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《即死魔法》と最強のメンバー

──結局彼らによる騒ぎは何事もなく鎮まり、フェイ達は再びギルドの建物に集まって談笑を交わしていた。


「ああごめんね~。リーダーが女の子を泣かしてると思ったらいても立ってもいられなくって!」


笑みを絶やさずそう言ったのは、フェイより頭ひとつ小さい金髪の少女だった。黄色に光る目が大きく、顔つきや身長から十代前半くらいに見える。流石に冒険者に成り立てのルインよりは年上だろうが、フェイよりは年下のように見受けられる。


「まあ自己紹介させてもらうよー。私はルリータ、ここのギルドマスターちゃんが事案を起こさないように常に遠くでストーk……じゃなくて、監視しているのだ!」


金髪の彼女は名をルリータといい、口振りからしてラルクのパーティのメンバーだろう。先程の騒動を引き起こした一人であり、ラルクがフェイを泣かせたと勘違いして思わず声を上げていた人だ。


「自己紹介は良いんだがルリータお前今何を言いかけt」


ストーカー発言をしかけたルリータを問い詰めようとしたラルクの間にわざとらしく入り込んだ赤髪赤目の女性がフェイとルインに向き直った。身長はフェイとほぼ同じで、恐ろしいまでに長いツインテールが自身の腰に触れているのが特徴である。


「次はアタシ……ガイナよ。さっきのは誤解だって聞いて……その、申し訳ないわね。」

「ああ、いえ、どうもフェイです。」

「ルインです……。」


ガイナ少々気が強そうな見た目をしているにも関わらず思いの外礼儀正しく、二人も一礼して自己紹介をする。


「じゃあ次は私、シャリテと申しますわ。彼とはその……許嫁ですの。」

「いいな……え???」

「誤解だぞ二人とも。」


太陽に反射するほど輝く銀髪を伸ばした女性からの突然のカミングアウトに困惑する二人に、ラルクがすぐさま「そうじゃないと」否定する。もう手に負えないとばかりに彼が疲弊しているのがフェイにもわかった。


「許嫁……ってなに?」

「単純に婚約者ってことだけど……」


まだ学の浅いルインと、彼女に言葉を教えているフェイの様子を見てシャリテは何も言わず微笑んでいる。


「大変なんだなラルクさん……」


彼の苦労をひしひしと感じたフェイは苦笑いし、あまりおちょくるのは止めておこうと思ったそうだが。

一方でルインは上手く頭を整理できず今だラルクとシャリテがどうこうという話で止まっている。


「……それじゃ最後は俺だな。俺はロイデ。ラルクの奴が珍しく気に掛けている冒険者と聞いてどんな奴かを見てみたかったからこうして会うことになった訳だ。」


最後のメンバーはどうやら男性らしく、全体的に赤がかった黒髪をした青少年だった。白銀の鎧がここまで似合わないというのも珍しく、蒼のコントラストが添えられているその鎧とは見事に対照的である。身長はラルクを超える180程と大柄で、がっしりとはしてない細身だが決してひょろひょろしている訳でもない。


目付きはかなり鋭く、現在は素であるのだろうが見る人によっては睨まれているように感じるだろう。自己紹介ひとつとっても野心家であることが窺えたりとパーティにはあまり馴染まなそうな一匹狼と取れるが、真っ先にラルクの発言を広めに行こうとしたのは因みに彼である。


「まあこんなんでも俺以外皆A等級冒険者だからな……。それをこうも上手く纏めてるあいつの器量も化け物染みてるんだよな。」


「それは言えてますね……」


当の本人ラルクはというと、現在シャリテに迫られルリータに嗤われと散々であり、それをガイナがどうにか止めているという状態だった。ロイデの発言からしてあの三人はAランクであり、いくら同格の仲間とはいってもラルクの器の大きさが計り知れないことは容易に理解できる。



「ああ、俺のことは呼び捨てでいいし敬語もいらないぜ。」

「えっ、でも先輩に当たりますし、その……」

「俺じゃあの面子には勝てねえからよ。等級もまだBだしな。」


どうやらロイデだけは等級が一つ下のBであるらしく、性別も男とあってメンバーと少し距離があるように感じられた。とはいえフェイはまだC等級であり、役職は違えどロイデは先輩にあたる。


「……私はまだCですから。」

「あのガキんちょがCに上がると聞いてたから、てっきりBあると思ってたぜ。」


ロイデの棘のある言葉に少々苛立ちを募らせ、不貞腐れながら「すみませんね」とぶっきらぼうに返すフェイ。高を括られた気がして全身にきゅっと力が入る。


「ああ……その様子だとすぐBまで上がりそうだな。楽しみにしてるぜ、フェイ。」


「……どうも。」


そんなフェイから何かを感じ取ったのか、ロイデはにやりと不気味に微笑んだ。彼なりの野心というか、自分に似た者を感じた結果なのだろう。



「─それじゃあ自己紹介を済ませたところで、《歪竜(ディストード)》の死骸を回収するとしよう。」


ロイデとのやり取りを終えたことを確認したラルクはそう切り出した。というより話を戻したという方が近いかもしれない。


ずっと放置続けていたのもあって街の心証も良くないものであり、時間が立てば腐敗など更に面倒な事態になることを彼らが理解してないはずもなく、一刻も早く死骸を処理しようと動いた矢先のことだった。



──────ドゴォン!!!!


建物のすぐ外で、何かが叩きつけられるような爆音が響き渡ったのである。

投稿が数日ぶりになりました(_。・ω・。)_チカレタ

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