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「「「ハアハアハア――」」」

「もう、いいよ。皆酷い目にあっちゃうよ」


 男の子に手を引かれるネナンちゃんがそんな事を言ってる。彼女は皆の事を心配してる。でもそんな事を言われたって、あんな怪しい奴らにネナンちゃんを渡すなんて、勇者気取ってる男の子達に出来る訳はない。まあもう充分とは思う……でもだからってここで諦めるなんて出来ないよね。


 だが、そんな子供達をあざ笑うかのように変な格好の集団は、子供達の前に現れる。


「ちっ――げっ!?」


 あの格好は特徴的だから、先に発見できたのは良かった。でも変えた進路の席にも同じ格好の奴が来てた。二桁単位で向こうは探してるからね。それに情報も共有して結界はなくてとも狭い範囲に徐々に奴らは子供達を追い込んでいた。つまり……もう逃げ場がない。

 子供達にはわからないだろうが、マップを見てる私にはわかる。それにあの変な格好の集団の位置も赤い点でしめされてるからね。それを見ると、奴らの包囲網は既に完成してる。ここから逃げる……と言うことはかなり厳しい。そう子供達だけでは……だ。


「こっちだ! ほらほら」


 何やら荷物を荷台に乗せてるおじさんがネナンちゃん達に声を掛けてきた。


「おっちゃん……いいの?」

「何言ってる。その子、守りたいんだろ? わかってるよ。女の子を守るのは男の役目だからな」


 そう言ってニカッとおじさんは笑った。けど、全員を荷台に紛れ込ませる事は出来ない。精々二人だ。ポニ子はその体をどうにでも出来るから大丈夫だけど、子供達はネナンちゃんと後一人しかむりだ。そうなると……ここまで残ってるのは三人だから、二人余る。


「ちょっと、良い考えあるわよ」


 何やらおばさんが更に声をかけてきた。そしてチラリと何やらみせてくる。それはカツラ?


「それに全員は乗れないでしょ。それならこのカツラで攪乱するの。良い考えじゃない?」


 まずなんでそんな物を持ってるのか……とかは考えない方がいいのかな? いや、どうせ二人余るんだし、良い考えだとは思う。それに何やら女物の吹くがいつの間にか用意してあるし。誰かが気を利かせてくれたのかな? 流石に集まって喋ってると、注目も浴びるし、怪しまれるからね。

 こうなったら、誰がその役目を負うか……とかで揉めそうだが、やっぱりこの世界の子供達は逞しく勝った。


「しょうがねえな、ネナンの事は任せるぜ!」


 そういって一人がカツラを被りながらそういった。更に服をさっさと脱いで女の子がよく来てる布地一つのワンピースを羽織った。アホみたいな格好してるのに、格好良いじゃないか。


「よし、作戦開始だ!」


 だけどあいつ、自分がネナンちゃん役だってわかってる? なんで女の子役が手を引いちゃうかな? そこはやっぱり子供らしかった。

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