The Real 出場の思い出
※7割は作者の経験談
事故はフィクションです。
ブザー音と共に放送が聞こえ俺は目を開けた。
『北管内 救急 交通事故 旭街二丁目 入電中』
ブザーの種類は救急出場を知らせる、通常救急出場を意味する音だったので頭の中で、管内地図を広げて何が起こったのか推測をしてみた...
深夜に入る一歩手前の金曜日夜中の時間帯だから、きっと帰り途中の車が大通りに入る手前で
歩道から出てきた歩行者と接触事故を起こしたのかなと考えられた。
旭街二丁目は細い道路が多く、歩行者も多い道路が点在していてよく接触事故や自転車の転倒事故で出場した経験があるからだ。
だが、次の瞬間に嫌な気持ちにされてしまった。
さっきとは違うブザー音が聞こえて、一気に緊張感が高まって仮眠室の扉をバンと開けて1Fの車庫へ駆け下った。
『北管内 救急救助 珠安市 旭街二丁目 アンドレ交差点内
出場 珠消P4 珠消P3 珠消R7 珠消C1 珠救A4 以上』
「おいおいおいさっき食べた飯が出そうだなおいおい」
と言っても先輩の機関員は、手早くディスポガウンを着てヘルメットを持ったまま運転席に座り込んだ。
自分も救急車の後部座席に座り込み。ヘルメットを被りディスポガウンを着込んで、
現場携行資機材の一種をストレッチャーの上に投げおくように置いて、ゴム手袋をはめた。
「高エネかもなー...CPAでないことだけ願いたいなー」
そう言って助手席に隊長が座ってそう言った。
「おーい。動くで」
そう先輩の声が聞こえて、
エイなのかハイなのかよくわからない体育会系あるあるの声で返事をした。
現場系携行用の酸素ボンベの弁を開いて残圧を確認してすぐにつかるように、リザーバー付きマスクを袋から出してリザーバーを膨らませた。
高エネルギー外傷だと、必要になるのは....
そうこう考えてるうちに、ストレッチャーの上にバックボートとヘッドイモビライザーを用意して、
ネックカラーを取りやすい位置に鞄にかけて外傷用鞄の中にビニール袋をぶち込んだ。
ハサミもよし....
『傷病者にあっては、意識あり会話しているとのPMからの通報です。
ハンドルと座席に体を挟まれ、身動きが取れないとのことで救急救助事案にて指令を出しました』
「珠救A4 了解。現場到着」
隊長がそういうと、車が止まったので自分は扉を開ける前に窓から周囲を確認してから扉を開けた。
現場は交差点内の端にある信号機のポールに軽自動車が正面から突っ込んでいてフロントはくの字に曲がりポールが完全に食い込んでいた。
後部ドアからストレッチャーを下ろし、先輩と一緒に車の前に来て止まった。
幸いなことに火や煙は上がってなく、オイルもパッと見た感じでは漏れてないよに感じられた。
後続のポンプ隊が到着くし、続々と隊員が降りてきた。
「意識あり、発語ある名前も生年月日も言える!!」
そう隊長から声が聞こえてきて少しほっとしたが次の準備にとりかかった。
「挟まって抜けねーな...」
ポンプ隊の隊長が軽自動車の中を覗き込んでそう言った。
「うーん。壊すって言ってもな....スプレッダとでドア壊してもなー」
「後ろから出したらどうだろうか?」
そうベテランのポンプ隊の機関員が、軽自動車のトランクドアを開けてそう言った。
「それしましょうか〜。おーいリクライニングさせて〜取りあえず首固定しようか」
そう救急隊長の指示が飛ぶ、車の中に入り込んでネックカラーで首を固定してリクライニングしたシートの隙間に6人総出でバックボーンを差し込んでそのまま要救助者を救出した。
手早く運び出した後は、
「とりあえず中に入れてから、全身見よう」
という救急隊長が発したのでその方針になり、すぐに車内収容をすることになった。
自分、機関員、隊長の3人で頸椎と脊椎の保護をするためにログロールをして傷病者の背面の観察を隊長がした。
「特になさそうやな...頭見て」
「はい」
自分は頭部の観察に移った触った感じや見た感じで外傷は見受けられなかった。
ペンライトで瞳孔反射を見るが、通常通りの反応があることを確認できた。
「頭固定しようか」
隊長の一声があり、
3人でヘッドイモビライザーを傷病者に装着して、体をベルトで動かないように固定させた。
「あ、あのー膝が痛いです〜」
「ズボン切って大丈夫ですか?」
自分はそう聞いて、
ハサミを足の近くにいた隊長に手渡した。
隊長はすでに胴体と腰部の観察は終えていた。
「はい。切ってもらって大丈夫です」
その言葉を聞いて、ズボンをハサミで切り裂くと右大腿部に出血があるのを見つけることができた。
自分は生理食塩水と汚物盆とガーゼと滅菌されたガーゼとに三角巾の準備をした。
「うーん活動性の出血ではない。4cmの裂創...尖ったもんで切れたんかな....圧迫して止血」
「了解」
自分はそれを聞いて怪我をしている大腿部にガーゼを当てて三角筋で覆った。
このような感じで日々救急隊の仕事を自分はしていた.....