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伝説では6人しかいないはずの勇者なのになぜか俺は7人目の勇者  作者: 銀颯
魔導天空都市編

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第百七十四話 第二形態

倒したはずのアポカリプスヘイロンは尻尾に捕らえられた《賢者の杖》のメンバーと《超高層雷放電カノン砲》が付いた頭部が変形し、第二形態である《五晶式龍砲・アポカリプスヘイロン・デリート》へと変化した。


「この《超高層雷放電カノン砲》がある限り私が負けることはないんだぁ!」

「しぶとい奴め、第二形態とは。」

「《超高層雷放電カノン砲》はアリアがいないと使えないんじゃないのか?」

「そう思っていましたが…あの水晶を見る限りそんな感じではありませんね。魔力が集まっています。」


エレナは《副技能(サイドセンス)》によって水晶に捕らえられた《賢者の杖》の魔力を見ていた。普通気絶している人間が魔法を発動することができないように魔力が漏れ出ることはない。ただ例外はある。今回の場合はその例外の1つで恐らく無理やり奪い取っているのだ。こうすれば本人の意思とは関係なく魔力を集めることができるのだ。だがそれは奪われている側は危険な状態である。


「アリアの替わりに5人で補おうってことか。汚いこと考えやがる。」

「ええ、とても一国の王とは思えません。」

「ワァーハッハッハ!!!なんとでも言うが良い!勝てば問題はないんだ!」

「皆来るぞ!」


《超高層雷放電カノン砲》に魔力が集まっていく。だが先程までの魔力よりも小さい。アリアがいなくなって《大賢者》が作り出せる《生命の魔力》がないことでかなり威力が落ちているのだろう。これならば耐えることができそうだ。


「喰らえ!『(フレイム)魔力砲(マジック・キャノン)・五連射』」

「『水の壁(ウォーター・ウォール)二重(ダブル)』!!」

「『防御(プロテクション)三重(トリプル)』!!!」


《超高層雷放電カノン砲》から放たれたのは炎を纏った魔力の塊が5つ。俺とコーデリアは皆を取り囲むように魔法を発動する。やはり威力はかなり落ちている、しかし炎属性の魔法を使っているということは恐らく属性も複数操ることができると考えられる。


「『風水(エア・ウォーター)魔力砲(マジック・キャノン)・五連射』!」

「ぐわぁ!」

「きゃぁ!」

「くっ!簡易的な『合体魔法(シンクロ・キャスト)』か!」


今度は水を纏った魔力の塊、そこに風属性も加わり威力やスピードを上げている。まるで『合体魔法(シンクロ・キャスト)』のようだった。だがこちらは二つの魔法を同時に使用している状態というだけで本来の『合体魔法(シンクロ・キャスト)』ではない。同じことをやろうと思えばできないことはないが、その分魔法の威力や精度は落ちる。他人の魔力を使用しているからこそできる芸当だろう。ユーリ達はそれぞれ吹き飛ばされる。


「『土の弾丸(アース・ブレッド)』!」

「『風の球(エア・ボール)』!」

「『(アース)魔力砲(マジック・キャノン)』!」


ジェマとコータが空中に浮かぶアポカリプスヘイロンに向けて魔法を放つ。しかしどちらの魔法も簡単に撃ち落とされてしまった。


「くそー降りてこないなんて卑怯だぞー!」

「役に立てない自分がもどかしいです。」


厄介なのは相手がそらに浮いているということだ。デリラやシャーロットの様に接近戦が得意で遠距離に攻撃ができない二人は何も手を出せない。上に上がる方法はある、だがそう何度も使える手ではない。上がるなら一撃で決める必要がある。


「問題はどうやって隙を作るか。」

「そういうでしたら任せて下さい。ジェマ!」

「おう!」

「ユーリ君!少しだけ時間を稼いでください!」

「わかった!」


空に上って攻撃する隙をどうやって作るかと考えているとエレナが何か思いついたようでジェマを近くに呼び寄せる。二人で何かをするつもりだ。やられないように注意をこちらに引き付けなければ。


「『雷の槍(ライトニング・ランス)』!」

「『土雷(アースライトニング)魔力砲(マジック・キャノン)』!」


ユーリが放った雷の槍を土と雷属性が混ざった魔力砲によって吹き飛ばされる。こちらが単体の属性であるために押し負ける。だが時間稼ぎをする程度ならこれでいい。この間にエレナとジェマは集中し、魔力をすり合わせていく。


「『炎の監獄(フレイム・プリズン)』!」

「『砂嵐(サンド・ストーム)』!」

「『合体魔法(シンクロ・キャスト)熱砂の嵐監獄フレイムサンド・ストームプリズン』!」

「防御を固めたつもりか?だが『五属性(エレメント)魔力砲(マジック・キャノン)』!」


エレナとジェマは『合体魔法(シンクロ・キャスト)』を発動し全員を包み込むように熱砂で防御の体制を取る。近づく物や魔法を全て焼き尽くす。だがそれを吹き飛ばすためにアポカリプスヘイロンは全ての属性を組み合わせた魔力砲を放つ。『熱砂の嵐監獄フレイムサンド・ストームプリズン』はそれにより吹き飛ばされてしまった。


