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第9話:決戦!ウベングルガ(1)

「ここで何してるの…?」


アンジェは重い口を開いた。

出来れば会いたくなかった。


「お前に関係ないだろ!!」


横田は答えた。

アンジェは溜息をつくと、横田を無視して先へと進む。


「お知り合いか?あの女性…。」


クレールが横田に問いかけたが、

横田はアンジェを睨みつづけていた。


アンジェがクレールに問いかける。


「あなた。この街はどうなってるの?」


クレールは事情を説明した。

ついでに横田に装備を奪われた事も。


「はぁぁぁぁぁ…」


ドラゴンのブレス並にアンジェは溜息をつく。

そして横田にいった。


「あんた…最低ね。」


横田は目をそらし、口笛を吹いている。

ベタなリアクションは、アンジェに二度目のため息を吐かせた。


「まぁ…邪魔だけはしないでね。」


アンジェはそう言うと、号令を掛けウベングルガのもとへと向かった。

横田とクレールは置き去りにされ、ボー然と見送っていた。


「で…?どうすんだ?」


クレールが横田に問いかける。

横田はボー然としている。


「おい!!横田!!」


ハッと横田は我に返り、クレールに言った。


「じゃ…帰ろうか。」


思わずクレールは声をあげる。


「えええええええええええええ!?帰るの!?」


横田はコクコクと頷いた。


「ちょっと待て。あんな女の子に任せる気か?」


「どれだけお前は最低なんだ!!」


横田は少し考えて言った。


「こんだけーーーー♪」


とりあえずギャグを言ってみた。

しかし、それがまずかった。


『ドゴッ!!』


鈍い音が辺りに響くと、横田は前のめりに倒れた。


「一発の約束だったな!!」


そういうとクレールが手持ちのハンマーを投げ捨て、

横田の装備を奪った。


「お前にはがっかりだ!!」


横田は気絶している。聞こえない横田に台詞を残し

クレールはアンジェの後を追った。


アンジェに追いつくと、クレールは懇願した。


「俺も連れて行って下さい!」


アンジェは少し考える。

横田の仲間だった男を信用して良いものか。


「あなた…横田と行くんじゃなくて?」


クレールは首を横に振り、アンジェに言った。


「あんな馬鹿はしりません!!凍りつけばいい!!」


軽く事情を聴き、クレールの動向を許可したアンジェ。

クレールは鼻息荒く、ナイト気取りでアンジェの横を歩く。


街の中央にはウベングルガが高笑いをあげてそこに居た。

アンジェとクレールは身構えた。


ウベングルガはアンジェ達の方を見ると。冷たく言い放つ。


「ん…?何じゃ貴様ら。凍りに来たのか?」


そう言ってクスクスと笑うウベングルガ。

アンジェはギリッと歯を食いしばると、ウベングルガに言い放つ。


「街の人達を元に戻しなさい!さもないと…!」


そう言って武器を強く握りしめる。

クレールも同様に戦闘モードである。


「さもないと…?なんじゃ?わらわを倒すか?」


ウベングルガは一呼吸置くと、あからさまに敵意をむき出しにする。


「なめるなぁぁぁぁぁぁあ!!馬鹿な人間どもがぁぁぁ!!」


一段と吹雪が強くなる。

アンジェは小隊に向け号令を掛ける。


「行くぞぉ!!ヤツを倒すのよ!!」


―おおおおおお!!!


けたたましい声と共に兵士達が飛びかかる。


「この雑魚どもがぁぁぁああ!!」


ウベングルガは身を震わすと、より強い冷気を放出する。

飛び付いた兵士達は次々と氷漬けになっていく。


「くっ…!!」


アンジェは舌打ちすると呪文を唱え始めた。

その様子を見て、クレールが時間を稼ごうと飛びかかる。


「せいっっっ!!」


気迫と共に剣を振りおろす。

ウベングルガはそれを片手で受け止め、アンジェの方へと弾き飛ばす。


クレールは何とか身をよじらすと、アンジェへの直撃を避ける。

しかし、今の行動で足を少し捻ってしまった。


アンジェはクレールの状態に気付いていたが、

呪文をとぎらせてしまえば、またやり直す羽目になる。


アンジェは構わず呪文を唱え続けた。

クレールは痛む足を黙殺しながら、続けてウベングルガと対峙する。


アンジェに気づかれては邪魔されるかもしれない。

クレールは再び気合と共に打ち込んでいく。


しかし、先程より僅かに遅い。

ウベングルガは軽くかわすと、クレールに向け冷気を放出する。


「がっ…!!」


うめき声をあげクレールがよろめく。

半身が凍りつき始めていた。


徐々に体は固まっていく。

クレールは身動きが取れない。


「ははははは!!凍り付くがよい…。」


ウベングルガは更に冷気を強めた。


「く…そ…。」


クレールは氷漬けになった。

それとほぼ同時に、アンジェの呪文が完成した。


「くらいなさい!!」


炎のレーザーがウベングルガに飛来する。

避けきれず、ウベングルガは炎に包まれた。


「ぎゃああああああああああああ!!」


ウベングルガの絶叫が木霊する。


「やった!!」


アンジェはガッツポーズを取る。


「…なんてのう♪」


ウベングルガが片手を振ると、炎は消え去った。


「そんな馬鹿な!?炎が効かない!?」


アンジェは慌てて次の呪文を唱えた。

そんなアンジェを見ながら、ウベングルガは笑いながら言う。


「あははは!小娘。その程度でわらわが死ぬと思ったか?」


アンジェは顔をしかめながらそれを聞く。


「仮にも4天王と呼ばれるわらわを…」


『舐めるでないぞ!!!』


怒号と共にアンジェへ飛来する氷の刃。

アンジェは慌てて身をひるがえす。


なんとか避けはしたものの、

呪文が途切れてしまった。


「くっ…。」


立ち上がろうとしたアンジェの目の前に、

ウベングルガが立ちふさがっていた。


「どうした小娘?必死じゃのう…。」


見下した目線でアンジェを睨む。

アンジェはバックステップを踏み距離を取る。


「ほう…まだやるか?」


馬鹿にした口調でウベングルガが問いかける。

唇を噛みしめながら、アンジェは答えた。


「当り前よ!!」


そう言って短剣を抜く。


再び対峙したアンジェとウベングルガは睨みあった。


―その頃


寒さで目が覚めた横田。

状況を把握できていない。


「あれ…?俺どうしたんだ…。」


冷静にあの時の事を思い返す。


「あああああ!!あの野郎!!いきなり殴りやがって!!」


思い出したかのように声をあげる。

しかし、パンツ一丁でこの寒さ。


すぐに横田はガタガタと震え出した。


「このまま…だと…風邪…引く…。」


奥歯をガタガタと震わせながら、

横田はめぼしいものを探していた。


とある倉庫に行くと、作業着がおいてあった。

少し豚臭かったが、横田は迷わず着用した。


「よし…これで寒くない。」


近くに会った作業用の長い棒を見つけ、

横田はクレールを殴るべく走り出した。


「あの野郎おお!!一発殴ってやる!!」


最早目的は復讐へとかわっていた。

横田はウベングルガのもとへと走っていった。

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