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 「かなり私達は色々とたまってました。でも、アインラザードを奪還してくれるのならって我慢してたんです。彼等が散々ズンジャイサンバをメチャクチャにして、そして派手なパレードと共に、出立していったとき、皆心から安心した事でしょう。勿論、これでアインラザードが取り戻せる……とかじゃなく、ようやく行ってくれたって感じでした」


 数日でどれだけの事をやったらそこまで嫌われるんだ? と俺は素直に思った。実際集団が居たら、その中の一人、二人はまあ碌でもない奴がいてもおかしくないと思う。けど……フェアの話を聞いてる限り……どう考えても一人や二人の話じゃないよな? 一応今ここにも協会関係者がいるが、彼女はそこまで破綻してるようには見えないが……いや、流石に命の危機だったんだから、自重してるのかもしれない。


「でも結果は……皆さん知っての通り……なのかわからないですけど……」


 そう言ってフェアはこっちを見てくる。だけど、俺はそこまで詳しく知ってるわけではない。なので二人でラパンさんの方を見た。彼なら多分詳しく知ってる筈。確実に俺よりは詳しいはずだ。なにせその時は別に遠くの街の事だし……としかおもって無かったからな。とりあえず俺が知ってるのは負けたって事だけだ。奪還は失敗した。最悪の形で……


「奪還は失敗したと聞いてる」


 俺はそれだけをいった。そしてそれを肯定するようにフェアは頷く。うん、まあそこは間違ってる訳はないだろう。実は奪還成功してました! って成ったら、この子が……というかズンジャイサンバまでもが悲惨なことになってるわけ無いんだから。そこに違いは無いはずだ。


「そうですね。でもどうして失敗したか……しってますか?」

「それは……砂獣が強大だったんだろう。自分たちもジャルバジャルを奪還したから知ってる。その時出てきた砂獣は通常の砂獣よりも強力だった。都市核を取り込んでたからだ」

「そうなんですか……確かにそれもあるとは思います。勇者様程の人が言うのなら、確かだと思いますし」


 なんか後半は顔をちょっと赤くしながらフェアは言ってた。ヤバいな……俺への好感度がマックスを通り越してそうだ。そこまで行くと困るんだが……でも今はそんな感情はとりあえずスルーしておく。今の言い方だと、まるで砂獣の強さを見誤ったからって事じゃないような言い方だった。他に大敗する理由ってあるか? ちゃんと数を用意して、それこそ通常よりも砂獣が強力だというのはラパンさんから伝えられていたのではないのか? 

 それでも奪還できたから、アインラザードの奪還作戦は進められたはずだ。充分(と思われる)戦力を用意して行ったのに全滅ってことじゃない?


「私達ズンジャイサンバの人達の間では……その……まことしやかなんですけど……中央からの援軍の人達が逃げ出した……と言われてました」

「なに? それは――って君に聞いても意味ないか」

「済みません。でも確かにそんな噂が広まっていたのは確かです。あれだけ傍若無人に振る舞ってたのに、戦場から逃げ出したってなって、街の人達は怒ってました」

「それは……そうなるだろうね」


 なにせズンジャイサンバの人達が中央の奴らの態度に目をつむってたのは、アインラザード奪還という目的の希望だったからだ。それを裏切ったとなったらね……まあ本当かどうかはわからないんだけど……


「軍はズンジャイサンバに帰ってこなかったの? 一人も?」

「いえ、何人かは生き残りはいたようです。だから多分その人達から広まったんだと思います……」


 流石に幾ら強力な砂獣と行っても、全てをくまなく殺すなんて事はしないよな。何人かは生き残る物だろう。


「その中に、中央の奴らは……」

「居なかったんじゃないでしょうか? 街の噂でも中央の人達は直接中央に帰ったって……」


 まあ大口叩いて振る舞ってた手前、ズンジャイサンバに帰れないってのはわかる。最悪だけど。でもまだズンジャイサンバがヤバい事になってるって段階までは行ってない。まだ……きっと何かある。

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