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「まだいたんだ」


 私は腕にくっついてるそれに向かってそう言った。ためしにこんなことも言ってみたり……


「ご相談なんですけど、これ譲ってくれません?」


 私は出来るだけ下手にそう言うよ。まあ、私はヘコヘコしてるけど、それがこの変な存在に伝わってるかはわからない。

 そもそもが、G-01がただ迫ってるだけの様にみえるかも? そうだとすると、これは脅しかもしれない。


「ぷーあー」


 うん、全く伝わってないね。そもそもが意思疎通が出来ると思ったのが間違いだったかもしれない。どうみても間抜けな顔してるからね。まあ葉っぱのお面なんだけど……


「ねえ、わかってる? ちょっとこれが欲しいの。私の仲間が諸事情で肉体なくしちゃってさ」


 諸事情で肉体をなくすって口に出していうとなんというパワーワードだろうと思った。けどしょうがない。事実だし。けどやっぱりこいつら……わかってない。いつの間にか腕にはもう一体増えてたが、三体とも同じ角度に首を折って「ぶあぷあ」言ってる。


「なんかイラッとする。うわっ!?」


 じっと見てると、一番手に近い奴の頭がぐるんと一回転した。そして次の奴、その次の奴に伝染してく。どっかのグループのダンスか! 何? 私煽られてる? それとも……遊びたいとか?


「ねえ、G-01の首って……」


 最後まで言おうとして止めた。だってそんなの自分で調べろとかいうでしょAIなら。なのでちょっと意識を潜らせる。私とG-01の体は繋がっている。私が足を動かせば、G-01も同じように足を動かすし、手だって同じ。頭だって私の向いた方向に勝手に向く。


 つまりは私とG-01はシンクロしてるのだ。だから逆に、G-01の首を無理矢理外部から想定以上に曲げられたら、それって私の首までもげるって事じゃないのかな? って思った。でもこう言うのにはあるとおもうんだ。そのシンクロのパーセントとかの設定とかさ。G-01は超高性能なロボットだ。ない筈がない。


「あった」


 目的の物を思い浮かべると、何かがそれを検索して引っ張ってきてくれる。その何――がAIなのか別のシステムなのかはわからないが、便利だからなんでもいいや。


「ふむ……」


 相も変わらずよくわからない文字である。これ読むの、とても脳細胞使うんだよね。


「もっと細かく検索できないかな?」


 そう思ったら、長々とした文字の中の一文が浮かび上がった。なるほど……そこって事か。表示されたページ全てを理解しようと思ったら、私の頭の脳細胞がいくつ死滅するかわかった物じゃない。まあこの数行くらいならなんとかなるでしょ。


「むむむ……」


 私は頑張ってそれを読み解いてなんとか頭だけをシンクロ率を下げる事に成功した。うん……多分成功したと思う。


(首がゴキって行きませんように)


 そう願いつつ、私はG-01の頭をグールグルと回した。すると変な存在達が一斉にドッ! と笑い出した。まるで合唱の様な笑い声はどこか幻想的で神秘的。けどいくつも木々から転げ落ちて行ってて、ちょっと心配になる。なにせ空に落ちて行ってるし……


(これって私のせいじゃないよね?)


 苦情は受け付けないよ。

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