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「はあ、とてもたのしいですけど、勇者様もお仲間の方たちが気がかりではないですか? 他の方々も交えて、夕食を開きたいと思っております。一度この場は解散して、再び準備が出来ればお呼びしたいと思っておりますが、どうでしょう?」


 ペニーニャイアンがそんな提案をしてくる。まさか彼女からそんな提案が有るとは……一応ちゃんと俺や賞金稼ぎの連中もお客と思ってたのか……ただの付添とかってだけで、配慮なんてのは一切しないのかと思ってた。だってこういうお偉い人達はたくさんの従者を引き連れるのは常だろう。

 だからそんな従者達にまで気を使う……なんて事は普通はないんじゃないだろうか? 従者ではないからだろうか? メイドも実際彼女たらはアズバインバカラの人達であって、ローワイヤさんの従者ではないし。


「自分はありがたいと思いますが」


 そう言ってチラッとローワイヤさんを見る。彼女は綺麗な姿勢で「ありがとうございます」と言った。それ自体に俺は違和感なんてないが……なんか二人は驚いてた。ペニーニャイアンとピローネは――


「あなた……」

「おもしろい」


――とかつぶやいてた。とりあえず俺達はこの場から一旦退室する事になった。


「えっと……そういえばこの入口」


 俺が最期に入ってぶっ壊した筈の黒い鏡の扉。一応そこにまだ有るように見えるが……


「どうしかました? なにも問題はありませんよ」


 そういうペニーニャイアン。話してる間に直したとか? 彼女が黒い鏡が壊れた事を把握してないはずはない。とりあえず復活してるのはそのとおり出し、今度は俺が先に手を突っ込んでみる。ちゃんとぬるっと入っていくな。とりあえず腕だけ差し込んだまま、俺はローワイヤさんを促した。


「どうぞ」

「ありがとう」


 エスコートされる事にまんざらでもなさそうにローワイヤさんが黒い鏡を通る。そして俺もそのままそこを通る。と今度は抵抗みたいなのはなかった。まあ今のは、別にエスコートなわけではない。いや、ある意味それもあったが、最期に俺だけ通ると、また嫌がらせされそうじゃん。だからある意味ローワイヤさんと一緒に通ってるアピールだ。その御蔭……かどうかは知らないが、今回はなにもなく通れた。


 通った先にはなんか警戒してる賞金稼ぎの皆さんとメイド達。賞金稼ぎの奴らなんて武器を構えてる。


「勇者の旦那と嬢ちゃんか」

「大方、いきなり謎の鏡が現れたから警戒してたって感じですか?」

「ああ……そうだよ。油断するなって言われてたからな」


 そう言う彼の視線の先にはお茶菓子があった。部屋も俺達がさっきまで居た所に比べると劣るけど、かなり広く豪華な客間だ。でもみんな、結構心労がきてそう。

 お茶菓子に手をつけてないのを見れば、どれだけ気を張ってたのか察せれる。そんなな中、いきなり変な鏡が現れたら、たしかに警戒するだろう。ついに動いたか? ――とか思うだろうし。

 

 でもみんな無事な様で何よりだ。

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