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 不思議な形をした建物は実はどこが玄関なのか分かりづらい。今は目の前にこの屋敷の使用人達が出張って来てるから、多分このまま真っ直ぐに進めば扉があるんだろう……って思うが、実際キラキラと周囲を反射してるあの三角の建物には扉――的な物はみえないのだ。


 まあけど、先頭はピローネが買って出てるし、彼女に迷いはない。多分大丈夫なんだろう。


「皆さん、彼らは私の恩人です。くれぐれも失礼のないようにお願いしますよ」

「おほほ、まさかローワイヤ様からその様な言葉が聞ける日が来るなんて……」


 使用人の側を通る時、頭を下げてる彼らの一人にローワイヤさんがそういった。比較的恰幅がいい使用人が言うように、たしかにローワイヤさんがそんな事を言うなんて……


 泣くのもちょっとわかる。こうやって近くに来て見るとわかるけど、端っこの方のまだまだ若そうな使用人達はなんか結構カタカタと震えてる。中央近くにいる、さっきの老齢の執事や、ローワイヤさんが声をかけたこのメイドさんとかは、震えてなんてない。


 ここの使用人たちにとって、ローワイヤさんもピローネとかと大体一緒なのかもしれない。元々は……さ。だから実は怯えてる。長く努めてるんであろう此の人や、老齢の執事さんはそれを見せない術を身に着けてるんだろう。


「それと彼らを協会に引き渡すのは待ってください」

「なぜにですか? ローワイヤ様を襲うなど、神への反逆。すぐにでもアビスへと落とすべきだと思いますが」

「あなた達は理由をしる必要はありません。そうしなさい」

「わかりました」


 おお、今のは権力者っぽい感じだった。なにせ下の意見はバッサリだったからな。まあそれにコイツラが従うか……はわからないが。なにせあの仮面の奴らは絶対に消した方がコイツラの……いや、ペニーニャイアンの為だしな。だから多分、あの仮面の奴らにはもう会うことはないだろう。そんな確信がある。


 とりあえず一応仲間達には手を出すな――とローワイヤさんが釘をさしてくれたから、大丈夫――かな? どこまでローワイヤさんの影響力が残ってるのかは疑問だが。

 とりあえず賞金稼ぎの奴らや、こっちの女性陣には出された物には手を出さない事を徹底してもらお。何が盛られてるかわかった物じゃないからな。


 建物の前までいくと、何やらピローネが祈ってた。まさか祈らないと、玄関が現れないとか? そんな事を思ってたけど、どうやらそんな甘っちょろいことではなかった。


「天にまします我らが神よ……」


 そんな一文始まるお祈りをスラスラ口にするピローネ。幼女なのに、その姿は確かにちょっと高貴に見える。


 そしてそのお祈りが済むと、なんと三角だった建物の形が変わりだした。二等辺三角形みたいだったのが、長方形が斜めに倒れ欠けてる……みたいな形になった。そして穴がある。中に入ると、長い通路一本だけの廊下が見える。


(どうなってるんだ?)


 今見えてる感じだと、この建物内部がほぼ廊下になるぞ?

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