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第二十七話 目標達成

俺達は隠し扉の奥に向かって進んでいく、すると少し先に明かりが見えてきた。どうやら組織のアジトはここで間違いないようだ。


「二人共ストップ。どうやらこの先みたいだ。」

「人数はさっきの人が言ってたよりも2人少ないね。ここにはいないみたい。」

「どうしますか?」

「こっちには気付いていないみたいだし、不意を付いて制圧しよう。合図をしたら魔法を放って。」

「わかりました。」


聞いていた人数よりも2人少ないようだが、近くにはいないようだ。俺は手をフリ2人に合図を出す。


「『炎の矢(フレイム・アロー)ニ重(ダブル)』!!!」

「『風の弾丸(エア・ブレッド)ニ重(ダブル)』!!!」

「『魔法弾(マジック・ショット)二重(ダブル)!!!」

「「「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」


俺達は一斉に魔法を放ち、アジトにいた10人を一度に無力化した。不意打ちは成功したようだ。それにしても後の2人は一体どこにいるんだろう、簡単に制圧出来た辺りおそらく居ないのは能力のわからないリーダーと副リーダーと呼ばれる人物だろう。このアジトに何か手がかりになるものはないだろうか?


「とりあえず制圧はできたようだね。」

「でもリーダーと副リーダーと思われる人はいませんね。」

「ギルドに帰る前にここに何か手がかりがないか調べてみよう。」

「そうですね。」


手分けをしてアジトの中を探すことにした。それにしても汚いなここ、まあアジトといっても洞窟迷宮(ダンジョン)だし元々住むことを前提にしているわけじゃないからしょうがないのかもしれないけど…。うん?何だこの瓶、何か液体が入っているな。ギルドに持って帰ってギルド長に聞いてみるか。


「2人は何か見つけた?」

「いいえ何も。」

「私も。ユーリ何持ってるの?」

「何か薬の瓶だよ。持って帰ってギルド長に聞いてみようと思って。」

「とりあえず帰りましょうか。」


俺達はアジトで見つけた謎の薬瓶を持って帰りアジトでの出来事をギルド長へと報告した。


「そうですか。本当にありがとうございました。」

「あっ、そうそうそれでこの薬瓶を見つけたんですけど…」

「わかりましたこちらで調べておきます。それとまだ不明の2名のことも。」

「お願いします。」

「それにしてもユーリ君はともかく、アリアちゃんとエレナちゃんも本当に強いのね。」

「へへへ、ありがとうございます。」

「まあこれでも聖騎士祭優勝してますから。」


リゼさんがアリアとエレナの頭を撫でながら褒める。アリアは嬉しそうだが、エレナは少し恥ずかしそうだ。まあリゼさんのお姉さん感の前では文句も言えまい。う、羨ましいとかじゃないんだからね!そんなことを考えていると頭の上に柔らかい感触が2つ。なんだか前にも似たようなことがあった気がする。


「師匠はどうして俺の頭に胸を乗せるんですか?」

「そこに弟子の頭があるからよ。」

「まあそれはさておき。どうしてここに?」

「私の可愛い弟子に何かあったら大変でしょ?」

「ダウト!」


師匠は胸をどけて俺の脳天に拳を打ち込まれる。痛ってぇぇぇぇぇぇ!すぐ口より手が出るんだから。でも師匠は本当に何の用なんだろうか?


「それも嘘じゃないけど本当のところはその薬瓶の方よ。」

「この薬瓶が何か知ってるんですか?」

「詳しく調べないとわからないけどおそらくそれは《制限失薬(リミットロスト)》よ。」

「これが《制限失薬(リミットロスト)》!?」


制限失薬(リミットロスト)》?とは一体どんな薬なんだろうか。ギルド長には心当たりがあるようだが。


「あの《制限失薬(リミットロスト)》って何ですか?」

「《制限失薬(リミットロスト)》とは名前の通り制限を失わせる薬なんだ。普段私達の使用している能力には制限がかかっていることは知っているか?」

「いいえ。」

「例えば《拳闘士》は自身の身体能力が向上する能力がある。しかし自分の身体が耐えられないほどには上がらないように無意識にブレーキが掛かっている。だがこの薬はそういった制限を開放させる効果があるんです。能力が格段に上がり戦闘力も倍以上になります。」

「そこだけ聞いたら良いような気もしますが…。」

「当然デメリットもあるということですね。」

「そうです。使用者は能力が使えなくなるのです。」

「そんな…」


つまり使用すれば能力の制限を開放して一時的に戦闘力が跳ね上がるが、その代償に能力を一生使えなくなる…。そんな薬まるで…。俺達は顔を見合わせる、代表決定戦のことを思い出す。


「魔人になる薬…ザイルの時と同じだ。」

「魔族が絡んでいることは間違いなさそうですね。」

「それは一体どういうこと何ですか?」


ギルド長が質問してきたので俺は代表決定戦のことを話した。ザイルが魔族に渡され使用していた能力者を魔人にする薬に《制限失薬(リミットロスト)》はよく似ているということ。


「師匠はなんでこれのこと知ってたんですか?」

「最近お隣のヴェルス帝国が魔族と交戦したって話を聞いてね。国からその調査依頼を受けて調べていたのだけど《制限失薬(リミットロスト)》をヴェルス帝国軍が使用して魔族と戦っていたことまでは突き止めたわけだけど、どうしてこんな副作用のある薬を使用していたのかわからなかったのよ。もちろん死ぬ覚悟があったという線もあるけど考えにくいわよね。」


