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「後は逃げてる私達に砂獣が……そのリスクは皆わかってました。でも……逃げないと死ぬしかなくて……だから……」


 ズンジャイサンバに残っても彼女達の様な市民には地獄しかなくて、希望はもう別の街に託すしかなかった。例え街の外も地獄だとわかってたとしても、ズンジャイサンバの市民にはその選択肢しかなくて……そして案の定地獄は襲いかかってきた。でも……俺がジゼロワン殿から聞いた限り、その襲いかかってきた地獄は自作自演らしい。でも流石にそれは言えないな。あまりにも辛いだろう。彼女がたまたま助かったのはジゼロワン殿が気まぐれで助けたからだ。

 沢山の人がズンジャイサンバの上の奴らの思わくによって造られた砂獣によって殺された。それはあまりにも……


「ありがとう話してくれて。この件は、こちらに任せてもらえないだろうか? 何が出来るかは正直わからない。なにせズンジャイサンバは遠いからね。互いの街の事は相互不干渉が決まりだ。だが……問題を提起する事は出来るだろう」

「ありがとう……ございます。それで充分です……それで……」

「ああ、出来るだけやってみよう。君以外の人達も救えれば良いが、流石にそれは難しいかもしれない。家族とかは?」


 そのラパンさんの言葉にフェアは首を振った。砂獣に殺されたのか……それとももっと前からいないのかはわからないが……それ以上彼女は言おうとしない。それならこっちから聞くことはしないでおこう。そういうものだ。


「君はしばらくここで暮らすといい。その内仕事とかを斡旋できればと思うが……ズンジャイサンバに帰りたいとかは……」

「嫌です! あんな所に戻りたくない! ここに……いえ、この街に居させてください!」


 元の街に帰る……とかのワードを出した途端にフェアは取り乱した。まあ当然と言えば当然だ。今の話しを聞いて、帰りたいとは言わないとは分かってた。確かに彼女はアズバインバカラか、それこそジャルバジャルで新生活を始めるのがいいだろう。どっちかというとジャルバジャルの方が良さそうと言うか、受け入れやすいとは思う。なにせあそこは今復興中だ。人はどれだけ居てもいいだろう。この世界、過酷だからこそ、出生率とかは高いが、住める範囲は限られてるからな。人が街から溢れる程にいるって訳じゃない。


 てか……多分そこら辺は闇だと思う。いや、生まれる数よりも減っていく数が同じか、後者の方が多いのかも知れ無いが……多く成りすぎると、それこそ間引きとかしてそうというか。なにせ自給率もそこまで高い訳ない。なにせ周囲は大半が砂漠だし、アズバインバカラはまだがっちりとした岩盤の上にあるが、だからこそ、何か作物を育てられるかと言ったら……な。一応それでも育てられる作物を育ててはいる。でもそれも街の内部でだ。

 食料に余裕があるとは思えない。食料がないと、当然だけど人は増えないし、増やせない。人数に余裕がないと、別の所に移すって事も実は難しい。だからここも結構大変な状況だ。まあけどズンジャイサンバとかみたいに、負の方に大変な訳じゃないのは救いか。一応ジャルバジャルを取り戻したのは希望になってるし。実際、まかなえて内容に見える食料をまかなえてるのって都市核の力とか影響有りそうだし。

 その都市核の力が戻ってきたからジャルバジャルは人さえ送れば街として機能していくんじゃないだろうか? だからこそ、フェアはそこに行くのが一番だ。きっとそこなら希望だって見つけられるんじゃないだろうか? 違う環境って奴は新しい景色を写してくれる。俺は旅をしてきたから、それを知ってる。

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