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 ジゼロワンがその手を開く。ずっと真っ暗だったけど、行き成り外の光が出てきて安心した。本当はちゃんと私は知ってた。ジゼロワンが悪い奴じゃないって。でも……私はお父さんとお母さんが居なくなった事を誰かの生にしないと、自分がおかしくなってしまいそうだった。

 だから……ジゼロワンは強そうだった。大きくて、私のいうことなんか気にしないだろうって……だから誰に当たるかと言われたら一番いいのがこのジゼロワンだったと思う。実際はそんな事を考えてたわけじゃ無い。ただお父さんとお母さんを助けてくれなかった……その思いだけ。でも私は極力、ジゼロワンだけに当たるようにしてた。


 そんなジゼロワンが私を捕まえた時は本当にもうおしまいなんだと思った。でも違った何故か奴をお空の太陽に近づけて私に両親の声を伝えた。それで何かが吹っ切れた様な気がする。でもどうやらそれで終わりではないみたい。

 私はジゼロワンから解放されると、この街の一番偉い人の宮殿の中に案内された。周りには沢山の人たち。私は私をここまで連れてきてくれた子達が無事なのか聞いた。皆は無事らしい。とても良い事をしたから、後で皆も招待してお祝いに、豪勢な食事を振る舞ってくれるらしい。それはとても楽しみだ。


 私はお風呂に入れられて、沢山の人たちに体を念入りに洗われた。普段は水で体を拭くくらいしかしないから気恥ずかしかった。まるでお姫様になったような気分。そしてお風呂の後は更に体のお手入れをされて、用意されてた服を……いやドレスを着せられた。私は偉そうな女の人達の言う事だけを聞いて腕を上げたりしてなんとかそれは終わった。


 来たこともない服だ。薄い赤い色の布を流れる様に腕の付け根から腰に繋がってる。お腹は出して、中には肌着をきて、その上から透けてるその布を巻いてる。下も同じようで、歩く度にその薄赤い布が揺れた。こんな着心地が良い布は初めてだ。なにせ肌に触れてもさらさらでとても気持ちいい。重さもなんか感じない。それに布には所々に光る石? みたいなのが縫い付けられてて、室内の照明を受けてキラキラしてるみたいだった。


「凄い……綺麗……」

「お嬢様、とてもお似合いですよ」

「お似合いですよ」

「可愛いです」


 私の着付けを手伝ってくれた人達もそう言ってくれた。なんか気恥ずかしい。髪も整えて貰った。私は前髪を伸ばそうとしてた。なにせ片目がなくなって眼帯をつけてたからそれが目立つのが嫌だったから髪で各層としてたんだよね。まあまだ全然伸びてなんかなかったけど……それでもよく引っ張ってたから、ちょっとアンバランスには成ってたと思う。


 でも今や私の左目にはちゃと目がある。なので隠す必要は無い。髪を整えて切ってもらって、更に結んでヴェールを口の方じゃなく、後ろへとつけてくれた。ヴェールを髪に止めてるのは花の形してた。綺麗だ。なんだか、私が負けちゃわないかな? とか思ったけど、皆「似合ってます」と言ってくれる。本当に照れくさい。私はその後、大きな鏡で全身を確認した。とてもはっきりと映る鏡にびっくりしたけど、それ以上に自分の今の姿にびっくりした。

 だって……本当に私はお姫様になってたから……


「これが私?」


 思わずそう呟いた。

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