第13話:子供魔王の野望
ノースベルに訪れた横田一行。そこには魔王の存在が…?
「えええええええええええええええええええ!!」
横田が激しく叫んでいる。
なぜならば魔王が目の前にいるのだから。
横田は思考を巡らせる。
―やべぇ…死ぬかも…。
嫌なイメージを必死に振り払うと、横田は魔王に訪ねた。
「あの…魔王様…ご質問が…。」
魔王スンスケは横田に視線を向ける。
―どうみてもただのおっさんだな…。
魔王スンスケが抱いた印象はそれであった。
「なんだ?」
魔王スンスケが問いかける。
横田は視線をそらしながらも、毅然とした態度で接する。
しかし、動揺がバレバレであった。
体は小刻みに揺れ、大量の汗を流している。
「ままま魔王様!一体なにぎゃ目的ですか!?」
ちょっと台詞を噛んでしまった。
魔王スンスケはキョトンとした表情で問いかける。
「目的?何の?店?」
横田は首を横に振り答えた。
「その…魔王様の目的ですよ!!例えば世界を支配するとか…。」
魔王スンスケは少し考えるとこう答えた。
「いや…ぶっちゃけノープランだけど?」
…
……
「えええええええええええええええええ!?」
大声をあげたのはウベングルガであった。
「ちょ…魔王様!!魔王様がそんな事では困ります!!」
横田は頷きながら賛同した。
「そうだそうだ!!ノープランなら魔王なんて辞めてしまえ!!」
横田とウベングルガが交互に非難している。
魔王スンスケは目に涙を浮かべながら反論した。
「俺だって嫌だよ!!魔王なんてさ!!」
「だってしょうがないだろ!?魔王として召喚されたんだ!!」
『俺だって勇者が良かったよぅ!!!ばかぁ!!』
周りの人々の視線が突き刺さる。
「ちょ…魔王様…わかったから泣かないで下さい…周りの目が…」
オロオロしている横田をしり目に、
ウベングルガが魔王を抱きしめて優しく微笑む。
「魔王様。泣かずともよいであろう?よしよし♪」
魔王スンスケはすすりながらも涙を止めた。
三人は場所を変え話すことにした。
―宿屋:横田の部屋
場所を宿へと移し、横田とウベングルガはそれぞれ椅子に腰をおろし、
魔王スンスケはベッドへと腰かけた。
「…で?どういうことなんだ?魔王」
横田が強気になっている。
先程の泣く姿勢を見て、やはり子供であると認識したらしい。
魔王スンスケは事情を説明した。
「三か月くらい前かな?駅のトイレでさ。吸い込まれたと思ったらここに…。」
うんうん。と頷いていた横田だったが、
駅のトイレがひっかかり訪ねてみた。
「それってもしかして〇〇駅?」
コクリと魔王スンスケは小さく頷いた。
横田が召喚されたトイレと同じ駅だった。
「…何考えてんだか…ここのやつら…。」
横田のため息が、静かな部屋に響き渡った。