第8話:合流
「もう少しでヤツの所だ。準備はいいか?」
横田はクレールに問いかける。
クレールは静かに頷いた。
「…よし。問題は…どうやって倒すかだな…。」
クレールは静かに頷きかけた。
しかし、途中でハッとした表情を浮かべ、横田に問いかけた。
「考えてないのか!?」
横田は静かに頷いた。
クレールは大きく肩を落とした。
「やっぱり…やめとこうかな…。」
クレールはそう呟いた。
横田も聞こえていたが、聞こえないふりをして進んだ。
「まぁ、魔物といっても女だろ?楽勝楽勝♪」
お気楽な横田に、クレールは大きくため息をついた。
「はぁぁぁ…お前知らないのか?」
クレールの問いかけに横田はキョトンとしている。
「やっぱり…ウベングルガは魔王の配下の四天王だぞ…。」
横田はピタリと立ち止まると、
ギギギギと顔を引きつらせながら振り向いた。
「マジ…?」
クレールは頷く。
「それって強いよね…?」
横田は汗をダラダラと流しながら問いかける。
またもクレールは頷いた。
「ええええええええ!?」
横田は叫び声をあげた。
「ムリムリムリーーー!!帰る〜〜〜!!」
逃げようとする横田を、クレールははがいじめにし、
横田に問いかけた。
「ちょ…さっきまでの勢いはどうした!!?」
「ムカついたんだろ!?ウベングルガに!!」
大声をあげるクレール。しかし、横田は必死に逃げようとする。
「命あってのモノダネだろーーー!?」
クレールは大きく首を横に振る。
横田はウルウルとした瞳でクレールに言った。
「だって死にたくないものーーー!!」
そう言う横田をクレールは無視する。
「まだ駅前のキャバクラのミヨちゃん口説いてないんだよーー!!」
「頼むから帰らせてーー!!」
号泣しながら言う横田に、クレールは飽きれはてていた。
そして冷たく言い放つ。
「諦めろ。馬鹿野郎。」
「あああああーーーーーー」
横田の悲しい叫びが響き渡った。
―その頃
オルターナ王国を出発して2時間程度。
ようやくウベングルガ周辺まで辿り着いたアンジェ小隊。
つくなり聞き覚えのある叫び声が聞こえる。
「アンジェ様…今の声どこかで…」
兵士の一人がアンジェへと問いかける。
「…知らない。私は知らないわ。」
遠い目をしながらアンジェは答えた。
号令を掛けて街へと侵入する。
凍りついた街並みがアンジェ達を凍りつかせた。
「これって…。」
アンジェが辺りを見回すと、凍りついた人々の氷像。
老若男女問わずに、全ての人が凍りついている。
「酷い…。」
アンジェは怒りをあらわにした。
そして先程叫び声目指して馬を走らせた。
そこには二つの面影があった。
「…おっさん…。」
アンジェは再び呟いたのだった。
そこには言い争うクレールと横田の姿があった。
「俺はまだ20代だ!!」
再び横田はアンジェに向かって言ったのだった。