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「子供達には指一本触れさせねぇ……」


 岩をその腕に受けたダンディーなおっさんがなんか決めている。決して軽い傷じゃない。なにせあれは腕が一本逝ってるはずだ。めっちゃ赤黒くなってるし、血も当たり前だけど出てる。


 でも、彼は弱みを見せない。もう一個の岩を受けた方は打ち所が悪かったのか、伸びてる。まぁ死んではないけど……でもそれだけの威力がある攻撃だったって事だ。

 危なくない? ネナンちゃんに当たったらどうする気だったのか? 大の大人が血を流して昏倒するほどの魔法だ。子供が受けてたらそれこそ死ぬ可能性は低くない。


(もしかしてあいつら……ネナンちゃん自身には興味がない?)


 あいつらが欲しがってるのはネナンちゃんという存在だけなのかも知れない。だからあんな魔法を躊躇いもなく発射出来たのかも。

 でもそれってネナンちゃんに宿った力をちょっとは理解してないと出来ないことじゃない?

 だってもしかしたら、ネナンちゃんが死んだらその力はなくなるかも知れないし、普通に考えたらそっちの可能性が高くない?

 なのに奴らはネナンちゃんに最悪あたるかもしれないことを許容して魔法を放った……


(それはつまり、あの変な格好の集団はネナンちゃんに宿った力に心当たりがある?)


 取り敢えず、この騒動が解決したらラパンさんにでも聞こう。


「あれ? でも魔王か勇者が帰ってこないとそれ出来ないな」


 私は喋れない設定だったんだよね。まあいいか、魔王と勇者ならすぐに任務達成して戻ってくるでしょう。


「おっちゃん!!」

「止まるな!!!」


 腕に岩がめり込んだおっさんの叫びが空気を震わせた。


「その子を守るのがお前の役目なら、止まるな!」


 その言葉を受けて、止まり駆けた足が再び動く。でもそんな子供達の前に別の変な格好した奴らがくる。この宮殿の周りだけで、かなりの数の奴らがいたからね。奴ら仲間の魔法とかそれかこの騒動を嗅ぎつけたのかも。そうなると、他の近くにいる奴らも集まってくる可能性が高い。時間はない。


「「「うおおおおおお!!!」」」


 そんな声と共に、奴らが動く前に大人達が突っ込んで行く。事情は私が喧伝したから皆わかってただろうが、今まではなるべく感づかれないように……と皆気を遣ってた。けどさっきの奴らの魔法でそれが変わったようだ。なにせあの変な奴らは子供達を殺そうとした。

 きっとこの街の大人達は子供達を守る存在が必要だと感じたんだと思う。それこそ、自分たちの様な平民じゃなく、もっと立場の上の……それこそこの街の頂点のような……だからその道を切り開くために彼等は動きだしたらしい。多分ね。


「いけえええええ!! ラパン様なら君たちをきっと保護してくれる!! 走り続けるんだ!!」


 街の人達が熱く燃え上がってる。そしてそれに応えようと、ネナンちゃんを引いてるお床の子は足を動かす。人の間を素早く統べるように走るその技術は目を見張る物になってる。覚醒してる? 守る物があると強くなる物だよね! 


 まぁてか……軍隊出てこいよ! って思うのはダメなのかな? だってここ、宮殿の目と鼻の先だよ? 出てきて保護してくれるのが一番……だけど、それは求めてはダメらしいね。なら自分たちでたどり着くしかない。男を魅せろ!

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