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伝説では6人しかいないはずの勇者なのになぜか俺は7人目の勇者  作者: 銀颯
亜人間戦争編

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第百七十九話 能力の成長

俺達はセルベスタに帰ってきた日の翌日に《進化の勇者》イオ•エヴォリュートが残した迷宮遺物(アーティファクト)の解析が進んだというマーク言っていたことを確かめるべく、城へと向かっていた。


「一体何がわかったんだろうね。」

「たしか以前は暗号みたいになってて、読めなかったんでござるよ。」

「複数の言語が…混じってた。」

「ふーん。アタシはあんまり詳しく知らないけどそもそもどういう経緯で見たかったんだ?」

「そろそろ城に着くからみんなが集まったら改めて話すよ。もしかしたはアザミにも関係があるかもしれないし。」


俺達が城に着くとすでに皆んなはいつもの部屋に集まっていた。マークとイヴァンさんに会うのは久し振りだな。アリアが誘拐された時、間違いなくマークの魔道具がなければ居場所を見つけることができなかっただろう。


「マーク、今回の件は色々ありがとう。」

「ううん。アリアも無事で良かったよ。」

「ありがとうマーク。マークのおかげでカノンコートにいる私の場所がわかったって聞いたよ。流石だね。」

「そんなことないよ。まだまだ改良の余地はあるからね。」


今でも十分通信用魔道具の性能は高いが更に上を目指しているマークは本当に凄いな。現在ではまだ通信魔法を使える人の方が優れているがいつかそれを上回る画期的な発明ができるかもしれないな。俺たちが談笑をしているとシャーロットそれに車イスに乗ったアザミがカルロスに押されながらやってきた。この車イスというのはコータの世界で使われていた物らしく、《迷い人》が持ち込んだ技術らしい。こうやって考えるとこちらの世界の物はコータの世界の技術が使われていることが多いと感じる。それだけ《迷い人》が多いということだろう。


「さて、皆さん集まったようなので話し合いを始めましょうか。まずは今回の事件から。」


シャーロットが進行を務め、今回のアリア誘拐事件の概要をまとめてはなす。魔道天空都市カノンコートははるか昔、《大賢者》によって島ごと空に浮かせてできた国であり、様々な魔道具によって生活が成り立っていること。しかし、《大賢者》の死後は《魔力融合路》によって島の浮遊を維持していたが、それも限界がきて、《魔力融合路》に必要な《生命の魔力》を生成できる《大賢者》、アリアを狙い攫ったというわけだ。しかしその策略も俺達に防がれ、ナムイ王は死に浮遊を維持できなくなった島は大和国近くの海上へと墜落した。


「セルベスタ王国としては魔道天空都市…もう天空ではないですが、カノンコートを大和国の領土の一部とすることを提案しどちらの国にも納得していただきました。」

「元々正式な国ではないカノンコートの落とし所としてはそんな所でしょうな。」


あまり政治的な部分はわからないが、イヴァンが言うならそうなのであろう。


「そしてアリアさんを救出する最中に捉えられている《雷霆の勇者》であるアザミ・トニトゥルスを見つけデリラ達が救出しました。彼女は《超高層雷放電カノン砲》に使われる魔力供給源として霊峰ベルベティスから攫われたようです。それで間違いないですね?」

「はい。私は山の地下にある研究所で魔力だけが吸われ続けるという状況でした。皆さんに助けていただけなければ危ないところでした。」

「実際のところ《超高層雷放電カノン砲》を100%の状態で使うには魔力が足りないみたいだったけどね。《魔力融合路》のためだけじゃなく、《超高層雷放電カノン砲》を使うためにも膨大な量の魔力が必要だったというわけだ。」


後からウェールに聞いた話によれば元々は《魔力融合路》のためにという話しか聞かされていなかったようだ。ナムイ王と研究所のメンバーだけが《超高層雷放電カノン砲》について知っており、アザミの実行犯もそこのメンバーなのだとか。だがその研究所のメンバーは《超高層雷放電カノン砲》によって研究所ごと跡形もなく消し飛んでしまっている。なので詳細を知る術はないのだ。


「だけどわからないな。霊峰ベルベティスっていうのは誰も辿り着けない場所だから情報がないって話じゃなかったか?」

「そうですね。ですがカノンコートは浮いていますから。」

「なるほど空から攻め込んだってわけね。」


真正面から辿り着かなくても空から攻め込めば土地の影響は受けないということだろう。それにアリアを攫った時の瞬間移動を考えると不思議ではない。あれは魔族であったワメリがナムイ王と密かに作っていた魔道具らしい。だがカノンコートにあった物は全て無くなってしまったらしい。おそらくワメリが奪っていったのだろう。カノンコートから去っていく際も魔族特有の黒い穴の移動手段は使っていなかったしな。だがフルーが研究所に残っていた物をたまたま奪っていたおかげで今俺達の手元には一つだけある。


「フルーが研究所から奪った瞬間移動の魔道具については?」

「奪ったって人聞きが悪いなぁ。それにあれがなかったら危なかったんだから!」


フルーは不服そうにこちらを睨む。結果的に良かったとはいえ盗んだのは事実じゃないかと言いたくなったがここは折れておくことにする。


「そちらは現在詳細を調べているが、やはり誰が試してもダメだったよ。使われているのは見たこともない刻印魔法だった。」

「そうなんですか。」


瞬間移動の魔道具はなぜかフルー以外の誰が試しても使えなかった。それに使用できるフルーですら距離に関係なく一度使用するとほとんどの魔力を奪われてしまうのだ。実用向きではないので宮廷魔導士団で研究してもらうことになった。


