣れていなかった。さらに運の悪いことに回復薬(ポーション)も所持していなかったのだ。だがもう一体の魔族の方も気になる。


「私の弟子が負けることはないだろうけど、早く戻らないと。イテテ、早く治療してもらう。」


ディアナは弟子の心配、、、治療をしてもらうため急いで城へと戻った。

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