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「わかってますかお嬢様! だからそこは――」

「私はお嬢様じゃないよ! ネナンだよ!」

「貴女はもうただの孤児ではないのです。そしてとても大きな運命を背負ってしまった。なら、それに見合う地位と責任がのしかかるのです。その為にも、貴女はもうお嬢様であらねば成らないのです!」


 そう言うのは長身で波打った様な髪があらぶってる細身の女性だ。ふわふわしてるんじゃないよ? なんか波の様になってる髪がカチコチに固まって横に流れてるのだ。いやいや、それ毎日やってるの? 絶対に大変でしょ? 私の髪もかなり長いけどさ、ここだから何もやる必要なんて別にない。一日一回、蓋が降ってきて、私の体を自動洗浄してくれるからね。


 最初ははっきり言って慣れなかった。だってやわかいブラシがいくつか出てきてそれが全身をまさぐるんだもん。くすぐったいったらない。でも今はもう慣れた。寧ろ気持ちいいくらいだ。髪は洗ったら、ブラッシングして乾かしてくれるしね。まあ先の方は下半身が浸かってる液に沈むんだけどね。


 私はほぼ、体のケアなんてしてないのが現状だ。でもね……それでも水を含んだ長い髪って重いよ? ほぼ全自動化してる私で長い髪って鬱陶しいとか思ってるのに、あの人……ヤバいな。いや、言ってる事は正しいと思うけどね。


 長身スレンダーな彼女は残念な事にあまり胸はない。その為か、結構薄い布を胸の所には重ねてる。この世界、砂漠で暑いから大体薄着で、こういう宮殿に居る女性はだいたい透け感がある布巻いてる訳だけど、彼女は特にガードを堅く為てる感じがある。


 暑いそうだけど、それを我慢してでも隠したい物があるんだろう。突っ込まないであげよう。


「そんなのわかんないよ!」

「わかんないよじゃありません。わかりません! ――です!!」


 ネナンちゃんは抗議の言葉を言ってる。まあ無理もないと思う。だってネナンちゃんは今まで学なんて修めてない野生児だよ? いや、それは言い過ぎだけど、基本この世界に学校って奴はない。学ぶと言う事は親が知ってる事を子に伝える程度の事だ。それも知識だけど、とても偏ってるし、勉強ってやつではない。この世界で勉強を出来るのは選ばれた……まあお金持ちだけなのだ。


 だからいきなり机に座って何やら難しい事を話されてもネナンちゃんがちんぷんかんぷんなのはしょうが無い。あの人もきっと、多分ネナンちゃんみたいな子に教えるなんてしたことないんでは? だって子供と言っても、下地が違うと思うんだ。


 そのネナンちゃんの様な一般市民と、そもそもが勉強って奴に触れられる子供とはさ。後者にはきっと学ぶ姿勢って奴が自然と仕込まれてるんだとおもう。なにせ金持ちだしね。でもネナンちゃんや、一般市民は学ぶって事は仕事のお手伝いする事みたいな感じだ。

 座って何やら変な意味不明な話しを聞く事じゃない。


「私は、もっと自分の力の事を知りたいの!」

「待ちなさい!」


 そう言ってネナンちゃんは勢いよく飛び出していった。今まで着てた様な庶民の服ではなく、豪華な物を着てるけど、彼女はまだただのネナンちゃんのままだ。当たり前だけど。

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