表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
177/1565

86

 とりあえず腕の中に優しく抱いたネナンちゃんを宮殿の中へと誘う。周囲の大人達が私に感謝を伝えてくる。当然の如く私を信じられるのは魔王や勇者がこの街で信頼を勝ち得てるって考えて良いのかな? 私は二人の……なんだ? 決戦兵器? 的な感じに捉えられてるから私がネナンちゃんを守ったと皆思ってくれたらしい。まあ間違ってはない。


「おやおや、かなりのやんちゃ物がやってきたものです」


 そんな穏やかな口調で一人の老人が私に近付いてくる。いや、正確にはそのハゲた老人は近付いては来てない。有る一定の距離を保って今まで子供達を追いかけてきた奴らと同じ格好をした奴らが私を取り囲む。


「あれは偉い感じの奴かな?」


 子供達を追いかけることをせずに、ずっとこの宮殿にいたようだし、きっとそれなりの立場の人なんだろう。実際なんか着てるローブみたいな服は上質そうだし、腕や服にはじゃらじゃらと宝石とかが付いてる。でもそれがいかされてるのかと言えば……もう宝石が可哀想なくらいだ。沢山高価そうな物をぶら下げてても、何の花にもなってないもん。


「成金だねあれは……」


 間違いない。本当にお金がある人ってのはあんなに見せびらかしたりしないものだ。そしてちゃんとした地位に相応しい人は、あんな下品な格好はしない。ラパンさんが良い例だ。


「まあ、ここにはいるのはわかってたけど……もしかしてラパンさんもこいつらには強気でいられないのかな? そうなると結局こいつらを倒すしかなくなるけど……」


 私的にはそれでもいい。なにせこいつらには情なんて物一切無いし。ただここを汚しちゃうことになるが、自分たちの街の子供一人守れないラパンさんがそこは悪いから大目に見て貰おう。こいつらにネナンちゃんを渡す気はない。ラパンさんでも守れないのなら、私達がネナンちゃんを守しかなくなるけど……


「お待ちください」


 そう言ってようやくラパンさんがやってきた。でも成金野郎はそんなラパンさんには目もくれずにこっちを見ながら口を動かす。


「なんですかな? 私はあの妙な物体から、神の託児を助け出さねばいけません」

「あれは妙な物ではないのです。そこに折られるジゼロワン殿と共に現れた二人は神のごとき力を有しております。つまりはあの少女は彼等が保護すると言うことでしょう」

「ははっ面白い。あれが神の送りに成った物だと? それはあり得ませんよ」

「何故その様な事が言えるのですか? 実際に彼等はここを守り、今はジャルバジャルを奪還しに行ってくれてます」

「ジャルバジャルを……ほほう、それは危ない危ない」

「危ない?」


 恰幅のいいその成金野郎はなんか解すの極みみたいな顔してる。ラパンさんからは見えないだろうけど、こっちからはばっちし見えてるからね。絶対にこいつクズだなって私は思う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