「なんとか解明できるように宮廷魔導士団の総力を挙げて研究するよ。これが実用量産できればかなり革命的だからね。」

「お願いします。魔族に繋がる何かがわかるかもしれませんし。」

「さてこれが今回の事件のあらましになります。ここからはマークに任せます。」


ここまでがアリア誘拐事件にまつわる話。ここからが本題である、《進化の勇者》イオ•エヴォリュートが残した迷宮遺物(アーティファクト)についてわかったことがあるという話だ;。


「その前に一度整理しておこう。まず今わかっているのは初代の《勇者》は《迷い人》としてこちらの世界にやってきた。そしてこの世界の人々に絶望し世界を滅ぼさんとする《魔王》となった。《女神様》はそんな《魔王》を倒すために6人の人間族に《勇者》の力を託した。だが《魔王》を倒すことは叶わず、封印するしかなかった。《時の勇者》クロノス・メーカー、《慈愛の勇者》パティ・テイクス、《進化の勇者》イオ・エヴォリュートの三名が現在わかっている6人の《勇者》の内3人だ。そして《進化の勇者》イオ・エヴォリュートは俺達の力を強くするために迷宮遺物(アーティファクト)を残したというわけだ。」

「なるほどな。それで今回その《進化の勇者》の迷宮遺物(アーティファクト)の謎が解けたってアタシは聞いたが?」

「厳密には謎が解けたってわけでもないんだけど…。」


俺は一度状況を整理して皆との認識を改める。詳細を知らないメンバーもいるから一度ちゃんと話しておきたかったのだ。そして初めてこの事実を知ったジェマは今回呼び出された理由を再度確認する。マークはその迷宮遺物(アーティファクト)を机の上に広げる。


「以前皆で見たときは少しも解読できなかったよね?だからセドリック団長に渡して古代文字の観点から調べてもらったんだけど、セドリック団長も見たことがない文字だったんだ。そこでこの迷宮遺物(アーティファクト)は条件付きなんじゃないかって話になったんだよね。」

「条件付き?」

「特定の条件下じゃないと本来の力を発動しないタイプってことだ。」


そういえば適正魔法がわかるって石板もルミの竜の魔力でクロノスさんのメッセージが浮かび上がってきたんだっけ。すっかりその可能性を忘れてしまっていたな。


「だけどその条件がわかったら苦労はしないんじゃない?」

「いや《勇者》の残した物だし《勇者》に関係することなんじゃないかな。」

「フルーの言う通り、タイミング的にアザミさんが皆と会ったからだと思う。ここを見て。」


そう言ってマークは本のあるページを指す。俺達はそこに視線を向けると前までは何が書いてあるかわからなかったページが読めるようになっていた。


「あれ、前までは全然なんて書いてあるかわからなかったのに今は読める!」

「《勇者》が6人そろったから読めるようになったってことか?」

「おそらくだけどね。だけど全部読めるようになったわけじゃないんだ。今のところ読めるのはこのページだけ。」

「それで何て書いてあるんだ?」


マークは本を持ち上げると代表してページに書かれている文章を読み上げる。


「今君達に必要なことを教える。すでに自覚がある者もいると思うが能力は成長と共に変化する。だがそれは何かが必ず引き換えになってしまう。これは避けられない。大事なのは成長の方向を定めることだ。って書いてあるよ。」

「能力の成長か…。ちょうど最近話してたことだね。」


能力の成長、能力者になる前はできた何かが能力者になってからはできなくなってしまうということは俺達もなんとなく気づいていた。それにランマの変化これはまさしく能力の変化と言えるだろう。だがこの情報では裏付けが取れたというだけでそれがどんな条件なのか詳細まではわからないな。


「でもこれだけだと具体的にどうすればいいか全然わからないよ。」

「マークその本ちょっと見せて。」

「はい。」


デリラが俺が思っているのと同様に文句を言っていると少し何かを考えていたコータはマークから本を借りパラパラとめくり始めた。するととあるページで止まりまじまじと見つめている。


「やっぱりそうだ。前に言ってた僕の世界も言葉も読めるようになってる。ちょっと読みにくいけど。」

「何て書いてあるんだ?」

「少しだけ…助言を…与えるなら、《紅蓮の勇者》の彼女…」


コータが本に書かれている文章を読み上げる。するとエレナのことを指しているだろう文章が出てくる。当てられたエレナは少し驚いた表情を見せている。


「君は今…色の違う炎の…扱いに困っている…と思う。それは…成長の兆しだ。自分が今後…どうやって戦っていくのか…何ができるように…なりたいのか…よく考えて…鍛えることが…大事である。だってさ。」

「たしかレシア砂漠で炎が蒼色に変化して回復したっていうやつのことだよね?」

「はい。なるほど今まさしく私は成長する段階にあるというわけですか。」


エレナはレシア砂漠でラニエスという魔族と戦っている中でダメージを受けた際、傷口から蒼い炎が噴き出し回復したと言っていた。ランマのこともそうだが、これが能力の成長というやつなのだろうか。

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