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「お主、その目はどうしたのじゃ?」


 おばあさんがそう言って私の目をジッと見てくる。おばあさんはしわしわで腰も大きく曲がってる。杖を付かないと、立ってるのも辛そうだ。けど……何か大きな力が私には見えてた。正確にはこの左目には見えてる。


「これは……」

「別に抉りとらゃせんから心配しなさんな。ただ、知りたいのじゃ」


 私はそんなおばあさんの言葉に頷いて、話した。けど実際この目がどのタイミングであったのか……よくわからない。多分お父さんとお母さんとお別れをしたときだと思うんだけど……でも本当に自然にいつの間にかあったんだよね。私はそれを子供のたどたどしい言葉で必死に伝えた。だって怒られたくないから、とりあえずいっぱい口を動かした。


「ふむ、私は彼等がこの子に力を与えたとも思ったんだが……」

「それはないね。力の感じが違う。確かにこの子が宿したこの目は、この世界の力を感じるよ」

「なら……やはり彼女が選ばれたという事か……」


 そんなことをお二人が話してます。私のこの目をジゼロワンがくれたと思ってたのかな? でも流石にあんな大きな手じゃ、私の顔に目を与えるなんてむりなんじゃないかな? とか思う。


「あの……私は、この街から離れたくないです。お父さんとお母さんが居たこの街から……」


 私はドレスをギュッと掴んでそういってみた。私みたいな子供の言葉なんて取り合ってくれないかも知れない。でもこの街から離れたら、二人との思い出も遠くなって言っちゃう気がした。それは怖いよ。確かにお父さんとお母さんにはお別れした。でも、忘れのは嫌だから……


「そんなことは私がさせないさ。君の事は私が守ろう。君の両親の代わりにね」


 そう言ってラパンさんは私に目線を合わせてくれます。偉い人なのに、とてもこの人は優しい。私を浚おうとした人達とは違う。


「まあ、アンタは大切な存在だからね。私がビシバシ鍛えてやるよ」


 おばあさんはなんか怖い。鍛えるって何を? 私を? 何故に? わからないよ。そんなことを思ってるとキューとお腹が鳴った。恥ずかしくてお腹を押さえるけど、きっとラパンさんには聞こえてただろう。でも彼は私の頭を撫でてこう言ってくれます。


「さて、そろそろ食事にしよう。皆を待たせるのもあれだしね」


 そう言って彼は私の手を引いてくれます。私の手を包む大きな手。私はその手にお父さんを重ねることが出来ました。きっと大丈夫……


(私は大丈夫だよ。お父さんとお母さん……)


 私はそう心で呟いた。

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