プロローグ
―朝。
通勤ラッシュに身を揺られ。
―昼。
ウザい上司にけなされて。
―夜。
コンビニ弁当で腹を満たす。
「あ〜…疲れた。」
気だるそうな声を上げるこの男。
横田公平、28歳。
彼女無し、貯金無し、趣味はパチンコ。
夢も無く、大した目的も無く、淡々と生きてるこの男。
特に珍しいタイプでは無い。
良くある「人生たのしけりゃいいじゃん?」
そういったタイプの人間だ。
今日も横田は一日を終えた。
特に変わったことも無く、特に何かをする訳でもなく。
当たり前の一日は、当たり前に終わりを迎えた。
「そろそろ彼女ほしー…」
横田はそう呟くと、いつも通りエロ本を読みだした。
パラパラとページをめくり、読み終えたらビールを飲む。
毎日の生活リズムはこんなものである。
当たり前な毎日は当たり前に続き、
横田の人生に何ら変化はないまま過ぎていく。
『何がしたい?』
そう問われて答えられる人間はごく一部。
無目的に大人になった人間に、そんな質問に答えられるものはない。
横田の様な人間は、
「何でも出来るが何にも出来ない。」
要するに器用貧乏だ。
対して苦労もせずに生きて行けるから、
努力などしたこも無い。
横田はビール飲みほすと、そのまま眠りについた。
小汚い布団にくるまり、スヤスヤと眠りにつく。
「おやすみ〜…」
この年で一人だと、誰も居なくても声が出る。
寂しい男の一日は、こうして淡々と過ぎていく。
―翌朝
携帯のアラームで目が覚めると、
横田は気だるげにスーツへと気がえる。
駅へ向かい、いつもの電車にギリギリで飛び込んだ。
「ふぅ〜…後3分は寝れたな…。」
こういった計算では非常に頭が回る。
これもまた、器用貧乏の特徴である。
乗車率は8割程度。
混んではいるが、まぁさしあたってキツイ訳でもない。
吊革に揺られる事20分。
会社近くの駅で電車を降りた。
ふとトイレに行きたくなり、
横田は駅のトイレへと足早に急いだ。
トイレにつくと、〔小〕の方は全て埋まっていた。
一つ溜息をつくと、仕方なく横田は〔大〕の扉を開く。
こういう時の他人の視線は、なんとも言えない雰囲気をかもし出す。
いそいそと中に入りドアを閉める。
便器の蓋を開けると、妙に青色に光っていた。
「ブルー○ットの使い過ぎ?」
一人ギャグをかまし、横田は用を済まそうとした。
その時、便器の水が回り出した。
その速度はどんどん速くなり、横田の目が回る。
「うげー…酔った…」
フラフラと体が揺れ、思わず便器に座りこむ。
―グンッ!!
なんだか下から引っ張られる様な感覚。
「おうっ!?」
横田は変な声を上げた。
次第に便器に吸い込まれていく横田。
横田は焦りながら一人声を上げていた。
「ちょっ……!!待って!!何これ!?」
尻の半分が吸い込まれている。
横田はバタバタと両手を動かす。
しかし、そんな抵抗も虚しく、体はドンドン吸い込まれていく。
「おおおおおおおおおおおおい!!これ便器だから!!流すとこだから!!せめて別の…」
ツッコミを入れかけた所で、横田の意識はブラックアウトした。
そのまま横田は便器へと吸い込まれていった。
サラリーマンファンタジー的な何かです(笑)
ゆっくりと書いて行きます。