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「またですか?」


 どっかに行っていたと思ってたジゼロワン殿が戻ってきたと思ったら、再び人を運んで来た。しかも今度は重症だ。「またですか?」とか言ったが、その状態を見た瞬間に、自分は動いて人に報せにいってた。自分は賞金稼ぎの組合に居たから、そこの医務室に運ぶ。本当は宮殿の方がいいんだが、ここも荒くれ者達が沢山居る関係上、それなりに腕が立つ人がいる。


「たく、なんじゃこれは!!」


 そういうのはここの荒くれ者達を一身に診療してるおやっさんである。深く皺が刻まれた顔に、細くしわしわの手足だが、その声は大きくて、そして肝っ玉も大きい。ここの荒くれ者達もおやっさんには頭が上がらない。そんなおやっさんの所に運ぶ。見た目的に結構上等そうな女の人だ。女性をここに居れるのはどうかと思う……が、そんな事を言ってる場合じゃない。


「このままじゃ、どういった状態かわからん。服を剥ぎ取るぞ」

「はい! うえええ!?」


 勢い込んで返事したが、頭に飲み込むととんでもない。いいの? とか口に出そうとしたが、おやっさんの「さっさとやれ!」という怒号に、自分もおやっさんの弟子である青年も仕方なく彼女の服を……弟子の彼はどうやら女性に不慣れなようなので、自分が力任せに彼女の服を破く。


「ん?」


 なんだろう? 変な感じがした。さっき弟子の彼は鋭利なナイフで服を切ろうとしてた。でも刃自体が通らなくて苦戦してたのに、自分がやったらほぼ抵抗なんてなかった。確かに自分は存在が更新されて、以前よりも格段にその身に力を宿してる。だからその気になれば、服を造作も無く破るなんて簡単だ。でもそうじゃない。

 だって普段からそんな力を解放してる訳ではない。そんな事をしてたら、普通に過ごすなんて出来ないからだ。だから今はそんな力を使ってなんて無い。なのに殆ど抵抗なんてなく服が破れた。

 弟子の人は彼女の肢体に一瞬目を離しておやっさんに「目を離すなバカ者!!」とか怒られてたが、自分はただ驚きで見てた。


(変な感じがしたな……)


 いくら何でも抵抗がなくて、でも一瞬だけ、何か化引っかかった感じがした。自分は服の切れ端を拾って裏返しにしてみる。何か模様が見えるが……判断はできないな。


「これはどういう事だ? おい!」


 なんか呼ばれたのでおやっさんの方を見る。そうするとようやく彼女の肢体が目に入る。うん……かなりグロいな。確かに残ってる所は綺麗だと思うが、それよりも無くなってる部分に目が行く。


「これはどうなってる? これだけの傷が止血してあって、既に肉が再生し始めてるぞ」


 おやっさんは難しい顔をしてる。確かに彼女の傷は酷い。酷いが酷いとわかる位見えてる。残ってる部位は左手だけだ。普通は多量の出血をしてるものだろう。


「これなら、血を与えればどうにかなるか?」

「し、師匠、口の周りにも血の跡があります!」

「ちっ、内部もやられてるのか……」


 そう言っておやっさんは女性の胸やお腹の辺りをおしていく。するとゴポッと口から血だまりが……どうやら血の出血とかはジゼロワン殿が止めてくれたみたいだが、内部まではやってない? 


「回復魔法を使いましょう」

「なんだそれは?」


 そういえば、この世界の魔法はかなり限定的だったか。内部にまで及んだ傷はどうしようもなかったのかも? とりあえずここは彼女を助ける為にも内部の傷をどうにかしないといけない。


「魔法ですよ。奇跡の力の様なものです」

「なるほど、確かにここで腹をかっさばく訳にもいかないからな。なにか必要なものはあるか?」

「血は補充しててください」


 そういえば、血はちゃんとこの女性にあったものを使うんだろうか? 実際元の世界でもそんなの気にしてなかったが、どうやら俺達の治療は魔法でなんでもアリだったからな。色々な不都合はどうやら魔法でどうにかしてたらしい。そう言う事をジゼロワン殿からおそわった。この世界はどうなんだろうか? そう思ってるとさっき彼女の口から出てきた血をおやっさんが指でとって自身の口にいれていた。


 感染症……いや野暮な事はいうまい。なにせこの世界の人達は頑丈だ。あのくらいどうって事無いんだろう。そういう風に世界とは出来ている。おやっさんは舐め取る事で、患者に合う血がわかるらしい。輸血の準備をして、自分は彼女に対して魔法を使った。

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