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「おい……あれは……何をしてるんだ? 何してるんだ!!」


 賞金稼ぎの一人が激高してそういってる。するとケラケラと笑ってピローネと呼ばれる幼女が言った。


「何って食事ですよ? ついでにお掃除でもありますね」

「あれは……人間なんだぞ?」

「あははは、あれはもう人間ではありませんよ。ただの餌です。新鮮なお肉があの子達は好きなんですよ」

「何を言ってるんだ……」


 うん、俺もそれをいいたい。この幼女が何を言ってるのかわからないぞ。いや言葉は理解できる。確かに今さっき死んだばかりの肉は新鮮だろう。いいところの店は、新鮮な肉ですよってよく言ってるしな。


(うんうん……でもそれ人間じゃねーから!!)


 思わず一人で心の中で突っ込んでしまった。嫌だって……異常だろ。


「私偉いでしょ?」

「何?」

「私、ちゃんと掃除もして、後片付けも出来るんだよ? いつも偉いって褒められるの」


 俺達は多分全員ゾクッとした寒気を感じたことだろう。だってこの幼女はこの行為に、悪意なんて物が一切ない。彼女にとっては、本当にただ汚れを総じて、ペットにその処理をさせただけなんだ。

 それをおかしな事だなんて一切思ってない。


「ねえ、わたし偉いよねローワイヤちゃん」

「ええ、そうね」


 ローワイヤさんは恐れおののいてる俺達とは違っていつもどおりにそう言って、そして彼女頭を撫でる。そうしてると、小屋から二体小さな砂獣がでてくる。口周りを汚く汚してる。勿論それはいま食べた人間の……


「もう、ピピもメメもしょうがないなぁ」


 そう言って幼女のピローネちゃんは白い布で二匹の口周りを吹いた。はっきり言ってその布、そんなのに使っていいの? って品質だ。


 中央の地面で暮らしてる人たちが来てた物よりもよっぽど上等な代物なのはひとめ見たらわかる。それを砂獣の口元を拭うのに使ってる。そして吹いたらそのまま捨てるのかと思ったら食べさせてた。なるほど……確かにあれならゴミにもならないな。


(いやいや、あの上等そうな布をたった一回で食べさせる事自体どうなんだって事だけどな……)


 きっと此の下の住人たちなら、ボロボロになるまで使うぞ。それを……まあ砂獣に使ったものなんて……ってことなら、気持ち的にわからなくもないけど……でも多分そういうことじゃない。

 基本汚れたら捨てるんじゃないか? なんかそんな感じがする。洗うなんて行為するのか?


「ごめんなさい。皆さん、早く屋敷に入りたいよね。ついてきてください」

「いいの?」

「何が? だってローワイヤちゃんが帰ってきたんだもん、皆喜んでくれるはずだよ!」


 無邪気……さっきの異常性が嘘の様に、この場面だけ見れば、ただの純粋な幼女に見える。本当に心底恐ろしいと思いながらも、俺達はピローネちゃんの案内に従って屋敷を目指す。

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