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 朝日が昇る。私はとても気持ちよく寝てた。けど何やらゆさゆさとされる対外的な力に揺られる感覚があった。窓か何かから漏れる光が私の瞼を刺激もしてくる。


「うーん」


 私はモゾモゾと丸まって起きる事を拒否する。だってこんなに気持ちいいんだよ? 起きるなんて勿体ないよ。今までにない位に私の体は気持ちよさに包まれてる。こんな中起きるなんて不可能に近い。けど何やら私を揺さぶる行為は激しさを増していく。


「うう~ん」


 私は覆い被さってる何かを蹴り上げて腕を大きくふるった。むにっとした感触。でもなんかそれはヒンヤリしてて気持ちいい。


「うへへ~」


 私はそれを抱いて再び深い眠りにつこうとする。けど抱いてるそれがなんだか、やけに冷たくなってくような……最初は気持ちよかったけど、なんかめっちゃ冷たい。手足がなんか痛い。お父さんとお母さんに昨夜の料理を振る舞う夢を観てたのに、いつの間にかその料理が岩の様になってて食べる事が出来ない。私達は体を押さえながら震える。


「はっ!?」


 私は思わず目を覚ました。そして目の前には何やらお空よりも濃い色をした何か。


「ぽに!」

「ぽにちゃん?」


 どうやらそれはポニちゃんらしい。普段の姿と違いすぎてよくわからなかった。てか顔のパーツが浮かび上がる様に出てくるの怖いから止めた方が良いよ。


「ポニちゃん冷たいよ」

「ポニ」


 私の言葉に応えてくれてポニちゃんは適温になる。するとぐにゃぐにゃと体を動かして私の腕の中から抜け出してしまった。てか、なんでぽにちゃんが居るんだろう? 私は昨日一人でこのベッドに入った筈だ。本当は不安だった。何せ、いきなりこんな豪華なところで寝るなんて……ね。


 不安で不安で……でもこのベッドに入ったらいつの間にか意識がなくなってた。恐ろしい……なんて恐ろしい気持ちよさだったのだろう。私は手で手触りのいい布団をさわさわする。協会でも家でも大きな干し草の上で寝てた。はっきり言って地面よりはマシ……くらいでしかない。

 でもこれは……ふかふかだ。私には何で出来てるのかなんてわからない。


「もったいないよね……私なんか――ひっ!?」


 私は自分に与えられたこの大きな部屋を見回した。正直言って元の家よりもこの一つの部屋の方が広い。そして綺麗だった。そうして改めて朝日の光で部屋を見回したら……私はそれを見つけた。床に倒れてる人……それを見つけて私は思わず声を出した。


「ななな、なに? ってあれって確か昨日の……怖い人」


 私に何やら怖い目を向けてた人だ。近付くのは怖いんだけど……その人はドアの方にいる。近付かない訳にはいかない。とりあえず誰か呼んだよんだ方がいいだろうしね。私はなるべく音を立てないようにしてベッドから降りて、そろそろと倒れてるその人から距離を取ってドアを目指す。でも回り込んだ向きが不味かった。私が回り込んだ方にその人は顔を向けてた。


 白目からは涙を流して、鼻水に、開いた口からは泡だったよだれ……


「きゃああああああああああ!!!」


 私は叫び声を上げてその場にしゃがみ込んだ。

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