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伝説では6人しかいないはずの勇者なのになぜか俺は7人目の勇者  作者: 銀颯
深淵の復讐者編

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第百十話  職業体験

昨日の一件は気になるところではあったが、これ以上はどうしようもない。大人しく授業に集中することにしよう。とりあえず授業が終わったらシャーロットに報告しに行かなければ。


「今日の授業はここまでです。そろそろ職業体験の時期なのでこの後説明をします。」

「職業体験?」

「ユーリ君、職業体験知らないの?」

「う、うん。」

「リリス先生!ユーリ君は職業体験知らないって!」


俺が職業体験という聞き慣れない言葉に首を傾げていると、隣に座っていたラライ、ロロイが大きな声でそのことをリリス先生に報告した。クラスの皆にクスクス笑われている、まさか知らない方がおかしい感じ?なんだか恥ずかしくなってきたな。とはいえ実際職業体験が何かは知らないからちょうどよかった。


「それじゃあユーリ君のためにもおさらいしておきましょう。職業体験というのはその名の通り、騎士団以外の色々な仕事を体験してっもらおうという課外授業です。商店、薬屋、宿屋、冒険者など好きな職業で実際に1週間働いてもらいます。」


なるほど大体わかった。基本的に2学年になった生徒は騎士団に入団しない者が多い、例年1クラス分くらいはいる。そういった生徒達のために職業体験という形で他の道を見つけられるような支援をしているということだろう。ほとんどは冒険者になると聞くが、能力によって他の職業の方が活躍できる可能性もあるもんな。


「明日までに希望を決めておいてくださいね。それでは本日はここまでになります、気を付けて帰ってください。」

「はーい。」


職業か、どうしようかな、よく考えたらあまり他の職業についてあまり考えたことがない。この後シャーロット達に昨日の話もするし、皆の意見も聞いてみようかな。俺が《白》クラスに向かうとちょうど向こうも授業が終わったようで皆が教室から出てきた。


「あっユーリ、昨日のことは皆に軽く話しておいたよ。」

「ランマさんとコーデリアさんも呼んで城に行こうと思いまして。」

「そうなんだ、それじゃあ俺が呼ぶよ。」

「お願いします。」


俺はランマとコーデリアに城に来るように連絡をした。俺達も城へと移動しいつもの部屋で一息ついた後、昨日起こった出来事を説明した。


「《黄金スライム》ねぇ。本当にそんな魔物がいるのかは疑問だけど。」

「でも実際に見た人がたくさんいるんでしょ?嘘ではないと思うけど…。」

「だが冒険者が襲われたというのは気になるな。」

「そうなんだよね。シャーロットの《副技能(サイドセンス)》に反応はあるかなと思って。」


シャーロットの《副技能(サイドセンス)》はこれから起こるであろう悪意を感じ取ることができるものだ。つまり今この国で何か異変が起こっていればシャーロットにはわかるはず。しかしシャーロットが予想できたのは一年度のクラス対抗戦《聖騎士祭》の時とガルタニア国で起きた勇者教の事件の前ということを考えるとすでに何か起こっていた場合だと恐らくわからない。


「いえ、残念ながら私には何も感じません。」

「すでに何か起こっているってことか…?」

「私の周囲という限定的な部分がどこまでかはわかりませんが国外の可能性もあります。」


シャーロットの《副技能(サイドセンス)》には反応なしか。とりあえず今すぐ急に何かがあるわけではないとわかっただけでも良しとしよう。


「今回の件と関係があるかはわからないのですが…。」

「何かあった?」

「ここ最近ディアナと連絡が取れていないのです。」

「師匠と連絡が取れない?」


師匠はたしか【王の領域(キングス・テリトリー)】が終わった後、仕事があると言って後夜祭には参加せずどこかに行ってしまった。やはりシャーロットに何かを頼まれていたようだった。しかし連絡が取れていないというと何かあったということだろうか?師匠に何かあったというのは考えにくいが。