「5属性全て合わせることができるのか!?」

「厳密には同時に5つ放って無理やり合わせているという状態でしょう。ですが魔力は一人の物ではないので威力が衰えたりはしていないようです。先程までの合わせ技も『合体魔法(シンクロ・キャスト)よりも『多重展開(マルチ・キャスト)』に近いですね。」

「5つの属性に魔力砲、合わせて『六重(セクスタプル)』とは…アタシ達の中でもまだできる奴はいないってのに。」


ナムイ王はエレナとジェマが発動した『合体魔法(シンクロ・キャスト)』よりも自身が放った『五属性(エレメント)魔力砲(マジック・キャノン)』が勝ったことに歓喜した。しかし腑に落ちない点があった。いとも簡単に破られたというのに二人はどこか余裕そうな顔をしている。すると二人以外の姿がないことに気付く。だがそれに気付いた時には正面にシャーロット、デリラ、コータの三人が目の前にいた。


「僕はもう限界だ!二人共頼む!」

「任せて!『龍の鉤爪(ドラゴン・クロウ)』!」

「『剣神の一突き・旋風』!」


エレナとジェマの魔法は囮であり、ナムイ王の目を塞ぐために『合体魔法(シンクロ・キャスト)』を発動したのだ。そしてそれに気を取られている間にコータの魔法によって上空へと上がっていたのだった。コータはすでに魔力がなく攻撃することができなかったが、シャーロットとデリラの二人はアポカリプスヘイロンに向けて攻撃を放つ。


「『(フレイム)魔力砲(マジック・キャノン)・五連射』!」

「うわぁ!」

「きゃぁ!」

「ぐっ!」


だがあと一歩の所で三人は炎属性の魔力砲によって吹き飛ばされてしまった。…だがここまでが囮作戦であるのだ。アポカリプスヘイロンの真上には大きな魔力でできた剣が出ている。これはユーリの《剣の勇者》の力で発動する『召喚(サモン)巨人の剣(ギガント・ソード)』によって出現した魔力剣である。


「しまった!」

「これで終わりだぁぁぁ!!!『断罪する巨人の剣ジャッジメント・ギガント・ソード』!」

「ぐわぁぁぁぁぁ!!!!!」


《五晶式龍砲・アポカリプスヘイロン・デリート》の中心を魔力剣が貫く。5つの尻尾の水晶が砕け散り、中にいた《賢者の杖》の面々が落ちていく。そして残った《魔力融合炉》と《超高層雷放電カノン砲》に魔力が集まっていくのがわかる。このままではヤバいとユーリは咄嗟に感じ取った、《剣の勇者》から《溟海の勇者》の力へと変化させる。


「『海神の咆哮ポセイドン・ハウリング』!」


残骸を水で包み込む。すると一瞬光り輝いたと思うと水の中で爆発する。だがユーリが魔法で包んでおいたため爆発はかなり抑え込むことができた。だが《五晶式龍砲・アポカリプスヘイロン・デリート》の残骸は何も残っていない。恐らくナムイ王もあの爆発では助からないだろう。


「これで終わりだ。」


ようやく長い戦いが終わった。アリアも取り返すことができたし、皆もなんとか無事である。しかし問題はおそかれ早かれ落ちてしまうこの国をどうするかである。この島を浮かせている《魔力融合炉》も爆発してしまった。まだ島を包み込む魔力は感じるが遅かれ早かれ無くなってしまうだろう。


「ふふふ。流石ですね、《勇者》の皆さん。」

「えっ…?」


《賢者の塔》のにいるエレナとジェマの背後にいつの間にか女性が立っていた。


「お前はたしか…。」


ユーリは空から降りながら彼女のことを思い出していた。ここまでずっと姿を現していなかったがどうして気付いていなかったのだろうか。アリアを誘拐するという大役を任されていたのは他でもないこのワメリ・ミームなのだ。


「ワメリ・ミーム。」

「アリアさんを誘拐したっていう…。」

「私の様な者の名前を覚えていただいて光栄です。」


だがすでに決着は付いた。今更出てきた所で、一人で手負いとはいえ俺達全員の相手をすることは無謀だろう。


「今更何をしに来たんだ?アンタ達の王は爆発しちまったぜ?」

「ふふふ、そうですね。ですが私の王は先程爆発した愚かな人間ではありません。」

「どういうことだ?」


するとワメリの雰囲気が変わる。魔力は跳ね上がり、すでにボロボロの俺達では立っていられないほどの圧を感じた。そして姿も変化していく、肌の色が変わり背丈も伸びる。これは…まさか…。


「私の王はただ一人《魔王》様です。」

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