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「はあはあはあ……」


 ついつい、没頭してしまった。あたりには数十個のアビスの目玉が転がってる。なんと、体から切り離した目玉は粗雑に扱っても塵芥になることは無かった。どういう原理なのだろうか? ちなみに切り離した目玉の情報はよく見えるようになってた。


『アビスの目玉――その目は深淵から全てを覗いている。その目玉は全てを見透かしている。だが奴らは何もできない。そして深淵から何かを訴えている』


 情報というか説明……いや、一応情報も載ってた。世界の深層度とか、ザルファー効率とか、神秘膜とか反射鏡とかね。目玉だけになって色々と見えてくるってどういうことなんだろう? かなりアビスを犠牲にして目玉を取り出したが、まだまだ成功率は一割にも満たない。どうやら想像以上に難しい。


 まあけどこれだけあれば良いような気もする。


「気もする……というか、どうするのこれ?」


 今更ながらにそう思った。なんか引き抜くのが面白くてこれだけ取り出したが、これをどうしたら良いのか? 多分だけど、勇者と魔王はこの目玉で石にされたと思われる。ならその解除方法もこの目にはきっとある。でもそれをどうやってやるのかは全くわからない。


「とりあえず残りのアビスは邪魔だね」

 

 けどだからって全部に拳をたたき込むのは面倒だ。どうにかしたいけど、今の私にはこのゴミを片付ける手段がない。


「何かやれないわけ?」


 私はそう言いながら、アビスの目玉をこんこんたたく。ちゃんと加減してるから割れるなんて事は無い。目だけで私の顔くらいある。顔はロボットの方の顔だ。別段大きい割には軽くて、片手で持てる。凄く透き通ってるから、ロボットの顔が映ってる。

 

「うん?」


 なんだろう。見てると、そのロボットの顔が、歪んでいく。そして映ったのみ一人の美少女の顔だ。


「だれ? ……もしかして……」


 私は自分の手を頬に当ててみる。すると、その瞳に映った存在も手を頬に当てる。それで確信に変わった。アビスの目玉の奥に映った美少女……それは――


「私……」


 凄く整った顔をしてる。まるで作り物めいてる感じだ。いや、もしかしたら実際に、作られた存在なのかもしれない。そもそもAIが変な名称いってたし……私とこのロボットG-01は共に作られた存在としてもおかしくない。ロボットはロボットだから作られた物なのは当然だ。

 けど……まさか、自分自身もそうなのかも……と思うとは。いや、ただ美少女過ぎるからって理由だけどさ。まあけど美少女なのは素直に嬉しい。てかなんでロボットのなかに居る私が見えてるのか? 


 でもきっと、これが深淵にいるアビスの目の力……なんだろう。


「役に立たねえ」


 私は素直な感想を漏らした。

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