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伝説では6人しかいないはずの勇者なのになぜか俺は7人目の勇者  作者: 銀颯
冒険者騒乱編

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第二十八話 隠された秘密

次の日授業が終わると昨日の話しの続きをするために俺達は城へと向かった。道中で拾ってもらい馬車での移動となった。客間に着くとすでに師匠がいた。


「師匠早いですね。」

「今はこのメインの仕事以外していないのよ。」

「それでは昨日の話の続きを始めしょう。」


シャーロットが代表して昨日までの話を再度まとめて話す。


「それで今後の方針ですが、まずはヴェルス帝国軍に所属していたという初心者狩り組織のリーダー・副リーダーを探しましょう。」

「その2人からヴェルス帝国の詳しい内情を聞き出すということだね。」

「はい。ディアナ様の情報を確かめるためにも当事者に聞くのが一番早いと思います。」

「でも居場所がわからないんじゃなかったでしたっけ?」

「二人組のそれらしき怪しい冒険者がヴェルスとの国境付近の街にいるという情報がありました。なのでまずは私達でそこに向かいましょう。」


ヴェルス帝国の実態を知るにはやはり当事者に聞くのが一番早いだろう。しかし何故軍から逃れこの国の冒険者として初心者狩りをしていたんだろうか、その辺りも聞き出さないと。


「では早速行きましょう。」

「あれ?シャーロットも行くの?」

「もちろんです。」

「危なくない?」

「ふふ。お忘れかもしれませんが、私こう見えても《勇者》なんですから。では参りましょう。」


それもそうだったな。ということは一緒に戦う機会もあるかもしれない、もしかしたらエレナの様に俺の能力を強化させることができるかもしれない。俺達はいつもより地味めな馬車に乗り、国境付近の街であるロンドに向かった。派手に目立つと奴らに警戒されてしまうからだ。メンバーは俺、エレナ、アリア、シャーロット、カルロスで師匠は引き続きヴェルス帝国へと潜入し、情報を集めることになっている。


「ところでロンドってどんな街なの?」

「ロンドは国境付近にあるおかげで、貿易が盛んな街ですね。」

「そうなんだ。ちょっと楽しみだね!」

「こらこら、遊びに行くわけじゃないんですよ。」

「ごめんなさい。」

「まあ問題が解決すれば少しくらいは街を見てもいいと思いますよ。」


アリアがはしゃぐのをエレながたしなめる。エレナの言う通りそんな悠長にしている暇はないんだけど…まああんまり詰め過ぎもよくないだろうしな。シャーロットなりの気遣いだろう。


「そろそろ着きますよ。」

「ここがロンドかぁ。」

「凄い活気が溢れてるね!」

「そうですね…。」


ロンドは王都とは違い大きな建物はあまりないが、露店がたくさん並んでいるようだ。商品は様々で食べ物から装備品まで様々だ。利用者は冒険者が多いように見える、これだけ冒険者がいると奴らを探すのには苦労しそうだ。


「こちらの冒険者ギルドに話を通してあるのでまずはそちらに向かいましょう。」

「了解。」


俺達はロンドの冒険者ギルドへと向かった。冒険者ギルドの見た目は王都のものとは違うが、中の作りは大体一緒みたいだ。シャーロットが受付で話をするとギルド長の部屋へと案内される。ここのギルド長は人間族の男性のようだ。


「姫様、それとお連れの皆様ようこそお越しくださいました。」

「早速ですが情報のあった2人の行方を知りたいのですが。」

「はい。ほんの少し前から見慣れない二人組の冒険者がギルドに出入りしていました。そして今日荷物運びの依頼を使いヴェルス帝国へと向かったようです。出ていった時間的にもまだ国内にいると思われます。」

「では今すぐに追わなければいけませんね。何か特徴はありますか?」

「おそらく認識阻害のローブを使っていたので詳しいことはわかりませんが、1人は体格のいい男でもう1人は背の高い女です。」


国外に出られてしまうと厄介だからまだ国内にいる内に捕まえたいところだ。それにしてもどうして認識阻害のローブを使ってるにも関わらず性別や体型がわかったんだろうか?そんな疑問に気付いたのかギルド長の男性はこちらに向かって微笑んだ。


「私の能力《分析官(アナリスト)》は認識阻害をしていてもある程度相手のことがわかるんですよ。能力まではわかりませんがね。」

「そうだったんですね。」

「早速向かいましょう。」

「そうですね。」


二人組が向かったと思われるヴェルス帝国方面の道を走る。向こうは街で馬車を借りた形跡がないのでおそらく徒歩による移動をしている、俺達は馬車だから追いつくのも時間の問題だろう。あとは捕まえるための作戦会議を行う。


