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 俺達はさっきの場所から少し離れた上に向かって伸びてる道の上で立ち止まる。実際馬車なんかが立ち止まったら邪魔過ぎる道幅だが、文句を言うものはいない。

 なにせこの道、つながってる所が地上しかないからな。地上の事を忌み嫌ってる……というかバカにしてる中央の人間がここを利用するわけないのだ。


「そのえっと……ペニーニャイアンって人はローワイヤさんが頼れると思ってた人ってことですよね?」

「ええ、ラパン様も私の話を聞いて、彼女に連絡を取っていたはずです」

「なるほど、驚くほどに刺客が早く来たのも、そういうことなら、納得ですね」


 むしろそれなら中央に付く前に襲った方が確実だったというか、砂獣のせいに出来てよかったんじゃないかって気がするんだけど……だってわざわざ中央に招き入れる必要なんてないんでは? 


(いや、逆に考えれば、招き入れる必要があった……とか?)


 実は中央内部での出来事の方が対処しやすいって判断もあり得る。なにせここは権力が渦巻いて凄まじい魔境とかしてるのは周知の事実。権力さえあればなんでもできそうだし。だからこそ、この中央という地に招き入れたのかもしれない。


「――で、なんでそのペニーニャイアンって人はローワイヤさんを消そうとしてるんだ? 心当たりは?」


 俺は馬車の中のローワイヤさんにそう語りかける。けど彼女はすぐに「わかりません……」といった。その声はちょっとふるえていた。かなりショックが大きかったらしい。

 俺にはローワイヤさんとペニーニャイアンとかいう人の関係性はわからない。けど、かなり信頼してたんだろうとは思う。だってこの中央で頼ろうと……頼れると思った人なんだから。

 でも実は、その人に裏切られていた。そして命までも狙われていた。


「えっと……その者たちが嘘をついてるって事は……」


 確かにそれは気になるかもしれない。魔法とか別に目に見える訳でもないし。勿論派手に見える魔法だってあるが、今回使ったのはそんな魔法ではない。実際効いてるかとかわかるのは自分だけだ。

 そうなると、ローワイヤさん的にはこの仮面の奴らが嘘をついてるかもって考えになるのもわかる。でも残念だけど……


「それはないです。彼らと自分の力の差的に、彼らには対抗する術がないですから」

「そうですか」


 俺の確信的なその言葉にローワイヤさんが残念そうにそういう。彼女はどうやら俺の事は疑わないらしい。


「このまま行くのはまずいみたいてすけど……どうしますか? 他に行けるような場所は? そもそもローワイヤさんの家はどうなんですか?」


 だってローワイヤさんは元々が中央に住んでた訳で……巫女という立場なら、それなりに立派な家があったはず。まあでもそれは事前の話し合いで除外してたんだよね。


 そういう所に帰るの危ないというか……既に他人の物に成ってるかもしれないとか……でもローワイヤさんがアズバインバカラに居た期間なんて短いんだけどね。一応覗いて見るだけでもしたほうがいいかもしれない。


「巫女を支援してる協会の重鎮がいるんですけど……私とペニーニャイアンはその人が同じです」

「それはつまり……既にローワイヤさんの家も向こうに押さえられるて可能性が高いと……」


 返事は帰ってこないが、その反応自体が返答だろう。


「どうします、勇者の旦那」


 賞金稼ぎの皆も不安そうだ。まあそうだよね。食料はさっき配ったしね。まあお金はある。だから別に宿に泊まるとか出来ないわけじゃない。でもいきなり、予定外の事になるとは……いや、勿論最悪は想定してるけど……


「このまま予定通り向かいましょう」

「勇者様!?」

「旦那! まじですか?」


 俺の提案に皆が驚愕する。まあそうだろう。なにせこの仮面の刺客を送ってきた奴の所に行くって言ってるんだ。いくら俺が強いとわかってても、不安にはなるだろう。


 でもそれは考えようだ。さっさと敵の懐に潜り込む。それはかなり有意義な事かもしれない。てかたぶんだけど、この中央にいる限り、そのペニーニャイアンとかいう人の妨害は入り続けるだろう。

 ならこちらから向かうっていうのはなかなか良いのでは? 俺は馬車の中にいるローワイヤさんを見る為に扉を開けて、その瞳を見つめていった。


「信じてください」

「信じましょう」


 早い! なので僕達はそのまま敵陣であるペニーニャイアンのいる屋敷へと向かうことにした。

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