表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
294/1566

203

「ふふ、どちら様でしょう? 私は神託の三柱の一人ペニーニャイアンと申します」


 そう言って縦ロールの彼女は口元を隠してた扇子をおろして、微笑んだ。さっきまでの鋭い視線が嘘の様な柔和な笑み。男なら、そんな笑顔を向けられたら、一気に彼女が好きになってしまいそうな……そんな魔性の笑みだ。

 まあ俺はそんな安い男ではないが――


「ごご、ご丁寧にどうも……自分は……」


 ――めっちゃしどろごもった……いやだって、確かに俺は勇者だが、そういう事は……ね。

 するとローワイヤさんが俺の腕をとって、ペニーニャイアンへと向いた。


「ペニーニャイアン様、ご紹介します。此の方は勇者様ですわ。私を救い……そして……私の心を虜にした方です」

「まあまあ、そういうことなのですか。それはそれは、とても喜ばしい事ですね」


 なんか普通に受け入れてくれてる? てか、ローワイヤさんがとんでもない事を言ってるが、まあその設定で通すって聞いてるし、下手に否定はしないさ。


 今の所、ペニーニャイアンからは最初の睨み意外の敵意は見えない。でも油断は出来ない。とりあえず揺さぶりをかけてみようか。なんか今は喜んでる感じを出してるし、無視はしないだろう。


「えっと、すみません。さっきここを通ったときに、なにか壊しちゃったみたいなんです。本当にすみません!」

「え? そうなんですか勇者様?」


 俺はあの黒い鏡を壊したと素直にいってみた。あれは何かの間違いで、自分を締め出そうとしたわけではないですよね? ――的な内心を秘めてる。


「そうですか? 大丈夫ですよ。気にしないでください。治す事は簡単ですから」

 

 そう言ってペニーニャイアンは指につけてる指輪の一つにキスをした。すると光が沢山出てくる。そしてそれに「お願い」とというと、こっちに向かってきた。俺達はそれをよけた。すると俺達の後方で光の中へと消えていく。この部屋には扉はない。あの黒い鏡はこっちからは見えてない。だから多分、あの光は外側の黒い鏡を修復しに向かったんだろう。


 でもまさか……


(自分がこの建物を掌握してるのは隠さないんだな)


 それはつまり、さっきの所業って自分の仕業ですって向こうも暗に言ってる。どうやらやっぱり全然油断できそうにないな。


「ペーニャ、私が二人を連れてきたんたよ? 褒めて褒めて〰」

「よくやりましたねピローネ」

「えへへー」

「ローワイヤも、大変だったでしょう。改めて我らの同胞の巫女を助けくださってありがとうございます」


 こうやって見ると、とても常識的な人に見えるんだけどな……でもこの人がローワイヤさんを殺そうとしてたのは明らかなんだ。この女神のような微笑みの下には悪魔のような一面が確かにある。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