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「問題はあるでしょ!?」

『あるでしょうか? この世界に、何か思い入れがありますか?』

「ないね!!」


 びっくりした。そういえば私、別にこの世界になんの思い入れもなかったや。なにせさっき目覚めたばかりだ。多分だけど、元居た世界じゃないだろうしね。元の世界? には勇者や魔王はいなかったわけだし。

 私はこの世界を何もしらない。なら、さっさと見捨てて逃げたってなんの痛みもない。この世界の事はこの世界の住人がどうにかすべきだよね。それが道理というか……普通の事。


 でも問題は空獣が規格外に強くて、この世界最強の筈の勇者と魔王が私よりも弱いことである。そして空獣は私よりも強い。これってこの世界が詰んでるって事を意味してるんだよね。


(けど、どの道一緒か……)


 だって魔王と勇者を圧倒できる私でさえも空獣にはいいように弄ばれてる感じだ。ここにいても私でもどうしようもない。かなりダメージを既に貰ってるし……これ以上はなんかヤバイ気がする。でも気になる事もあるよね。


「どうやって逃げる訳?」

『空獣の開けた穴を使います』

「それってあれ?」

『あれです』


 どうやらあれらしい。つまりは空獣本体がいる裂けめの向こう。それって大丈夫? ダメじゃない? 更に私を追って腕が飛来する。まるで世界をバターか何かの様になめらにか細切れにしていく空獣。本当にこのままじゃ世界が崩壊しそうだ。


「逃げるにしても空獣をどうにかしないと、裂けめに飛び込んだ瞬間に終わりじゃない?」

『そこは大丈夫です』

「どういう事?」

『行けばわかります』


 なにそのどっかのプロレスラーの様な言葉は。なんかどんどんと攻撃頻度が多くなってる。これはいつまでも避けてなんかいられないぞ。まあ裂けめに飛び込むだけなら簡単だ。なにせそこら中に裂けめが出来てる。けど……恐怖もあるが、やっぱりあの二人も気になる。確かに私はなんの関係もない。けど、一回助けたらなんか最後まで助けたくなるというか……勇者と魔王は無駄な攻撃を空獣に……というか空間の裂け目に繰り出してた。


 けどそれでも攻撃は私にきてるって事は、完全に空獣に認知されてないね。眼中にも入ってない。


「やめろ!!これ以上この世界を壊すなああああああああああああああああああああ!!」

「ここはいずれ我の物になるんだぞ! 勝手はゆるさん!!」


 そう言って二人は力を貯めて放出する……それはすさまじい光と闇となって裂け目へと吸い込まれていく。けど……それは二人が力を出し切っただけのようだった。


 二人はその場に膝をついて崩れ落ちる。彼らはこの世界で最強だ。きっとこれまで自分の全てをもってしてもどうしようもなかった事なんてないんじゃないだろうか? でもその二人でも、次々とこの世界が裂かれていくことを止めることはできなかった。


 どれだけの無力感がその胸に湧き出てるのか……私にはきっと想像もできない。相変わらず魔王と勇者を無視してこっちばっかりに来る空獣の腕を交わしてると、小さな声がきこえた。


「魔王……どうやら俺達は無力のようだ」

「ふざけるな……我が……我の力が通用しないなど……」

「だが事実のようだ。けど、まだ負けじゃない。お前だって負けるのは嫌だろう」

「それは……貴様、まさか!! 勇者の、我の宿敵としの矜持はないのか!!」

「そんな物よりも、俺には世界を救う役目がある!!」


 二人はそう言葉を交わしてる。ごめんね。全部聞こえてて。でも、ちょっとジーンとしてるよ。やっぱ、仲いいじゃん! 


「くっ、世界がなくなっては我が手中に収める場所がなくなるか……」

「そういう事だ」


 そう言って二人はこっちをみる。いや……なんか、その決意の顔やめてほしい。


「頼む! 俺に差し出せるものなら全てをやろう!! この世界を救ってくれ!!」

「ふん! 我が命令してやる! 協力はしてやる!! だからこの事態をなんとかしろ!!」


 おいおい、勇者と魔王が私にお願いしてきちゃったよ!!

次回は明日の朝にあげますね。

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