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伝説では6人しかいないはずの勇者なのになぜか俺は7人目の勇者  作者: 銀颯
クラス対抗戦《聖騎士祭》編

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第十七話 聖騎士祭2日目【S・L《スピード・ランドスケープ》】③

「『創造(クリエイト)贋聖剣(オルタエクスカリバー)』!!『身体強化(フィジカル・ブースト)二重(ダブル)』!!」

「仕方ないですねぇ。相手をしてあげましょう!」

「はぁぁぁ!!!」


俺はデラルキンに向かって斬りかかる。だがデラルキンは黒い穴を出しそこから剣を取り出し、俺の一撃を防いだ。


「くっ!」

「私の《魔剣》に触れても折れないとは、中々丈夫な剣を創造(クリエイト)できるのですねぇ。」


《魔剣》とは《聖剣》の対になる存在である。どちらの剣も簡単には手に入れることができず、《聖剣》は持ち主を選び、真の力を発揮するという特性があるのに対して、《魔剣》は誰にでも扱える分代償は大きい。魔力の消費が激しい物や寿命を削る物もあり、代償が大きければ大きいほどその力は計り知れない。


「魔族ともなれば《魔剣》くらいは持ってるのか?」

「いえいえ、これは最近手に入れた物でしてねぇ…。名は《魔剣グラム》魔力は取られ魔法は使えませんが、その分切れ味は抜群ですよ!」


デラルキンは軽く《魔剣グラム》を振ると周りの木々を簡単に斬り倒した。落ち着け…魔族は許せないが怒りに任せて勝てるほど弱くはないのだ。ここは冷静に対処をしなければいけない。


「『炎の槍(フレイム・ランス)』!!!」

「そんな小細工は通用しませんねぇ!」


デラルキンに向かっていった『炎の槍(フレイム・ランス)』は簡単に斬り伏せられた。だけど狙いはそれではない。


「こっちだ!」

「ぐわぁ!」


俺は『炎の槍(フレイム・ランス)』で目を逸し、奴の背後に周り斬りかかる。しかしすぐに再生してしまう。


「フフフ、その程度の攻撃ではかすり傷も付きませんよ。」

「くっ…。」


攻撃を加えることはできるが、生半可な攻撃ではすぐに回復されてしまう。かといって大技を撃つ隙もない、それに魔法単体では《魔剣グラム》に斬り伏せられてしまう可能性もある。どうすれば…。


「考える時間は与えませんよ!」

「はぁぁ!!」


◇◆◇◆


―――エレナは何もない真っ白な空間にいた、不思議な感覚だった。意識はあるが何も感じない、あんなに傷を負っていたはずなのに。


《紅蓮の勇者よ。聞こえますか?》

「あ、あなたは一体…?それにここは…?」

《私は女神、ここは勇者と女神が唯一交流できる空間みたいな物です。》

「め、女神様?!…もしかして私は死んでしまったのでしょうか?」

《いえ、ですが危険な状態です。今も必死にあなたのお友達が回復魔法を掛けています。》

「アリアさん…ユーリ君…。」

《あなたには紅蓮の勇者としてまだ死なせるわけにはいきません。なので少しだけ力を使います。》

「ありがとうございます!」

《そろそろ時間ですね…。《7人目の勇者》の…ユーリの力になってあげてくださいね…。》

「はい…!」


◇◆◇◆


アリアは必死にエレナに『治癒魔法(ヒール)』を掛けていた。だが目を覚まさない…そろそろ魔力が尽きてしまうと思ったその時、エレナが急に目を開けた。


「エレナさん!…よかった、うっ…うっ…。」

「ありがとうアリアさん、おかげで助かりました。それより魔族は?」

「今ユーリが一人で戦ってる。」

「早く助けに行きましょう!」

「エレナさん、まだ動ける状態じゃ…?」


エレナの傷は塞がり、すでに立ち上がれるほどの回復を見せていた。まるで先程のユーリのようだとアリアは感じた。



「さぁ、急ぎましょう!」

「う、うん!」


エレナとアリアが向かうとそこには消耗しきっているユーリの姿があった。


「ユーリ!」

「ユーリ君!」

「エレナ!無事で良かった。アリアもありがとう。」

「おや、先程ビートにやられていたお嬢さんもう回復したんですか。」

「ええ、お陰様でね。ここからは三人で相手をします!」


二人が来てくれて助かった。とはいえこちらもダメージを負っている。それにアリアの魔力もそんなには残っていないだろう。そこで俺は女神様の言っていたことを思い出した。俺の能力《7人目の勇者》の真価を発揮するには他の《勇者》の力が必要だと。


