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 中央『ドリアランド』はこれまでの街とは比べ物にならない規模であり、そして比べ物にならないくらいの壁がそびえ立っていた。てかある程度近づくと、壁が邪魔して空をみても窮屈感を感じるレベルだ。しかもこれまで見てきた壁と違ってなんかただの岩ではない。黒光りしてるし……まさか砂獣の外皮的なものを使ってる? 近づくに連れて壁の圧迫感がすごい。壁の大きさに対して、入り口がとても小さく見える。てか門は開いてるけど……奥が見えないんですけど……


 まあただ高いだけでは途中で折れたり、倒れたりするかもだしな。高い壁にはそれだけの厚さが必要……というのは正しい。この中で中央に来たことがあるのはローワイヤさんだけだから、俺達はその光景に圧倒されながら、門の前まできた。こんな世界だから、門の前は空いてる。空いてるというか、俺達だけなんだが。


「貴様らはなんだ? どこの者だ!」


 開いた門の前に立ちふさがった兵士たちもフルプレートアーマーを着てた。暑いだろうに……でもこれが中央って気がする。アズバインバカラとかでは末端の兵士とかまでフルプレートアーマーを着てはいない。そういうのを着れるのは、やっぱり軍の中でも偉いやつだ。でも流石にこうやって門の担当になんかなるやつは偉くはないはずだ。そんなやつまでこんなふうにフルプレートアーマーを着てるって――


(侮れないな。さすが中央)


 ――それになんか実用性とかよりも、なかなかに装飾された剣とか帯刀してるし、お金のかけ方が違うのがわかる。こういう華美なものってアズバインバカラでは宮殿の中でしか見えなかったし、飾られるてる武器とかにしかこんな装飾された武器はなかった。でもそれを普通に使ってるというね……


「我々は――」

「頭が高いですよ。私が『神託の巫女 ローワイヤ・ヤンナヤイナ』と知っての狼藉ですか?」

「皇子様!? いや、ですが我々にはそれを確かめるすべがですね……」


 なんか横柄だった態度が神託の巫女というワードで弱まった。けど向こうも困惑してる。多分彼らはローワイヤさんの顔まではしらないんだろう。やんごとなき方みたいだし、普段は顔とか隠しててもなにもおかしくないしね。それはしょうがない。でもとなるとどうするのか……とりあえずラパンさんから預かってる書状を見せるか。


「私は先日、外で砂獣に襲われました。なので、中の方で確認しても死亡してることになってるかもしれません」

「えーと、それでは……どうすることも……」

「大丈夫です。私の身元はアズバインバカラの領主が保証してくれてます。勇者様」

「ああ、これをどうぞ」


 ここで使うんだな。俺は預かってた書状を兵士たちに見せる。渡したりはしない。俺はくるくるとなってた紙を両手で広げて内容を見せるだけだ。なんか知らんが、そうするべきらしい。信用できる相手にしか、大切な書類は渡しては行けないと念を押された。どこで改竄されるかわからないからだ。誰も信用できない場所……それが中央らしい。なんて嫌な場所だって思った。

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