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「そんな……バカな……」


 そんな仮面の声が聞こえる。けど反応してる余裕はない。俺は大粒の汗を垂らしながら、最後の仕上げを行ってるからだ。再構築を進めていく中で、痛みは段々と引いていった。多分そういう成分よりも、正常な部分が多くなったからだと思う。せど、それまでは渦巻く憎悪や体を構築する痛みが伝わってきてやばかった。この体が痛みとかに強くなかったら心がやられてたかもしれない。

 長年勇者をやってきたこともプラスに働いたと見るべきだろう。その経験がなかったら、たぶん無理だった。光に包まれてた変質してた一人が元の姿に戻る。光が剥がれる夜に空中に溶けて消えていく。それはこの仮面の奴らの針から注入された変な成分とそして変質してた彼自身の体だったものだ。仮面の奴らの言うように、本当なら、彼を救うすべはなかった。はっきり言ってこれをなせたのは自分自身の膨大な力のおかげだ。


 だがこの世界では自然に力を蓄えるって事が難しい。一応練習はしてるが、未だ実現はしてない。だから補給はジゼロワン殿に頼るしか無いわけだが、今は別行動中。今回の目的の為に、ローワイヤさんとか守るのに、どれだけ必要か……なんか一人戻した時点で、ちょっと心配になる。でも一人をしたんだ。他の人達を見捨てるなんて選択肢は取れない。なにせ俺は勇者だからだ。


 とりあえずもとに戻った人は裸だから、適当な布を賞金稼ぎの連中にかけてもらう。そうして、俺は一気に残りの人達に取り掛かる。その時思った。なんか恨みと憎しみと、そしてローワイヤさんへの殺意しかなかったその瞳になにかすがるような目とその奥に希望が見えるような……流石にそれなりに時間を掛けてたから変質した奴らも意識が戻ってた奴らも居たわけだが、でもだからって俺の拘束を解ける奴はいない。


「任せろ」


 俺はその瞳にそう言って、再び魔法陣を展開する。そして今度は一気に全員だ。暴れだしてるが、何か違和感があるのだろう。俺はさっきの経験を元に、さっきよりも効率よくやっていく事を意識する。けど流石に数人一気にやるのは更に大変だった。元の人に戻さないと行けないのが意外とね……それに実を言うと、この人達色々と悪いところがあった。そこまで戻したら……ね。だから健康優良児に作り変えたわけだが……いっぺんに複数人をやると、その意識が混濁しそうになる。体の構築を取り違ってないか……実は心配だ。女性に無いものがあったり……男性にあるものがなかったり……しないかだろうか? でもここでおおっぴらに確認はできない。自分を信じよう。


「なんだ……何を……した? 貴様は一体何者だ!!」


 驚愕に包まれてる仮面の奴ら。いままで奴らは俺の事をただのローワイヤさんの護衛くらいにしか思ってなかったし、流石にこんな事が出来るとは思ってなかったんだろう。ただ想像よりも腕が立つ護衛くらいだったと思う。でも今俺がやったことはたぶん教会内でも出来るやつなんていない。だから誰にもできない事をやってのけた事で、畏怖が芽生えてる。そんな奴らに俺は言ってやる。


「俺は勇者だ。弱き者たちを救い、世界も救う……そんな存在だ」


 俺はそう宣言した。

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