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「あっあああああああああああああ! つうううううう!?」


 苦しんでてても空獣は別に待ってなんてくれない。私の視界は元の景色とそして脳内に別の景色が映ってて混乱の極みなんだが、それでも腕を前に出してそれを受けようと試みる。てか既に限界だった。だから追加の攻撃を受け止めるなんて無理……な筈だった。


 けど私はそれに耐えている。不思議な事だったが、それは紛れもない事実だ。なぜ耐えられてるのか……それはわからない。けど私にはそんなことに思考を巡らせる場合ではない。なぜなら、魔王と勇者が私が伝えた言葉を言い放った後、私の頭には大量の情報が送られてきたからだ。


 それはまるで星の成り立ちから、生命の誕生。そしてこれまでの進化の軌跡……営みの全て……そして輪廻までが私の頭に入ってきてた。そしてそんな大量の情報を人一人の脳が処理できるのか……実際出来てないから、こんなに苦しくて、痛いんだと思う。外的要因では空獣の攻撃が私を痛めつけ、そして内的要因でも私は攻撃を受けてる状態だ。

 なにこの拷問? 全てを放棄してしまいたい。てか痛みでそうなりそうである。


『後、少しです。耐えてください』


 そんな言葉が遠くで聞こえる。耐えるって何に? てか……なんでこんな辛い事になってるんだっけ? そんな風に私の頭は上手く働いてないようだ。


『世界の権限をインストールしました。世界の力を集約させます。かの二人はこの手の武器に変換しましょう』


 何やらそんな言葉が脳内に響く。白と黒の光が天に刺すほどに上った。その中で勇者と魔王が困惑してるが、次第にその姿が変わっていく。

 その間に、私は自身の変化を実感してた。あれだけ辛かったのに、今はなんかふわふわしてる。痛みはどこかへいって、何かが私を持ち上げてる感覚。体の隅々まで染み渡るそれが私の体を一回り……いや、二回りくらい変えていってるような気がする。


 腕とか足とか見える部分だけしかわからないが、最初シンプルなものだった。白を主体にした直線と曲線が混じった体だ。けどそこに今、変化が訪れてる。外殻が追加されていってるみたいな? なんか体が重く感じてきたぞ。


『出力千パーセントアップしています。今なら押し返せます』

「うりゃあああああああああああああああああああああし!!」


 私は今までどうしようもなかった空獣の攻撃を握り潰す。まさか出来るとは思わなかったが、なんか出来た。そして空間の亀裂が震えて、周囲のボロボロの空間がさらに広がっていく。


「なんか怒ってる?」


 そんな気がした。次はもっとやばいのが来る。けどそれに備える様に、私の前に二つの剣が来た。最初の武器の様なコンパクトなものじゃない。まさに剣といった見た目の黒と白の剣だった。どっちもとても綺麗で、そして先進的。剣とわかるけど、かなり機械の部分もある。


「これってまさか、勇者と魔王?」


 さっき光に包まれてどうなったかと思ってたが……まさかとんでもないことになってた。


『全てを捧げると言ってもらえたので、存在を少し改変しました』

「元に戻れるのこれ?」


 気になる所だね。でも、空獣は待ってはくれないか。でも今度は空獣の攻撃を真っ二つに出来た。これはヤバイ。なんかまるで世界の力をここに集約したみたいな……そんな感じの力を感じる。


「これなら空獣も倒せるんじゃない?」


 私は期待を込めてそう聞くよ。だってかつてない高揚感だよ!


『それは無理ですね。一つの世界のエネルギー程度では空獣には勝てません』

「ええー」


 冷や水を浴びせる? ここで!? てか世界の力を集めても勝てないって反則でしょ。


「やってみないとわかんないじゃん!」


 今の私は最高にハイって奴だ。今の自分なら、なんだって出来る気がしてるからね。私は反発するよ。


『無理ですよ。もうやって、試した事です』

「え? それってどういう事?」


 私の質問に機械的な声は答えてくれない。なんだって答えてくれると思ってたが、どうやら答えてくれないこともあるようだ。むむ……試したのなら、仕方ない。


「じゃあどうするの? 倒せないんじゃ、約束守れないわよ?」

『倒す必要はありません。空獣をこの世界から引きはがし、その際に奴の力を世界へと還元すれば、この世界は救われるでしょう」

「それってどうやる訳?」

『難しい事は必要ありません。ただその武器で空獣をぶった切るだけです』

「それは単純明快じゃん!!」


 今までずってやられっぱなしだった。けど、ここからは私達が反撃する番だ。私は空獣の攻撃を切りつつ、空間の裂け目に飛び込んだ。

次回は17時に予約投稿してます。

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