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(ふう……)


 なんとか力の感じを近づけれたと思う。時間がかかって実はこれで三回目だが、ようやくコツを掴んで来たと思う。魔王の過去に入った瞬間に、私は素早く力を馴染ませる。すると――


(うん? なんか頭にアイコンが見える)


 それはどこかで見たことがあるような再生、停止、更に早送り、巻き戻し、更にスキップとかの欄もあるみたい。スキップって……どこにスキップするのか謎である。だれがチャプターを打ったんだろう? 


 私はとりあえず停止を意識してみる。するとあら不思議、目の前の映像が止まった。それに驚く事も起きた。私はこの過去視において、魔王と同化してた。けどそれは当然だ。だってこれは魔王が見てた映像を私がハッキングしてるみたいな感じだ。

 だから魔王視点なのは当たり前。当たり前……の筈なんだけど……


(うそ……)


 なんと私は魔王の視点から離れてしまってる。魔王の記憶の中で魔王から離れる……まさかそんな事が出来てしまうなんて驚きだ。今、私はとても伸び伸びと動けるみたい。


(ひゃっほおおおおおおおおおおおおおおおおお!)


 自分の脚を動かして走り回れる!! これはこうなってしまってから初めての体験だ。なにせ私は普段は半身浴しながら、脚を動かしてるだけだからね。こうやって風を感じるって事ない。まあそもそもなんで記憶で風を感じるのかも謎だ。そこまで魔王が情報として記憶してるとか? 

 まあわからないことは考えても仕方ない。私は今、感動してるんだ。


(へいへーい、魔王この野郎)


 私は邪悪なゆりかごに寝かされてる魔王の頬をツンツンする。こうやって見ると赤ちゃんだが、確かに魔王の面影がある。今まで何回もこの映像を見てるが、赤ちゃんの魔王を直接見るなんて出来なかったから新たな発見だ。赤ちゃんだとは思ってたけど、こうやって見るとなかなかに可愛らしいかもしれない。


 まあこんなんでもパンチ一発で凶悪なケルベロスを沈めちゃうんだけどね。逆にあの光景を何度も見てなかったら、こんな赤ちゃんがそんなことをしてしまうなんて信じられなくなりそうだった。でも何度も見てるからね。こいつはこんななりをしてても魔王なのだ。


(まあ、時間が止まってるからどうしようもないでしょうけど)


 魔王の肌に触れると案外柔らかかった。モンスター共を粉砕しまくってるから、カッチカチかと思ってたが全然そんなことはない。


(まあこんな事をやっててもしょうがないか)


 私はようやく目的を果たせる。そう魔王の出生の秘密を知るという目的を。


(やるよ私は……ん? いやいや私の目的はアビスの力を操る事だったか)


 ここまで出てきた事で、私はかなりアビスの力に干渉できるようになってるんじゃないだろうか? けどここまで来たら、魔王の秘密なのか、そうじゃないのか所知りたい。別に秘密でもなんでもないのならいいのだ。それでも。けど重大な何かがあるのなら……楽しいんじゃん。それに私の好奇心が引かれてる。それだけでここから進む理由には十分だ。


(よし! 巻き戻し!)


 私は魔王の過去を巻き戻す。

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