第11話:終結!ウベングルガ
何やら気まずい雰囲気である。
アンジェとウベングルガは横田を睨んでいる。
「折角盛り上がってたのに…。」
そういった非難の眼差しだ。
横田の頬に一筋の汗が流れおちる。
「えっと…。」
横田は必死に頭を回転させる。
「あははは!!みつけたぞウベングルガぁ!!」
「お前は許さないからな!!」
…
……
再度沈黙が辺りに広がる。
「だいなしじゃの…。」
「だいなしね…。」
ウベングルガとアンジェがそれぞれ顔を見合わせた。
横田は切なげに叫んだ。
「なんだよぉーー!!二人して酷いだろ!!」
「折角空気変えようとしたのにぃ〜〜!!」
横田がじだんだを踏んでいる。
その光景を見ていたウベングルガとアンジェ。
「なんか馬鹿らしくなってきたのぅ…。」
「そうね…やる気なくなったわ…。」
そしてお互い顔を見上げると、
クスクスと笑いだした。
『あはははは!』
二人とも声を出して笑っている。
状況がつかめていない横田は、ボー然とそれを見ていた。
「えっと…この展開どうすれば?」
ウベングルガが答える。
「もうわらわの負けでよい。好きにせぃ。」
半ば飽きれはてた様に言う。
横田の頭にナイスアイディアが浮かんだ。
「じゃあ、俺と一緒に来い!!」
四天王をここで仲間にしておけば、
後々便利だろう。
横田はそう考えていた。
「それは…わらわにお前の傍に居ろ。と言っておるのか?」
気のせいでなければ、
ウベングルガの頬は僅かに赤く染まっていた。
横田は少し考えて答えた。
「そうだ!!俺と一緒に来い!!」
二度目の台詞。だが方向性が変わっている事に気付いていない。
「え…わらわが…人間の男と…?」
なにやらモジモジし始めたウベングルガ。
「…わかった。浮気は許さぬぞ♪」
そう言って笑顔を横田に向ける。
『へ…?』
アンジェと横田の声が揃った。
「じゃから、傍に居てやるからの…浮気は許さん。」
再びウベングルガは顔を赤らめた。
『えええええええええええええええ!?』
アンジェと横田の声が再度揃った。
「ちょ…待って…ええええええ!?」
横田は慌てふためいている。
「よかったわねー♪彼女出来たじゃない♪ぷぷっ…」
アンジェは腹を抱えて笑い転げている。
ウベングルガはニコニコしながら横田に近づく。
「今日から恋人同士じゃの…」
頬を染めながらいうウベングルガ。
横田は考えた。
―いや、単に魔物ってだけで、スタイル抜群・容姿端麗
しかも…強い。
考えは纏まった様だった。
「宜しくお願いします!」
横田は頭を下げた。ウベングルガは頷いている。
「ええええええええええええええええ!?」
アンジェが大声を上げた。
「まさか受け入れるとは…恐るべし…おっさん。」
アンジェは口をポカンと開けて、
ウベングルガと横田を見ていた。
こうして、ウベングルガとの死闘(?)も終わり、
街の人々は元通りに戻された。
粉々に砕けたクレール。
元に戻ったら相当グロテスクだろうと、
アンジェと横田は想像していたが、
予想外に普通な姿に戻った。
街では支配からの解放を祝した宴が開かれ、
ドンチャン騒ぎのまま朝を迎えた。
―朝
横田一行はオルターナ王国へと、一旦帰国する事にした。
今後の方向性を定める為だ。
おっさん1、神官1、剣師1、魔物1.
なんとも不思議なパーティであった。
一同はオルターナ王国へ向けて歩き出した。