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「むむむ……」


 困ったな……いや、治療は問題なく出来る。それは間違いない。でも問題はどこまで治すか……だ。彼女は左腕だけを残して他はなくなってる。そしてスキャンした結果内蔵もかなりのダメージを受けてるし、内部の骨もけっこうボロボロだ。


 元の世界では仲間に任せていた回復だが……こうやって自分が使える側になると、かなり繊細な作業だとわかる。まあ今の自分が使ってる力と前仲間がつかってた魔法は完全に同じではないし、ここまで複雑ではなかったかもしれないが……呪文を唱えると、勝手に光が回復させてくれてたみたいな感じだったしな。

 今の自分は細かく把握できる代わりに、色々と繊細になってるってのはある。初めて回復を使ったが、とても神経を使う。でも上手く力を流せば、傷口が回復するのはわかる。そして、とても僅かな力で回復できると言う事もわかった。

 元の世界では回復魔法はとても効率が悪い物だったが……今の自分にはそうでもないらしい。それはただ単に、力の総量が違うからなのか、それとも細かく出来る様になったからか。


(これだけの力で普通に回復できるのなら……無くなった部位も力をもっと注ぎ込めばもしかしたら……戻せるんでは?)


 そういう予想が出来る。だが……それはどうなんだ? 今の感触的に、多分力を多く使えば、部位損傷も回復できそうだ。そのくらいの手応えがある。でもそれをやってしまって良いのか……その懸念が躊躇わせる。なにせ普通は多分そんな事は出来ない。

 しかもこの世界の人達は頑丈でちぎれても部位が残ってれば無理矢理くっつけとけば、治ってる程の再生力の持ち主達だ。ちぎれたところがあればどうにか出来るが、無かったらどうにも出来ない。勿論、ジゼロワン殿は足や手までもってきてない。


 足や手があれば、普段よりも早く回復したっていう感じに演出できたけど、腕を生やすって引かれるのでは? 


「うう……」


 彼女は苦しそうだ。一応内側はもう治したから死の心配はないとは思う。この世界の人達は腕や脚がちぎれても死ぬことはない。それに出血も既に止まってる。これ以上やるのは過剰なのか……だけどきっとこの人の考えたら……ちゃんと全部治したほうがきっといいだろう。左手だけよりも、五体満足のほうが間違いなくいい。


「なんとか山場は超えたみたいだな」

「いえ、まだです」


 おやっさんにそういう自分は気を抜かない。力を巡らせて、なくなってる部位に力を集中する。光が集って、その傷口がぶくぶくとなりだした。グロいが、それはきっと再生の前兆だろう。自分は更に力を与え、そして無くなってた部位を生やした。


「そんな……まさか……」

「凄い……」


 そんなおやっさんはと助手の言葉。かなりの衝撃を受けてるみたいだが、これでいい。なにせ自分は勇者なんだから。

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