「ユーリ君、さっき意識を失っていたとき女神様に会いました。」

「えっ、エレナも?」

「はい…ということはユーリ君もなんですね。」

「俺の能力は他の《勇者》に協力してもらってこそ真価を発揮するって言われたんだ。」

「私も女神様にユーリ君に力を貸すようにと頼まれました。」

「でもどうそれば…」

「作戦会議は終わりましたか?そろそろ行かせてもらいますよ!」

「私が時間を稼いでる間に、二人は何か打開策を考えて!」

「わかった!」


アリアが時間を稼いでいる間に何か考えなければ、力を貰う…


「エレナ、魔力を受け渡すような魔法って何かある?」

「『魔力供給(マジック・フィード)』なら…なるほど勇者の魔力を合わせるという意味ですか。」

「そう。できないかな?」

「ですが…いえ、考えている暇はありません。やりましょう!『魔力供給(マジック・フィード)』!」

「これが、《紅蓮の勇者》の力…!」


俺は身体が熱くなるのと同時に湧き上がってくる力を感じる。今まで抑えられていた魔力が溢れ出るようだ。


「きゃぁぁぁぁぁ!」

「これでお仕舞です。」

「『炎神の一撃(アグニ・ブロウ)』!」

「ぐわぁぁぁぁ!」

「アリア、助かったよ。」

「ユーリ…だよね?」


アリアはユーリの姿を見て驚いた。髪は赤色に変わり、溢れ出ている魔力はまるで炎の様に熱く感じた。それにデラルキンを一撃で吹っ飛ばした。


「ぐぅ…な、何再生しない?!」

「お前の身体だけでなく、魔力その物を焼き飛ばした。もう《魔剣グラム》を握るのも辛いんじゃないか?」

「クッ…貴様ァァァァァァ!!」

「これで終わりだ。『煉獄門(パーガトリー・ゲート)』!!!」


俺は大きな魔法陣を展開させ、そこから大きな門を出現させた。


「何だコレはぁぁぁぁぁ!」

「その空間で浄化の炎に焼かれるといい。もう会うことはないだろうけどな。」


デラルキンは《魔剣グラム》を手放し、煉獄へ続く門へと閉じ込められた。門は消えそこには《魔剣グラム》だけが残されていた。俺は魔力を使い切り元の姿へと戻った。


「なんとか…なったな。」

「ふぅ…ひと安心ですね。」

「セシリアさん達は大丈夫でしょうか…?」


あっちはただの魔族ではなく四天王だった。俺の全力でもほとんど傷を付けることができなかった。でも騎士団長3人だ。きっと大丈夫だろう。


◇◆◇◆


「まさかこの姿を人間に見せることになるとはな…」

「一回り大きくなったにゃ…。」

「魔力量も跳ね上がっておるのぉ。」

「斬り伏せるだけだ。行くぞ!『聖剣(ガラティーン)雷撃一閃ライトニング・ストラッシュ』!」


セシリアは再びバリオンに斬りかかるが、バリオンはその剣撃を避ける。


「何?!」

「フン…遅いわ!」

「がぁぁぁ!」

「セシリアちゃん!こんのぉ『肉球の衝撃(パッド・インパクト)』!!!」


ブランシェはバリオンの顔面に魔法を叩き込むが、まるで効いていない。先程までとは明らかに防御力や攻撃力が上がっている。


「効かんな。」

「きゃっ!」

「これならどうじゃ!『地獄炎の斧ヘルフレイム・アックス』!」


バリオンは片手で炎の斧を受け止める。そのままかき消した。


「なんじゃと!」

「甘いわァ!!!」


バリオンが腕を地面に叩きつけると、競技場全体が揺れ瓦礫が崩れ落ちてきた。三人は瓦礫に飲まれる。


「人間とは脆弱な生物よ…む?デラルキンとビートが死んだか、人間如きにやられおって。」

「まだにゃ!!!」

「人間を舐めるなよ!!!」

「ここからがワシらの本気じゃ!!!」

「ハハハ!それでこそ潰し甲斐あるという物よ!」


とはいえ大技を決めないとこの相手は倒せないだろう。セシリアがそう考えているとブランシェから提案があった。


「セシリアちゃん、久々に“あれ”やるにゃ!」

「そうだな。やるしかあるまい。」

「ではワシはその間の時間稼ぎをしようかのぉ。『精霊召喚(スピリット・サモン)』!」


アルフレッドは大きな魔法陣を自分の下に発動させる。そこから出てきたのは炎をまとった龍の様な姿をした精霊だった。


「久しぶりだなジジイ。まだ生きてたか。」

「サラマンダーよ、相変わらず口の減らない奴じゃ。」

「魔族か…見るのは久々だな。というかジジイ魔力が少ねぇぞ、こんなんじゃ一発撃ったら消えちまうぞ。」

「いいんじゃよ。ワシらは時間稼ぎじゃ。」

「ちっ、そんなことにわざわざ呼び出しやがって。まあいい、いくぞ!合わせろよ!」

「言われんでもわかっておる『炎竜精霊の息(サラマンダー・ブレス)』!!!」


サラマンダーの口から放たれた魔力の息に、アルフレッドが炎を纏わせる。


「グッ…!これが精霊の力か、だがこの程度では我を倒すことはできんぞ!!!」

「言ったじゃろ我々は時間稼ぎじゃと。あとは二人に任せるわい。」

「はぁぁぁぁぁ!!!」

「にゃぁぁぁぁ!!!」


バリオンが気付いた時にはすでに二人は背後に回っていた。


「食らえ(にゃ)!!!『聖剣拳(ガラティーン・ブロー)猫雷キャット・ライトニング衝撃一閃インパクト・スラッシュ』!!!」

「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!」


二人の合体技はとてもシンプルなものだ。セシリアの聖剣による一撃を相手に当たる瞬間に、ブランシェが拳による衝撃波で加速させるだけの合体技で、二人が学生時代に考案した技である。ただセシリアの剣は普通は追いつけないほどのスピードであり、さらにそこに技を打ち込むのは至難の業である。ブランシェの能力はもちろん二人だからこそできる技であるのだ。


「バ、、、バカな…この俺の《核》が壊されるなんて………。」

「私達に勝とうなど…」

「100年早いのにゃ!」

「だが…四天王の一角を落としただけだ…魔族はまた襲いに来る…その時を震えて待つことだ―――。」


バリオンは跡形もなく消え去った。


「それでも、問題はないのにゃ。」

「またワシらが戦うだけじゃ。」

「騎士団長として皆を守るため。」


バリオン、ビート、デラルキンの3体の魔族は、セシリア、ブランシェ、アルフレッドの3人の騎士団長。それとユーリ、エレナ、アリア、フルー、レディ、マークという勇気ある6名の学生によって討伐された。その他学園や街に出現した魔物は他の騎士団長や団員の活躍により収束することになった。

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