「ディアナのことなのでよほど大丈夫だとは思うのですが…」

「師匠には何を頼んでたの?」

「最近ソレイナ国近辺で身元不明の死体が相次いで見つかっていると相談を受けまして、その調査をディアナに命じたのです。」

「身元不明の死体か。」

「持ち物や容姿では判断できなかったということか?」

「そうです。遺体は共通して持ち物などはなく、損壊が酷いようです。」


ソレイナ国というとコーデリアが生まれ育った国である。身元不明の死体自体は実は珍しくはない。特に冒険者という職業は危険が伴う仕事であり、魔物に食べられてしまって死体も残らないとか《迷宮(ダンジョン)》で持ち物を見つけたなんて話も聞く。


「それは人の手による物ってことなのかな…。」

「可能性はありますね。しかし詳細はわからず、ディアナに調査を依頼したのです。」

「そういうことだったのか。」


師匠の依頼、そして今回の件どちらも共通していることは冒険者が襲われているということ。これだけではこの2つが関連していると決めつけるには少し早すぎるだろう。こちらの事件も気になる所だが、師匠も心配である。


「こうなった以上直接行くしかありませんね。」

「わかった俺が行くよ。」

「私も!」

「それなら俺も行こう。」

「とりあえず行くメンバーを考えよう。全員で行ったら警戒されるし、こっちの事件も気になるよ。」


俺は師匠が心配ということもあり、シャーロットに自分が調査すると進言した。皆もそれに乗ってくれたようだが、全員で行くわけにはいかない。もし2つの事件に何の関係もなかった場合、王都の冒険者達に危険が及ぶ危険性がある。こちらの戦力を全て引き連れていくのは危険だ。


「そうですね。2つの事件の関係がわからない以上、こちらでも警戒しておかなければいけませんので何名かは残ってもらいましょう。」

「拙者とコーデリア殿は冒険者としてディアナ殿を探しに行くでござるよ。」

「二人と俺、後三人でいいかな。どうやって決めようか?」

「それじゃあジャンケンだね!」

「わかった。」

「せーの、ジャンケン…」


公正なジャンケンの結果俺、ランマ、コーデリア、フルー、デリラ、アリアが師匠捜索部隊としてソレイナ国に行くことになった。残りの皆は王都に残ってもらい今回の事件の調査と警戒ということになった。


「今回はちょうど職業体験があるので冒険者の体験ということで出席扱いにはできるでしょう。」

「2年は1年と違って出席しないと進学にかなり響くそうですから。」

「そうだったんだ。それなら職業体験で冒険者を選んでおけば安心だね。」

「ユーリと違って特別枠じゃないからね。」

「嫌な言い方するなぁ。そんなにいいもんじゃないよ、あれこれやらされるし。」


たしかに俺は学園長の特別枠というか、頼まれごとをする代わりに授業の出席を見逃してもらっているがいつも結構大変である。そういえばあまり深く考えたことないけど、どうして俺だけなんだろうか?別にここにいる皆ならそこまで実力に違いはない。シャーロットはお姫様という立場上あれかもしれないがエレナだって《勇者》だし俺よりも上手いこと色々やれそうだと思うけどな。今度学園長に聞いてみるか。


「それでは今日は解散しましょう。」

「うん、皆それぞれ役目を果たそう!」

「「「おー!」」」


こうして俺達はそれぞれの担当を決め城を後にした。翌日、学園には冒険者の職業体験をするということをリリス先生に報告した。決まった生徒はすぐに職業体験を始めていいとのことだったので、俺達はすぐに冒険者として働くことにした。まあそうはいっても俺達は全員すでに冒険者ギルドに所属しているので、改めて職業体験をする必要はないがな。先生たちも何かがあったことは察してくれたようですんなり許可は降りた、その当たりはシャーロットが上手く説明はしてくれるだろう。学園を出てランマとコーデリアの二人と合流した後、ソレイナ国へと向かう。その前に…


「一度冒険者ギルドによってナルガス・ギブロについて詳しく聞いておかない?」

「たしかに情報はあってもいいかもしれないでござるな。」

「行こう…。」


昨日の件をもっと詳しく聞くために冒険者ギルドに行くことにした。ライラさんにもソレイナ国周辺の冒険者不審死事件のことを報告しておきたいと思った。ナルガス・ギブロ一体どういう人物だったんだろうか…。

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