「前衛が俺とエレナとシャーロット、後衛がアリアとカルロスだから半々に別れよう。男の方は俺とアリア、女の方をエレナ、シャーロット、カルロスで頼む。」

「わかったよ。」「はい。」「うん。」「了解。」

「馬車を止めて!」


アリアが叫ぶ。どうやら『魔力探知マジック・ディテクション』でなにか見つけたようだ。


「ここから20m先の木の陰に2つの魔力を感じるよ。」

「おそらく奴らだな。」

「皆さんこれを纏ってください。私の使用している物と同じ認識阻害のローブです。これでよほど気づかれないでしょう。」

「わかった。じゃあ作戦通りに。」


シャーロットから貰った認識阻害のローブを纏う。するとエレナとの繋がりが切れる感覚があった。なるほどさすが《勇者》の能力を隠すだけのことはある。だけどこれじゃ戦いで能力を借りることができないな気を付けないと。ギリギリまで近づき目視で奴らを確認する。


「行くよ!『拘束(バインド)』!」

「!!!!」


二人組はあっさりと『拘束(バインド)』で捕まる。思っていたよりも大人しい抵抗する意思はないようだ。


「あなた達が元ヴェルス帝国軍の初心者狩りのリーダー、副リーダーで間違いありませんか?」

「そうだ。元ではないがな。今でも軍には所属している。」

「なぜこの国で初心者狩りを?」

「初心者狩りをしていたつもりはないが、時間がなかったんだ手荒になってしまったのは謝罪する。俺達はある人物を探していたんだ。」

「誰を探していたんですか?」

「《勇者》だよ。」


二人組の男のほうが質問に答える。《勇者》を探していただって?俺達は男から語られることに驚きを隠せないでいた。シャーロットだけは彼らに質問を続ける。


「どうして《勇者》を探していたんですか?」

「ヴェルス帝国が魔族に襲われたことは知っているか?」

「はい。存じております。」

「俺達はそこから逃れてきた。戦いはなんとか持ちこたえたがまた魔族に襲撃されるという予告が来ている。我が国の《勇者》と共に戦って欲しいと考えこの国に《勇者》を探しに来たのだ。この国の《勇者》は今年誕生したと聞いている。だから冒険者を使ってこの世代の能力者を襲って確かめていたんだ。」

「なるほど。事情は大体把握いたしました。」


つまり彼らは《勇者》を探しにセルベスタ王国に来た、その方法の一つとして初心者狩りをしていたということだ。ヴェルス帝国はセルベスタ王国の同盟国ではない、なので正式な形で協力を求めることができないために情報を頼りに《勇者》を探していたということか。


「どうして今まで同盟国に反対していたのに協力を求める気になったんだ?」

「恥ずかしい話だが元々帝国でも同盟賛成派と反対派で意見が割れていたんだ。しかし今回の魔族襲撃で我々ヴェルス帝国軍は魔族に騙され《制限失薬(リミットロスト)》によって多くの者が能力を失ってしまった。このままでは我が国は確実に潰れるだから協力を求めることにしたんだ。」

「それが初心者狩りに繋がるって?ちょっとおかしいんじゃないの?」

「返す言葉もない。我々は今まで他国との外交をほとんどして来なかった。だからこの国の要人に会うパイプがないんだ。それに次の魔族襲撃予告までもう一週間もないので手荒になってしまった。結局《勇者》を見つけることはできなかったがな。」


なるほどね。魔族の襲撃が幸か不幸か同盟賛成派の意見を進めることになったが、今まで外交をしてこなかったせいでやり方を間違えてしまいましたと。うーん、嘘は言っているように感じないがもう少しなんとかできそうに感じるんだけどなぁ、ちょっとやり方が脳筋すぎる気もする。


「それでどうしたい?」

「あなた方が何者かはわからないが、この国の要人に助けを求めることはできないだろうか?それが出来ないのであれば私共がやってきたことは必ず魔族を退けたあと謝罪と補償もさせていただくので今は見逃して欲しい。」

「どうするシャーロット?」

「そうですね。ヴェルス帝国への協力お受けいたします。私はセルベスタ王国第一王女、シャーロット・セルベスタです。私の言葉は王の言葉と思ってもらってかまいません。」

「本当か!?ありがとう、礼を言わせてもらう。」

「私からもお礼を言わせていただきます。本当にありがとうございます。」


それまで黙っていた女の方が口を開き御礼の言葉と深々と俺達にお辞儀をした。


「紹介が遅れました。俺はヴェルス帝国軍団長バーン・ドレイクだ。」

「私はヴェルス帝国第ニ王女エーラ・ヴェルスです。」


お、王女様だって?…なんか前にも似たようなことあった気がするなと俺は思った。

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