制限失薬(リミットロスト)》を使用して魔族と戦っても一時的にしか侵攻は止められない。軍の能力者が死なないにしろ戦力にならなくなるわけだからいずれは陥落してしまう。おそらくザイルの時のように魔族が帝国軍を唆して使用するように仕向けたのではないだろうか。


「さっきの話を聞いてこれを魔族が帝国軍に流していたんじゃないかって疑ってるわ。」

「その線が強そうだね。」


服用した代償を知っていれば後々自分たちの首を締めることになることくらい、ヴェルス帝国軍もわかっていただろう。


「今までの話し聞いてて思ったんだけど、もしかして初心者狩りのリーダー、副リーダーって…。」

「うん。多分、流れてきたヴェルス帝国の軍人だと思う。」


ヴェルス帝国の軍人であれば下っ端の男が言っていた情報とも辻褄が合う。そいつらが初心者狩りをしていた目的の方は何かわからないけど。


「今は魔族の侵攻は収まっているらしいわ。でもこのままだと次の侵攻では…。」

「間違いなく耐えきれないだろう。」

「まあとりあえず私はこのことを依頼元に報告してくるわね。それじゃ。」

「君達も今日は本当にありがとう。冒険者ランクの手続きはしておこう。」

「わかりました、ありがとうございます。」


俺達はギルドを後にした。これで一応他国に行ける資格は得た、、、しかしあんな話を聞いてしまうと気になってしまうな。組織のリーダー達は初心者狩りをすることで何をしていたんだろうか?それに帝国もまたいつ魔族に襲われるとも限らないわけだし。俺が険しい顔で考え込んでいるとアリアとエレナが話しかけてくる。


「とりあえずシャーロットさんに冒険者ランクのこと報告しに行きませんか?」

「うん。ついでに色々あったことも話そうよ。」

「…わかったよ。」


そうだな、考えていても仕方ない。とりあえずシャーロットに報告するため城に行くことにした。城に着くとカルロスが待ち構えていた。


「あれ、カルロスどうしたの?」

「実は姫様は来客者の対応中でして、しばらく待っていただくようにと。」

「そういうことね。全然構わないよ。」

「別室にご案内いたしますのでこちらへ。」


俺達はカルロスについて歩いていく。それにしてもシャーロットにお客さんとは珍しいな。以前《勇者》であることを隠すためにごく一部の人間しか会わないと聞いていたのだが…よほど大事な客人なんだろうか?


「ちなみにどんな人かって聞いてもいいのかな?」

「実は私も詳しくはわからないのです。Aランク冒険者の方というのは聞いているのですが。」

「ふーん。そうなんだ。」


Aランク冒険者ねぇ。なんか引っかかるんだよなぁー何だろう。そう考えながらカルロスの後に付いていく。すると前方から見覚えのある女性が歩いてきた。なるほど謎が解けた。


「国っていうか姫様の依頼だったんですね。師匠。」

「何でここに?」

「あらお二人は面識があったんですか?」


師匠の後ろからシャーロットが顔を出す。


「面識も何も師弟関係なんですよ。」

「そういうことだったんですか。ではディアナ様皆さまも含めてもう一度お話しましょうか。」

「そうしましょうか。」


俺達はいつもの部屋でいつものメンバー+師匠でもう一度話をした。シャーロットにはある程度の出来事を師匠から喋ってくれたようだった。


「今度は私がディアナ様に依頼した本当の依頼についてお話します。」

「さっきはヴェルス帝国が魔族と交戦したからそれの調査って言ってませんでしたっけ?」

「それも一つ、もう一つがヴェルス帝国に《勇者》がいるかもしれないのよ。」

「《勇者》が?」


シャーロットが《勇者》の情報集めを依頼してたのは師匠だったのか。


「それで《勇者》の情報は何か掴めたのですか?」

「残念ながら何も。ただヴェルス帝国にいるという噂は本当のようね。軍の特殊部隊にいるそうよ。」

「そうでしたか。」


《勇者》がいるかもしれないということがわかっただけでも凄い。ヴェルス帝国は同盟国ではないし、《勇者》の情報はただでさえ審議が難しい。流石は師匠だろう。でも軍にいるということは…


「《制限失薬(リミットロスト)》。軍属なら使用している可能性もありますよね?」

「ええ。《勇者》だから使用していないかもしれないけど《勇者》だからこそ使用しているということも考えられるわ。」


師匠の言うとおりだ。もし《制限失薬(リミットロスト)》を使用してしまっていたら《勇者》は揃うことができない。そうすれば魔王に対抗する術がなくなってしうまうという最悪のケースだろう。


「まあ、仮に使用していたらもっと情報があると思うけどね。あくまでも可能性の話よ。」

「そうですね…。」

「とりあえず今日はお開きにしましょう。お三方ともお疲れでしょうし、また明日学園が終わった後集まって話すことにしましょう。」

「はい。」

「そうですね。」

「わかりました。」


シャーロットの提案でその日は帰宅することになった。色々問題はあるがとりあえず一旦身体を休めないとまともな考えもできないだろう。俺は不安を抱えながらも眠りについた。

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